ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝
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長編 vinculum ελπις
ブレイカー
前書き
久々の更新………本当に申し訳ありません!放置はしていないんです!理由はタイトル通り長編を書いていたからなんです!おかげでorbitの方は一向に手付かずでいて……けどこの話を書かないと集中してorbitを書けなかったんですよ……。だから、こっちを書くことに専念させて貰いました。
前置きはここまでにして、では、どうぞ。
「わあっ!? 」
黒色に塗装し、出来たばかりのウイングガンダムで近くの店でバトルをしていると、どこからか機体が接近するアラートが鳴った。
最初はこの店の客か何かかと思いバトルシステムの奥を見ると、そこには誰もいなかった。誰もいないことに不信感を抱く。乱入してきた機体は、姿が確認出来るかどうかの距離で待機すると、その機体の周りが光り出し、何事かと思った矢先に大量の剣がこちらに向かってきていた。
急いで回避行動を取るもギリギリ間に合わず、左足に数本に突き刺さり、そのまま左足を地面に固定されてしまった。
「このっ! 」
バスターライフルを乱入者に向け、最大出力で攻撃した。最大出力のおかげか、ビームは途切れることなく乱入者に向かっていき、乱入者はその場から動かず呆気なくビームに呑み込まれていった。
「なんだったんだろ……」
安堵の息を吐き、終わったと思いウイングガンダムを取り出そうとすると、バトルがまだ終了していないことに気づく。しかし気づいた時には遅く、ウイングガンダムは全身跡形もなく剣に突き刺されおり、最後には機体を丸ごと呑み込めるほどの一本の大剣がウイングガンダムを貫通し、ウイングガンダムの姿が見えなくなった。いや、正確には無くなった。
「あ…………」
『……貴様みたいなゴミが戦う資格はない……あるべきところへ帰すべきだ』
乱入者からそれだけ通信が入り、バトル終了のアナウンスが鳴った。あまりの出来事に唖然とし、バトル装置の上には、どこにもウイングガンダムの姿は無く、あったのはごくわずかの破片だけだった。
「ダメージレベルはCのはずなのに…………」
ーーー--
高校二年の春。俺達はまたクラスが一緒になり、いつも通り弁当を食べていた。そんな中、シノがいきなり変な話をしてきたのだった。
「ブレイカー? 」
「そう。最近色々な所で謎の乱入者が現れ、強制的にバトルをしてくるそうなのよ」
「謎ってなんだよ謎って」
「その場に乱入者がいないって事だよヒロヤ君。ついでに言うなら、きちんと機体の姿を確認した人もいないらしいよ」
「じゃあその場所じゃない違う所でバトルしてるってことかよ」
しかも機体も確認出来てないのか……どんな超遠距離攻撃なんだよ。
「んで、なんでブレイカーなんて大層な名前がついたんだ? 」
「バトルした相手のガンプラを、ダメージレベル関係無しで破壊するからよ。それも跡形もなくね。現にダメージレベルをCに設定したはずなのに、ダメージはそのまま反映されるらしいし」
「これまた謎だな」
「しかも、やられている人全員は戦意喪失のあまりか、バトル後はガンプラにすら触ってないらしいわよ」
「それはいくらなんでもガセじゃないのか? 」
「まあそうかもしれないけど、実際にそういう人が沢山いるってのは確かよ」
「ふーん」
それだけ言ってお茶を飲み干し、弁当を包みに戻す。
「じゃあ今日あたり、いちば模型店にでも行くか。これ以上被害を広げる訳にもいかないし、あそこでも誰か被害に遭う人もいるだろうし」
「じゃあそうしましょう」
「よし。トウイ、お前もわかったな? 」
弁当を一足先に食べ終え、何かの製作をしているトウイの頭を叩く。てか教室で作んなバーロー。
「あいよー」
「たくっ……」
ーーー--
「「「こんにちはー」」」
「ぬっ?お主達も来たのか」
「「「お主達も? 」」」
「やあサオトメ君」
「よう」
「久し振りですねトオサカさん」
「元気にしてっか? 」
「考えることは皆同じという事だね」
「だな」
「お前らもブレイカーの件なのか? 」
店に入ると、イチヨウさんだけではなく大学生になったヨシナとサカキ、コムカイとアマミヤ、キハラとミサカとオノがいた。
「ああ。ということはお前達もか」
「そうだ」
「というわけでイチヨウさん。何か知ってませんか? 」
「ふむ………このいちば模型店では毎日のように勝負に飢えた猛者が沢山集ううえ、騒がしいのはいつものことだからじゃのう………ぬっ?そういえばつい最近様子がおかしい者がいたの」
「いつですか? 」
「確か……先週ぐらいじゃったかの。ワシはいつも通りカウンターでガンプラを製作していた時じゃ」
「仕事してくださいイチヨウさん。私も前みたいに来れませんよ」
「ほっほっ。大丈夫じゃ、心配無用。それよりも本題に戻るぞ」
この店は本当に大丈夫なのか……?ここにいるメンバー全員が思っただろうが、あえて口に出さずイチヨウさんの話に耳を傾けた。
「その時、客の一人がバトルシステムに男の人が項垂れていて邪魔だと言われてのぅ。面倒じゃが行ってみては、その男は放心状態でバトルシステムに手を置いて体を支えていたのじゃ。バトルシステムには、何やらごくわずかの何かの欠片っぽいものがあったのう。男はその一点をずーっと見つめていた」
「そ、その人はその後どうしたんですか? 」
「声をかけても反応がないからのぅ。とりあえずひっぱたいて家に帰らせたわ」
何やってんのイチヨウさん!!?
