IS 〈インフィニット・ストラトス〉 ~運命の先へ~
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第26話 「射撃講座・入門編」
前書き
どうも。忙しすぎてなかなか書く時間が作れないGASHIです。しかも友人が一緒に小説書こうぜとか言い出しててんやわんやです。
今回の話はもうちょっと長くなる予定だったんですが、投稿の間隔が空きすぎる可能性大のため早めに投稿することにしました。
「ええとね、一夏が勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握してないからだよ。」
模擬戦後、シャルルを交えて特訓を始める。その際、シャルルが一夏の欠点として指摘したのが射撃武器に対する理解不足だった。
「そうなのか?一応分かってるつもりなんだけど・・・。」
「知識として知ってるだけって感じかな?さっきも全然間合いを詰められなかったよね。」
「うっ・・・。」
これは俺も耳が痛い。言うなれば、俺の指導不足が原因である。格闘特化に甘えてひたすら近接戦闘の特訓に明け暮れ、射撃武器に関する事項は座学に留めていた。どうも、出来て当たり前だと思ってしまう節がある。やはり教官には向いてないな、俺。
「確かに知っていることとそれを活かすことは別物だからな。シャルルの指摘に関しては俺の責任だ。すまん。でもそれだけじゃないぞ、一夏。」
「え?まだあるのか?」
むしろもうないと思っているのか?お前の戦い方なんて端から見れば素人丸出しだぞ。性格も相まってそれはそれは酷いものが出来上がってる。
「お前の戦い方は直線的すぎるんだ。瞬時加速に頼りすぎる癖もある。そのせいで、軌道を完全に読まれて攻撃されてるんだ。」
「あ、でも瞬時加速中に無理に軌道を変えるのも危険だよ。機体に負荷がかかって、最悪の場合骨折したりするからね。」
俺とシャルルのアドバイスを交互に聞きながら、一夏はうんうんと度々頷いている。性格は素直で真面目、物覚えも良い。教える側として、一夏はかなりやりやすい部類だ。まあそれに甘えて俺の指導スキルが全然上がらないのはちょっと困りものだが。
「いやぁ、シャルルも零も説明が分かりやすいなぁ。」
一夏がニコニコしながら言う。教官役としては嬉しい一言だが、シャルルと比べられるのは勘弁してもらいたい。明らかに指導力も人柄もシャルルの方に軍配が上がってしまう。この際、シャルルに指導方法を教えてもらおうか?やんわり断られそうな気もするが・・・。
「ふん。私のアドバイスはちゃんと聞かないくせに・・・。」
「あんなに分かりやすく教えてやったのに。何よ・・・。」
「わたくしの理路整然とした説明の何が不満だと言うのかしら・・・。」
俺が割と真剣に悩んでいると、例の3人組がブツブツ呟くのが耳に入った。おいそこの教官失格者ども、そんなとこで愚痴ってないで訓練しろや。ちゃんとメニュー言い渡したろうが。それが嫌なら正座して自分の指導が如何に酷いものか反省でもすると良い。無理だろうけど。
「《白式》って後付武装がないんだよね?」
「ああ。拡張領域が空いてないらしい。だから量子変換は無理だって零が言ってたぞ。」
「そうなの、零?」
とりあえず、一夏がシャルルの質問に正確に答えられたことに安心感を覚える。さて、イコライザの話だったか。
「『零落白夜』の方に容量を使ってるからな。」
「ワンオフ・アビリティだね。織斑先生・・・初代『ブリュンヒルデ』が使っていたISと同じ能力なんだよね?」
よくご存知で。『零落白夜』は千冬さんの専用機《暮桜》のワンオフ・アビリティと確かに同一だ。その得物の銘が同じく『雪片』であるように。しかし、《白式》のデータが早くも拡散され始めてるな。それだけ注目されてるってことか。当たり前だけど。
「姉弟だからとか、そんなもんじゃないのか?」
「それだけじゃ理由にならないと思うよ。これはISと操縦者の相性が重要だから、意図的に再現できるものじゃないんだよ。」
その通り。専用機はまさにたった一人のためのISだからな。その人間に最も適する状態を学習し、選択し、成長していく。そもそも、ぶっちゃければワンオフ・アビリティ自体、本来ならば第二次形態移行後に低確率で発現する貴重な代物だ。俺の《武神》もそうだが、既に能力を持っているというだけでも異常なのである。操縦者も珍しければISもレア物なのだ。
