ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝
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vinculum ελπις 前編
ギィン!
ギン!
ガン!
ギン!
何度も何度も、絶えることなく剣と剣がぶつかり合う。
『このぉぉぉぉぉっっ! 』
「インフィニティブレイド!! 」
滑空飛行をしながらフレユールガンダムから放たれる剣を次々と相殺し、回り込むようにフレユールガンダムに接近していった。
「おおおおぉぉぉぉぉっ!! 」
左手のフォルトゥナディクスに粒子を纏わせ、フレユールガンダムの右肩から左腰に向けて斬り降ろす。フレユールガンダムはリトリビュを水平に斬り払って防ぎ、ヴァニタスライフルの銃口を刀剣と化して突き出してきた。
「はあっ! 」
右手のフィーディスクリーザーでヴァニタスライフルを弾き、左足でフレユールガンダムに回し蹴りを入れるも上空へと飛んで回避された。
「やあああぁぁぁぁっ!! 」
上空へと飛んだフレユールガンダムに追撃をしにアルカナムプリスティンが七聖剣 極を左腰の鞘に納め、ヴァワチュール・リュミエールを纏わせた七聖剣 絶を右手に構えて接近していった。
フレユールガンダムに向けて水平に斬り払い、七聖剣 絶を翻して二撃、三撃、四撃と叩き込むも、その全てはリトリビュとヴァニタスライフルによって防がれてしまう。
「ここっ!モーメント、レーヴ!! 」
七聖剣 絶で十字を描くように十連撃突き出し、その中心にもう一撃突き出す。左逆手で七聖剣 極をフレユールガンダムの右腰から左肩に向けて抜刀し、その後逆手持ちから切り替える。
そして七聖剣 絶、極の二刀でもう一度十字を描くように十連撃突き出す。
『ぐっ………! 』
フレユールガンダムは装甲から刀剣を溢れ出させ、リトリビュとヴァニタスライフルでアルカナムプリスティンの猛攻を防ごうとするも耐えきれず、次々と刀剣を砕け散っていった。
「でえぇぇぇぇやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!! 」
十字の中心に向けて七聖剣 極を突き出し、最後に七聖剣 絶を縦に一閃、斬り降ろした。
「………これでも倒しきれないのか~……………」
フレユールガンダムの装甲から溢れた刀剣はボロボロに砕け散り、アルカナムプリスティンの最後の攻撃を防ぐ時にヴァニタスライフルを一刀両断。フレユールガンダム自体には傷が付いていなかった。
『小癪な真似をしおってっ!! 』
ボロボロになった刀剣は粒子へと拡散していき、リトリビュを右手に持ち替えてアルカナムプリスティンに思い切り斬りつける。
アルカナムプリスティンは直撃は回避しようとバックステップをする。千早の衣は大きく斬れ、胴体には大きな傷が出来てしまった。
「ユウ! 」
「ミヤモト君! 」
体勢を崩したアルカナムプリスティンに追撃をかけるために、フレユールガンダムは剣を一点集中で掃射してきた。
インフィニティブレイドを射出して相殺しようとするも、距離があるためすぐに間に合わないと分かった。
「わわっ!? 」
アルカナムプリスティンは不十分な体勢でも対処しようとステルスドラグーン、センサードラグーンの二基ずつに七聖剣 絶と極の二刀で弾き切ろうとする。
しかし集中して攻撃されてるうえに体勢も悪く、ドラグーンは全基叩き落とされ左肩、右脚、右メインカメラに剣が突き刺さっていった。
アルカナムプリスティンはそのまま地面に不時着してしまい、追い討ちをかけるかのように剣が向かっていっていた。
「間に合った!ヨシナ、スイッチだ! 」
「分かっている」
アルカナムプリスティンへと向かっていった剣はインフィニティブレイドによって相殺され、アルカナムプリスティンを飛び越えてランスロットガンダムがフレユールガンダムに向けて雷炎ランスを突き出した。