「おそらくバトルで精神的な傷でも負ったのかのぅ。きっとソイツがお主達が探しているブレイカーの筈じゃ」
シノが言っていた通り、ブレイカーによりガンプラを破壊されたのだろう。イチヨウさんがいう粉やごくわずかの欠片というのは、きっとその人が作ったガンプラの破片なんだろう。
「じゃがこの話を聞いてどうする? 」
「おいおいイチヨウさんよ。そりゃあ決まってんぜ。そのブレイカーってやつを懲らしめるんだよ! 」
「どうやってじゃ? 」
「そ、それは……」
オノが右腕を掲げて言うも、イチヨウさんのその一言で固まってしまった。確かに探す方法なんてないな………。
「いえ。方法ならあります」
キハラが沈黙の中、そう言い放った。
「ブレイカーはおそらく専用の、しかも超高度の端末を用いてバトルに乱入していると考えられます。しかしそれは非合法。人目のつくところでは行えない。となると、場所は人目のつきにくく、人が来ないところです」
「「「「「「「「「おおっ!!!さすが参謀(ですね)(です)(だな)(じゃ)!!!!! 」」」」」」」」」
「そして、ブレイカーが現れるのはバトルをしている時のみ。捜索範囲を広げるためにも一ヶ所に固まらずに、各店簿でバトルをし、なおかつ他の皆にも連絡しましょう。宮城県に留まっているとも限りませんしね」
もはや名探偵じゃないのかコイツ?どこぞのエセ探偵よりも凄いぞ?
「酷い言い様だねヒロヤ君」
「事実だろ」
ーーー--
俺のLineに入っているユウ、シライ、ニシヤマ、イガラシ、ミズノ、クラタにラインを送り、後は各々別の店でバトルをすることになった。もし乱入者に遭遇したら、すぐに連絡出来る体勢でいるようにと伝えられている。
「んで、トウイとシノはすぐ近くの店か」
「そういうことね」
「もし遭遇したら頼んだよ、エース」
「はいはい…」
数日後、俺達は別々の道に別れ、俺は自分の担当の店に入り、CPUモードで難易度最大、ダメージレベルをCに設定してバトルを開始する。
「サオトメ ヒロヤ!ケルサスガンダムエクシード!出る! 」
フィールドは荒野。その青空へと出撃し、前方から無数のハイモックが現れた。
「あれからチューニングを何度も重ねたから、性能は上がっているはず。にしても久しぶりに使うな」
冬の大会はガンダムエクシアホープで挑み、ケルサスガンダムエクシードは使用していない。えっ?結果?………予選敗退ですが何か?あと少しのところでコムカイにやられたんだよ。デストロイ・アンチェインドが予想以上の性能を誇ってたんだよ。おかげでユウから
『えーー!?負けちゃったの!?せっかく再戦を楽しみにしてたのになぁ……。まあヒロヤ達の分まで、僕達が頑張るからね! 』
……とLineできた。………悪かったなおい。
俺は心の中で冬の事を愚痴りながら、襲いかかってくるハイモックを次々と蹴散らしていく。さすがに数が多いな。まあ問題ないけどな。
「っと」
ハイモック全機の一斉砲撃がきたので、俺はグラディウスとルミノックスに青い粒子を纏わせる。
「レゾナンス……アインス!! 」
親父との一戦以来、通常十六連撃までしか持たなかった粒子が、今は二十連撃まで持つようになった。
「はあああぁぁぁぁぁっ!!! 」
一斉砲撃を十連撃で弾ききり、残りの十連撃でハイモックを一気に十五機を斬り伏せた。
『BATTLE ENDED』
いや終わっちゃダメだろ。まあ仕方ないか………次はエンドレスに設定してバトルするか。
そう思っていると、ユウから連絡がきたので、電話に出る。
『もしもしヒロヤー?前にヒロヤが言っていた乱入者が早速僕達の所に来たから、今から戦うね! 』
「っおいユウ! 」
『大丈夫大丈夫!ヒロヤだって僕達の強さはわかってるよね? 』
「…………」
『うわっ!?危なかった~。そんじゃ、そろそろ切るね』
電話越しでもわかるぐらいの爆音が響いており、それだけでどれだけ激しい戦闘をしているのかを想像できた。
「おいユウ」
『んー? 』
「無茶すんなよ」
『大丈夫だって!任せて! 』