「うーん、ちゃんとした理由があると思うんだけど・・・。零はどう思う?」
「さあ?ISにはまだまだ未知の部分が多いからな。仮説は立てられても実証はできないし。」
正直に言えば、実は理由を知っているのだが。今明かす必要もないし、何より俺が原因で噂でも流れようものなら一大事だ。シャルルを信頼していないわけではないが、迂闊に喋ることじゃない。
「今はそれは後回しだ。本題に戻ろう。」
「あ、うん。それもそうだね。じゃあ射撃武器の練習をしよっか、一夏。はい、これ。」
そう言うと、シャルルは『ヴェント』を展開して一夏に手渡す。その行動に一夏は首を傾げる。さて、俺は的の用意でもしとくか・・・。
「あれ?他のISの装備って使えないんじゃなかったっけ?」
「普通はね。でも、所有者が使用許諾すれば、登録してある人全員が使えるんだよ。試しに撃ってみて。」
とはいえ、一夏は銃器を扱うのは初めてだ。引き金を引けば弾が出ることくらいは素人でも知っているだろうが、具体的な使用方法は常識を超えている。
「か、構えはこうでいいのか?」
「えっと・・・、脇を締めて。それと左腕はこっち。分かる?」
背後から密着する形でシャルルが一夏に手取り足取り指導している。教官失格者3名の歯軋りが聞こえるようだが、気にしないでおこう。うら若き乙女たちが歯軋りなんて不名誉以外の何物でもない。
「火薬銃だから瞬間的に大きな反動は来るけど、ほとんどはISが自動で相殺するから心配しなくて良いよ。センサー・リンクは出来てる?」
「えーと・・・?」
さっきから一夏が困りっぱなしだ。とはいえ、センサー・リンクに関しては俺のせいなんだよなぁ。と言うのも、
「センサー・リンクは入れてないぞ。100%格闘戦オンリーの機体にしたかったから、そこら辺は放置してた。」
《白式》が千冬さんに欠陥機と馬鹿に・・・、じゃなかった、指摘された理由の一つである。本来、センサー・リンク機能は近接戦闘主体の機体にも搭載されているはずの基礎機能なのだが、「使わないしいらないよね♪」という製作者側の我儘から射撃に関する全ての機能を除外しているのだ。その代わりに、その分の余力を他の機能向上に使っているのだが。
「・・・え?《白式》って零が開発したの?」
「そうだが。ほら、それより訓練訓練。的の用意できたぞ。」
「え、あ、うん。ありがとう。・・・良いのかな?」
そういえば俺が束さんの関係者ってことはまだ話してなかったっけ。《白式》のことすら知ってたからてっきり知ってるもんだと思い込んでた。まあ後で話す機会はあるだろ。
「一夏、今から5回的が出現するから撃ち抜け。シャルルは後ろからサポートしてやってな。・・・よし、じゃあ始め。」
俺の掛け声と同時に、一夏の目の前に的が出現。一夏が撃ち抜くごとに微妙に位置を変えて動き回る。小気味の良い発砲音と体感したことのない反動にいちいち驚きながら撃つ一夏だが、シャルルのサポートのおかげで全ての的の真ん中付近に命中している。
「どう、一夏?」
「そうだな・・・。とりあえず「速い」って感想だ。」
『ヴェント』をシャルルに返しながら答える一夏。「速い」ね。実に単純明快で適切な感想だ。シャルルも俺も考えることは同じらしい。お互い顔を見合わせたらどうぞと笑顔で言われてしまったので、俺が代表して口を開く。
「その通り。瞬時加速も確かに速いが弾丸と比べたら話にならないんだ。だからお前の軌道が読めれば当てるのなんて簡単だし、外れても直線にしか動けないお前相手なら十分に牽制になるってわけだ。」
「なるほど・・・。」
一夏が納得したように頷く。先程一夏がシャルルに一方的に攻められっぱなしだったのも、セシリアや鈴相手に苦戦したのもこれが原因。瞬時加速は確かに優れた技術だが、それを過信したが故にちょっと速く動く的になってしまっているのだ。
「これがお前の勝てない理由だ。よく覚えておけ。」
「逆に言えば、これさえ克服できれば一夏でも勝てるようになるはずだよ。」
「なるほどなぁ。ありがとな、2人とも。」
さて、一夏も理解してくれたことだし、それを踏まえて訓練を続けるとしよう。そう思った時だった。周囲がざわつき出したのは。
後書き
・・・我ながら内容ないなぁ、今回の話。次回は今回より実のある話をできるだけ早く投稿しようと思います。
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