「大丈夫か!? 」
「あはは……まあ何とか大丈夫だよ。皆のおかげでまだまだ動けそうだし」
アルカナムプリスティンは意外にもあっさりと立ち上がり、七聖剣 絶と極を再び構えた。
「にしても、他にもピットとかあったのをすっかり忘れてたよ」
「忘れんなよ……」
「まあまあ!それよりもヒロヤ。チャージはどのくらい貯まったの? 」
「………37%だ。こんだけ動いてもまだ半分も貯まらないのか」
「テストの時も、チャージに時間がかかりすぎたから一度も使用出来なかったもんね~」
トウイとシノが言う限り、エルグライアガンダムの特殊システムはチャージに時間がかかるらしく、どんなに早くても十分以上は必要らしい。
「たくっ、大会規定では十五分までだってのに………」
フィーディスクリーザーとフォルトゥナディクスを構え、フレユールガンダムを見据える。
ランスロットガンダムはフレユールガンダムの猛攻を凌ぎつつ反撃しているも、少しずつじり貧になっていっている。
「ヨシナ!スイッチだ! 」
「了解した」
ランスロットガンダムが後退すると同時にインフィニティブレイドをフレユールガンダムに向けて掃射する。フレユールガンダムは対抗して剣を掃射して相殺してきたが、数発はフレユールガンダムの足元に着弾した。
着弾した箇所からは煙が立ち上ぼり、その煙からエルグライアガンダムとアルカナムプリスティンが飛び出した。
『ちぃっ! 』
フレユールガンダムはリトリビュでエルグライアガンダムの攻撃を、左手の甲を刀剣へと化してアルカナムプリスティンの攻撃を受け止める。
『小賢しい奴等め!いい加減に倒れろ!! 』
「悪いけど……あなたを止めるまでは倒れないよ! 」
『お、の、れぇぇぇぇっ!!! 』
フレユールガンダムの装甲から刀身が顔を出し、二機に向けて伸びてきた。エルグライアガンダムはフィーディスクリーザーで、アルカナムプリスティンも七聖剣 極で攻撃を受け流し、フレユールガンダムから一旦距離を取った。
「エイジ。お前は何でこんな事をするんだ?いったい何が目的なんだ? 」
『……………目的?ふん、愚問だな。ガンプラバトルなどという愚かな行為を止めさせるためだ』
「なんだと………? 」
『そもそも、ガンプラは本来作っては楽しみ、その完成度を高めあうもの。それをバトルをして傷付け、破壊し、更には暴力にまでも発展する。そのような事が許されていいと思うか?見て見ぬふりをしていいと思うか?いいや思わない!ならば、そのような事に発展する前に思い知らせるのだ!!この圧倒的力で!本来の場所へと!!! 』
エイジが叫んだ瞬間、フレユールガンダムはそれに応えるかのように目を真っ赤に光らせた。
フレユールガンダムは大きく後退すると、刀身を粒子に拡散したリトリビュを左腰に納め、腕を組んで仁王立ちをした。
『そのためにも、貴様達は邪魔だっ!!!! 』
突如レーダーが鳴り出し、フレユールガンダムとエルグライアガンダム、アルカナムプリスティンとランスロットガンダム以外の機体が接近しているのを知らせてきた。
フレユールガンダムの後方をよく見てみると、そこには対コンピューター戦用の無人機………モックの大軍が迫ってきていた。
「おいおい………それはないだろ…」
「最悪の状況になってきたな…」
モックの大軍はフレユールガンダムを中心に待機し、その場に膝を着けた。
「軍隊か!……ってツッコミ入れてる場合じゃないな」
「意外と余裕あるね~ヒロヤ」
「いや別に無いけどな………そう言うユウの方が余裕を感じられるんだが…」
「ん?僕?別に余裕があるわけじゃないよ?でも………」
すると、アルカナムプリスティンは前に出て七聖剣 絶と極を構え、モックの大軍を見据える。
「勝たなきゃいけないから、僕は………僕達は戦う。ただそれだけだよ」
「ユウ………」
