無慈悲なジングルベル
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第一章
無慈悲なジングルベル
クリスマスを前にしてだ、学園の中でおぞましい噂が流れていた。
「ある国の軍隊で本当にあった話らしいぜ」
「何か新兵は先輩に毎晩後ろから、らしいけれどな」
「その時にどの先輩も歌うらしいんだよ」
「ジングルベルの歌をな」
こう話されていた、そしてだった。
その話を聞いてだ、結城優はその話を聞いた時クラスメイト達と一緒にクラスでパンを食べていたがそのパンをだ。
思わず吹き出しそうになってだ、むせながら言った。薄い眉に蒲鉾型の一重の目で大きめの唇は薄く色はピンクだ。顔は白く鼻の形もいい。肩の高さで切りそろえた髪は少し茶色にしていて大きな耳を出している。脚がかなり整っていて青いブレザーの制服によく似合っている。
その優がだ、こう聞き返したのだ。
「何、それ」
「だからね」
「よく軍隊である話にね」
「クリスマスソングが加わった」
「そうしたお話なのよ」
クラスメイトたち位も優に話す。
「その国ではね」
「そうした話があるらしいのよ」
「だから何よそれ」
また言った優だった。パンと一緒に牛乳があるが話をさらに聞くとそちらは完全に吹き出しそうなので飲めなかった。
「確かに私も軍隊にそうした話は残念ながらね」
「付きものってよね」
「思ってるのね」
「そうかも知れないけれど」
それでもというのだ。
「何でそこでジングルベルなのよ」
「歌いながら後ろでね」
「それも毎晩毎晩ね」
「その日によって人数は違うらしいけれど」
「新兵さんの意志に関係なく」
「後ろかららしいのよ」
「酷い話ね」
完全に引いた顔で言った優だった。
「自衛隊にはないわよね」
「まあないと思いたいわね」
「あの国だけよね」
「その新兵さん後で深刻なトラウマ抱えるとか」
「そんな話もあるわよ」
「それはあるわよ」
見れば優の顔は完全に青くなっていた、その顔での言葉だ。
「そんなことされたら」
「ジングルベル聞いたらね」
「食事中だから言わないけれど」
「わかるわよね」
「わかるわ」
実際にと答えた優だった。
「というかもうすぐクリスマスだけれど」
「ええ、季節的にね」
「もうすぐよね」
「それでそのクリスマスによ」
「ジングルベルも鳴るけれど」
「これから毎日聴くのよ」
優はクラスメイト達にこのことも言った。
「登下校の時とかスーパーとか百貨店の中とかで」
「そうそう、もうね」
「毎日聴く曲よね」
「聴かない日はないって位ね」
「ジングルベル聴くわね」
「それを聴いたら」
それこそと言う優だった。
「その都度思い出すじゃない」
「皆そうなってるわよ」
「どっかの誰かがネットで拾った情報らしいけれど」
「どの国の軍隊か知らないけれど」
「そうらしいのよ」
「自衛隊でないことは間違いないけれど」
「全く、吐き気がするわ」
半分本気でだ、優は言った。
「食べる時に聞く話じゃないわよ」
「まあね」
「じゃあこの話はこれで止めて」
「ちゃんと食べましょう」
「あらためてね」
皆こう言ってだった、実際にあらためて。
食事を再開した、優もそれは同じだったが。
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