『殺し、失い、得たもの。』
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『零の本心』
組長に、蓮を消して欲しいって笑いながら言った。
『零、本心やろ其れ』
『あはは。何言いよんやろな。出来んわなそんなこと』
『ワシが消すんは簡単や。でも早まるな。零のせいやない。体を許したくない舞チャンのせいでもない。悪いんは蓮自身や。其れが事実や!!間違うな!!』
またまた泣いた...
なんでか今回なかなか涙止まらんやん。
感情が、頭が、まとまらん。
今のまんまやったら怖い。
確実に此の手で...
現状を変えたかった。
『なぁ蓮、ヤれたら誰でもえんか?』
『お?何ソレ。用意してくれんの?』
『てことは舞やなくてもえん?』
『其れと此は別やろ』
『蓮...浮気しよん?』
『あったりまえやん!!ヤらしてくれん女とおる意味ないし』
初めて本気で連に殴りかかった。
頭ん中で『殺したアカン!!』って必死で言い聞かせてた。
元々、蓮のチカラは強い。
一切適わん相手や。
でも、今の蓮は弱い。
零と互角。
零が押し倒して馬乗りになって殴れる程に弱くなってる。
決して零が強いワケやない。
武道とか、鍛えたりしてない、普通の女の中では強い方やけど、なんぼなんでも男には負けてきた。
男に勝つことはなかった。
周りに人がおって良かった。
殺さずに済んだ。
組長に話した。
ありのまま全部。
零は自分が怖い。
理性を失ったらどうなるか。
自分が一番良く解ってる。
組長も、零の過去全部知ってる。
職員達が知らん事も全部、調査済みやと思う。
わざわざ隠す気も無いけど。
『理性飛ばす薬ならナンボでも在るくせに』
愚かやな。
零は馬鹿で愚かで救いようがない。
死にたい。
殺して。
狂ったように叫びながら泣いた。
何の涙なんかも解らん。
零がある程度落ち着いてから、組長が大事な用在るからって出て行った。
すぐ帰って来るからおれって。
零はドライ飲みまくっては泣いての繰り返し。
しまいには部屋に在ったテキーラ飲んでた。
焼けるように熱くて其れがクセになった。
笑いながら、泣きながら、壊れたまま飲み続けた。
部屋には、組の人が何人かおったけど、どうしたら良いか解らんかったんやろな。
意外と早く帰ってきた組長は、皆を怒鳴り散らしてた。
零が潰れてたから。
普段怒鳴り散らすやか滅多にないからビックリした。
気付いたら寝室。
初めて組長に拾われて以来やなぁ。
懐かしい。
てか超頭割れそう。
泣きそう。
ってかバリ泣っきょったし。
馬鹿...手に負えん。
まいるわ。
自分の馬鹿さ加減に情けなさ過ぎて絶望。
組長が美味しそうな『オジヤ』作って持ってきてくれた。
妙に『愛されてるってこんな感じなんかなぁ』って想って、また号泣。
どんだけ泣いたら涙が無くなるんやろ。
泣きっぱなしな気がする。
困るやんね、組長も。
相変わらず優しい。
今日は特に。
隣で胸を貸してくれた。
頭も背中も撫でてくれた。
このまま寝てしまいそぉ。
いっそ、抱かれても良いと想うくらい優しい。
『零とヤる?』
『あっ!アホかっ!おまっ!
ほんっまに!オマエなぁっ!!』
『あはは。そんな焦らんでええやん。失礼やわぁ!!』
『自分を大事にしなさい!ワシやなかったら食われとるぞ!』
あかん...
おもしろい。
久々に勝った気分♪
『ごめんな...あの日からズット零は迷惑かけっぱなしや。
解ってる。いつまでもこんなんやったらあかんやんな。
誰かに甘えた記憶も、甘える癖も無い。やけん普通とは違う、普通よりタチ悪いんやと思う。
零の人生、組長の存在は一生残る。なんぼ頭下げても返しようがない恩がある。でも、たぶん、また迷惑かけることになる。
今迄とは違う罪。やけん、もぉ零とは...』
『言うな!!そん時はそん時や!ワシは味方や!娘は親父が守る。そぉゆうもんやろが!』
組長はニカッ!と笑った。
正直、なんでここまでしてくれるんか理解できひん。
義理人情の強い、情の深い人やから...
放っとけんだけなんやろな、拾ってしもたし...
それとも別の違う何かが在るんか...
実は、父さんと知り合いとか?
考えたとこで解らん。
さぐることも出来ひんし。
聞いたとこで、何もないよって言うのは解ってる。
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