「まあもう一つ言うなら、こんなバトルは中々味わえないから楽しんでいこうかなって思ってね! 」
「やっぱりそっちが本音じゃないかよ……たくっ」
「いいではないか。私も同じ考えだ。それが本来の楽しみ方だ。エイジも言っていた通りだろう。ただやり方が、思想が異なるだけだ」
アルカナムプリスティンに続き、ランスロットガンダムも前に出る。
「サオトメ君。君はどうなのだ? 」
「……………似たようなもんだな。俺も」
エルグライアガンダムも前に出て、フィーディスクリーザーとフォルトゥナディクスを構える。
「一番槍は私が引き受けよう。恐らくシステムの全てのモックを出現させたはず………彼も何かを企んでいるだろう」
「それじゃあ僕は二番槍をやるよ」
「じゃあ俺が三番やr 「ヒロヤはまだチャージが出来てないし、邪魔にならないように援護に回ってね! 」………にゃろう…」
『ではいくがいい。せめて時間稼ぎはしろよ』
モックの大軍が立ち上がると、全軍がこちらに向かって接近したり攻撃したりしてきた。
「やるよアルカナム…………グローリアレイス!!! 」
「燃え上がれ!ランスロットガンダム!!! 」
二機共特殊コマンドを選択すると、アルカナムプリスティンはドライグヘッド、肩部、脚部から粒子が噴出し、七聖剣に紫色のヴァワチュール・リュミエールと電撃が纏われた。そして、バックパックのリングからは紫色の光の翼が発生した。
ランスロットガンダムの鎧の内部から赤い粒子が噴出し、さながら焔のように形作っている。
焔はランスロットガンダムの全身へと纏っていき、蒼い騎士から焔の騎士へと変貌していった。
「突貫する! 」
ランスロットガンダムが雷炎ランスを前方に突き出し、巨大な焔の槍と化してモックの大軍に突っ込んでいって次々と凪ぎ払っていった。
「双天流………零の型!はあああぁぁぁぁぁっ!!! 」
ランスロットガンダムに続いてアルカナムプリスティンもモックの大軍に突っ込んでいき、七聖剣二刀で次々とモックを薙ぎ倒していった。
「無双かなんかかよ………っと! 」
モックからの攻撃を回避し、フィーディスクリーザーとフォルトゥナディクスの二刀で迫ってくるモックを斬り裂いていった。
「フレユールガンダムに動きはない……何をする気なんだ? 」
ーーー--
「やはり時間がかかるな…………しかしコイツを出すはめになるとはな」
鞄からパーツを取りだし、次々と組み立てていく。あまりにも巨大なため、バラバラにして持ち運ばなければいけない。
「戦況は…………ふむ。存外にしぶといな」
モックの大軍を代わりに戦わせ、フレユールガンダム本体にくる攻撃はモックを身代わりにして防いでいる。
「組み立てもじき終わる。それまでせいぜい足掻いてるがいい」
ーーー--
「くそっ!全然減ってる気配がしないぞ!? 」
「だが、確実に減っている筈だ」
「ヒロヤー。チャージはまだなの? 」
「59%………まだ半分だ! 」
次々に襲ってくるモックを退けながらチャージ率を確認する。
モックを倒した数は計百機を超え、モックの残骸だけで巨大な山が出来ている。
「フレユールガンダムの姿も、モックによって見失ったな」
「なんかガンダム無双をやってる感じだね」
「それにしては果てしないだろコレ………」
フィーディスクリーザーとフォルトゥナディクスに粒子を纏わせ、巨大な斬撃波を二つ前方に飛ばしてモックを撃墜する。
「倒していけばいずれ終わる。それまで持ちこたえるんだ」
フィンファンネルを射出して前方にプラフスキーパワーゲートを発生させ、雷炎ランスを突き出してモックを蹴散らしていく。
「ほっ!よっ!やっ! 」
全方位に胞子状のピットを掃射しながら七聖剣を振るい、一瞬で周囲のモックを殲滅していく。
「インフィニティ───なんだっ!? 」
インフィニティブレイドを射出しようとしたところ、レーダーに物凄い速さで接近してくる機体を察知する。その方角を見ようと振り返ると、今まで見たことのない質量を持った巨大なビームがこちらに放たれていた。