それだけ言うと電話が切れた。俺はすぐに皆に連絡して、今は東京にいることを知らせた。そして俺達は一旦いちば模型店に集まることになった。
「私のところにもヒナタから連絡が来た」
「僕のところにもミサキから来たよ」
ヨシナ、トウイのところにも連絡が来たらしく、とりあえず今俺達はどうするかを考えている。
「東京か……」
「東京ね……」
「東京ですね……」
「シティボーイか……」
「なぜそこでシティボーイなんだオノ? 」
「いやなんとなくな」
「てか本当にどうしましょう? 」
………………………。
「とりあえず、今はミヤモトさん達を信じましょう」
「それしかないよな」
「そうだね」
「それでは、一旦解散にしよう」
結果、今俺達に出来ることはなく、ユウ達を信じて待つことだけだった。
ーーー--
「………連絡が来ないな…」
ユウ達がブレイカーに遭遇してから約二週間。連絡はいまだに来てない。
俺達は信じて待つものも、時間が経つに連れて不安になっていく。
「トウイ。モチヅキさんから連絡とか来てないの? 」
「ううん来てない………大丈夫かな…」
「……信じろ。とりあえず、俺達はいつも通り各々バトルをしに行くぞ」
「………そうね」
シノも不安げな表情をし、トウイは心なしかソワソワしていた。………まあ気持ちは分からん訳ではないが。
それでも俺達は各店簿に別れて、バトルをしに行った。
「さてと…そんじゃ今日も同じレベルと難易度でっと」
「ちょっといいかな? 」
バトルシステムの設定を終えると、突然後ろから声をかけられ振り返ると、そこには二人組の男が立っており、一人は髭を生やしている醤油顔で、一人は七三の髪型をしている若い男だった。二人共スーツを着ていたので、警察かなんかの人かと思う。
えっ?俺何か悪いことした?
「君がサオトメ ヒロヤ君か? 」
「はあ………そうですけど。俺に何か用ですか? 」
「いやね。実は最近、高校生がブレイカーを探していると聞いてね。毎日この店に来ていると知りこうして来てみたわけだ。ちなみに君の名前と顔は知ってるよ」
「はあ……」
「それで、そんな君達に頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと? 」
「私は国際ガンプラバトル公式審判員をしているランという者でね。実はブレイカーの件では私達も捜索中なんだ」
「そこで僕達は今、各地域のファイター達に会ってまわっているんだ」
国際ガンプラバトル公式審判員……要はガンプラ関係の警察みたいなものか。
「なんでそんなことしてるんですか? 」
「実は今知っている限りでは、ブレイカーが使用している遠隔操作の端末は、限界範囲が半径5㎞なんだ」
「しかしそれがわかったところで捜しようがない。そこで時間稼ぎをしてもらいたいのだ」
「時間稼ぎ? 」
「そうだ。奴はバトルに乱入するために、半径5㎞以内にバトルシステムが入らなければいけない。更に、その間奴はその場から動けん。私達はその間にしか奴を見つけるチャンスがないんだ。だからそのための時間稼ぎだ。ガンプラバトルで、奴の足止めをしてくれないか? 」
「……ちなみに、そのブレイカーが倒されていた場合はどうなるんですか? 」
「いや、それはない。なんせ奴は三日前ぐらいに、ガンプラ学園のバトルに乱入したのだからな」
「!? 」
三日……前?じゃあつまり……
「ユウ達が…………負けた? 」
「さすがに、剣聖でも倒すまでにはいかなかったんだろう。被害報告はどれも全て同じだ。文字通り、跡形もないそうだ」
「…………」
「一応この名刺に電話番号を書いておく。いいか。もし遭遇したらすぐに私達に連絡するんだ」
「………わかりました。………………俺が皆の仇をとってやる」
俺はランさんから名刺を受け取り、ランさんは去っていった。ランさんが去っていった後、俺はいつもの倍以上にバトルをした。
「………絶対に倒してやる」
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