俺が愛した幻想郷
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俺は愛せる? 幻想郷...
甘い香りは理解力を活性化させる
第二十三話 本来の姿
前書き
ちょっと書き足したくなったので一日で二話書くことになった、どうもうp主妹紅です。
風邪引いて咳が辛くて喉が痛いですが心配ないです。
日曜日の夜ほど辛いものはないので。
本編、どぞ
「はい、ルーミア」
これ、とルーミアには多少大きい、面白い形をしたプラスチックの壺のような物を霊夢は渡した。
ルーミアはそれを受け取ると、ぺこりと律儀にお辞儀をして霊夢から少し離れた場所へ歩いて行った。
ふふっ、と笑みを零してルーミアを見送る霊夢に質問する。
「さっきの壺みたいなやつってなに?」
「ルーミアが人喰い妖怪なのは知ってる?」
「ああ、喰われるかと思ったよ」
「ふふ。大丈夫よ、今のあの子は食べないわ。美味しそう、と言って怖がらせてくるだけ」
俺は美味しくなさそうと言われてむしろビビったんですが。
「それでね、あの子、人喰い妖怪だけど、ただただ人を喰べるわけじゃないの」
「と、言うと?」
「あの子が食べてるのは、人の闇。暗い部分よ。そうね、あなたがみかんを投げつけるような部分よ」
霊夢は相変わらずの笑顔でそう言った。
この笑顔が安心できる笑顔なのか、不安でしかたない。いや、そもそももう不安でしかたないのだ、不安なのだろう。
「あの子、昔は大食いだったの。あんなに小さくない、普通のスタイルのいい女性だったわ。私よりも年上だったかな」
■■■
今から何年も前の話、まだ私が巫女になったばかりの頃の話。
巫女と言えば妖怪退治だなんだ言われていたときの話。
初めての仕事は、人喰い妖怪の退治だった。
かなりの大食いで、喰べる必要のない量まで喰べる。ひたすら人間を喰らい続けていた妖怪の退治だった。
私が見たときのその妖怪は、誰よりも綺麗で、金髪の長い髪を風に揺らしながら…
人間の頭を片手に持っていた。
彼女は私も食べようとしたのだろう。でも、彼女は私に近づかなかった。
味のない豆腐。私はそう言われた。
それがどう言う意味かは直ぐにわかった。
彼女は自分の身体から闇の尻尾を何本も出し、形を変えて私に攻撃しようとしたから。その闇を出す度、彼女は力を無くして、最後には闇を出さなくなった。
彼女は闇を燃料にしている。だから、人間の闇を喰らう。
味のない豆腐。つまり私には喰える闇がなかった。
美味しくないのだ。
バカみたいに人を殺してきた彼女を殺すことは容易い。でも、私は彼女を退治はしなかった。
これからは人間を喰らわないで済むよう、人間の闇を貯めて食べさせてあげよう、と。
私はそう思ったからだ。
でも彼女は力が強過ぎる。力を制御する為の封印、彼女にとっての呪いが必要だった。
だから巫女である私は、彼女に封印の呪いを掛けた。
□□□
「するとルーミアはね、小さくなってたのよ」
今となっては笑い話なのか、と思えるほどの笑顔で霊夢は話を終えた。
聞いている限り、ギャグでもなんでもないのに…
するとそこに、
「霊夢、ありがとう」
と一人の綺麗な女性、先ほどの霊夢の話に出てきた妖怪、ルーミアのような女性が、霊夢に壺を渡してきた。
その壺と女性を見て思う、
「あの中には人間の闇が入っていたってこと?」
「そう、ここは神社だから、人間の闇も運んでくる。その壺にはそれが入るよう結界を張っておいているの。これが、私が考えついた答え」
霊夢の返事が終わり。女性は、こちらを向いてこう言った。
「琥珀も、ありがとう」
その綺麗な女性は、俺のことを琥珀と呼び、少々驚いたが、服装や髪色で理解した。
白い半袖に黒いワンピース、赤い蝶ネクタイに赤い髪留め。
そこでもう一つ思い出す。ルーミアは闇を制御されて小さくなった。つまり闇が少なくなった。
でも、あの壺から闇を摂取してまた大きくなる。それで今のルーミアが… あるべき姿のルーミアがいるんだ。と
「背、高いんだな… ルーミア」
「そうでしょ、 綺麗?」
あるべき姿を見せられて気分がいいのか、その場でクルリと回って見せるルーミアは、霊夢の言った通り誰よりも綺麗だと思った。
「あぁ… それもかなり…」
「ありがとう、愛してるぞ、琥珀」
その言葉の次に柔らかい感触を頬で感じたのはそう長くはなかった。
「マウンテンバイク、だったっけ。もう少し小さくなったらにするよ。またね、琥珀」
ルーミアは、長い後ろ髪を靡かせ、歩いて博麗神社の向こうへと行ってしまった。
「相当気に入ったのね、琥珀のことが」
「そう、なのか…?」
「普段あんなことしないわよ」
「本当に、綺麗な人だったな…」
「妖怪だけどね。あと琥珀、それくらいにしておきなさい。そこの木の陰で覗いてる魔法使いが睨んでるわよ」
そこの木の陰で覗いてる魔法使い…? 魔理沙…?
なんで睨むんだ…
「今日は弾幕を習いに来たんでしょ? だから魔理沙も来たのよ」
なのに人喰い妖怪の邪魔が入ってプンプンしている、ということか。
嫉妬か、嫉妬なのか。
後書き
「お〜い魔理沙〜 そこで嫉妬してないでおいでよ〜」
「し、嫉妬なんてしてないんだぜ?」
口を尖らせて頬を赤くする魔理沙を見てハハと笑った。
「習いに来たけど… もういいや、"弾幕ごっこ"しようよ、魔理沙」
すると魔理沙はニヤリと笑みを見せ、
「マジで言ってるのか? 手加減はしないぜ?」
魔理沙の粋な弾幕が飛び出してきたのは、これから数秒も経たない間の出来事だった。
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