「なんだよあれ!? 」
「かわしきれん………防ぐぞ!! 」
「了解!! 」
三機は一ヶ所に固まり、エルグライアガンダムはフィーディスクリーザーとフォルトゥナディクスにバスターソード級の粒子を纏わせ、ランスロットガンダムはフィンファンネルを用いてプラフスキーパワーゲートを発生させ、雷炎ランスと聖剣デュランダルⅡを突き出してくぐり抜ける。
アルカナムプリスティンは七聖剣 絶と極を鞘に納め、双天流 伍の型の構えを取る。
「レゾナンス・グライシス!! 」
「はああぁぁぁっ!! 」
「双天流……伍の型!! 」
向かってくるメガ粒子砲はモックの大軍を消し飛ばしながら接近し、三機に直撃しそうになったところでそれぞれ攻撃を繰り出した。
「ぐっ…………重っ……! 」
メガ粒子砲は見た目以上に威力を持っており、受け止めたメガ粒子砲は真っ二つに切り裂かれてもなお、三機の後方にいたはずのモックの大軍も消し飛ばされていっている。
「はぁ…はぁ………」
「予想以上の破壊力だ……モックの大軍を一瞬で倒すとは」
「にしても、MAにしてはデカ過ぎじゃないかな~? 」
フィールド場には抉ったかのような一本筋のクレーターが出来、砂煙も舞い上がった。
砂煙が晴れると、攻撃してきたであろう本体が姿を現してきた。
『これが俺の切り札………ホロウ・デモリションガンダムだ』
スプレマシー・アーマーをベースにし、プロペラタンク部はエクストリームガンダムディストピア・フェイズを丸ごと移植。更にスプレマシー・アーマーに無かった腕をネオ・ジオングの大型アームにより両腕を追加し、デストロイガンダムの陽電子リフレクター発生器 シュナイドシュッツSX1021を装備させている。
バックパックにはネオ・ジオングの大型アームが四基装備され、スプレマシー・アーマーのリアアーマーにはシュツルム・ブースターが五基装備されており、カラーリングはフレユールガンダムと同じく黒金。
そして、スプレマシー・アーマーのコアユニットにはフレユールガンダムの姿が見えた。
「うわ~………ゲテモノ感が凄いね……」
「だが、それでも強烈なプレッシャーを感じる」
「全身武装されたMAかよ………。しかも、キット化されてないものばかりで構成されてるし」
「バトルだけではなく、ビルダーとしても超一流という訳か」
「接近するだけでも骨が折れそうだね」
「けどここで諦める訳にはいかない……………いくぞ二人共!! 」
『これを見てもまだ向かってくるか…………ならば!その心からへし折ってやる!! 』
ーーー--
「フレユールガンダムと互角に戦えて、そこでモックの大軍を呼び寄せて、挙げ句の果てはMAか…………いくらなんでもキツいんじゃないアレ? 」
「ユウのガンプラも損傷してるし、グローリアレイスも長くは持たない……」
「ヨシナさんのランスロットガンダムもそろそろヤベェぞ! 」
バトルに乱入して戦い初めてから十数分。いや、もしかしてら二十分は越えてるかもしれない。最初は皆もやれるっ!とは言っていたものの徐々に声が出なくなり、今は息を飲んで見ている。
『ぐぅっ! 』
三機がホロウ・デモリションガンダムに接近を試みようとするも、それを拒むかのように機体を高速回転して三機を蹴散らしていった。
「化け物みたい…」
「や、やっぱり皆で参戦した方がよかったのではないですか? 」
「けど、それだと逆に僕達が足を引っ張ってしまいます」
「とは言え、ここで見ていることしか出来ないのはキツいぜ? 」
「ああ。私達も何か出来ないのだろうか……」
「……信じましょう。任せろってヒロヤが言ったんだから、今はただ、信じて見守りましょう」
「シノさん……」
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