魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~
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第1章:平穏にさよなら
第14話「魔法の特訓」
前書き
ようやく優輝たちが魔法を練習します。
前回からそれなりに時間は経ってますが、それまでは平和な日々を過ごしていました。
=優輝side=
「じゃ、緋雪、準備はいい?」
「いいよ。じゃあシャル、お願いね?」
〈分かりました。隠蔽の術式を混ぜた結界を張ります。〉
景色が切り替わる。これで、外界からは一切見えなくなったらしい。
「じゃあ、早速魔法の特訓に入るか!」
「そうだね!」
やっぱり、魔法には憧れるのか、僕も緋雪もテンションが高めだ。
〈...マスター、まだリンカーコアは回復しきってないので、無茶はダメですよ。〉
「ぐっ...分かってるよ...。」
翠屋での一件の後、一週間が経っているが、まだリンカーコアは回復しきっていない。これでもリヒトや司さん曰く、人一倍回復は早いのだが...。
「とにかく、僕は魔力の技術や体術と組み合わせたりするとして...。」
「私は、一度自分の使える魔法を確認するんだね。」
緋雪はまだ自分の力をほとんど把握していない。司さんと同じくらいの才能はあるらしいが、それ以外は一切知らないからね。...僕も自分の力をあまり把握していないけど。
「こっちはこっちで適当にやっておくから、頑張ってなー。」
「じゃあ、私は向こうでやってくるね。」
そう言って緋雪は僕から離れた所で魔法の練習に入る。
「(さて、僕も練習に入るか。)」
〈ところでマスター、先日の転生者の件なのですが...。〉
あー、そう言えば、結局リヒトはあれから追及してこなかったな。
「よし、魔法の練習がてら、説明するよ。」
最初は魔力弾のコントロールとかでいいでしょ。
=緋雪side=
〈...なるほど。そういう事でしたか。〉
「魔法の練習に入るかと思ったら、まさか転生者の事を聞かれるとは...。」
お兄ちゃんの所から結構離れた場所で、私はシャルに転生者の事を適当に説明した。
〈では、今度こそ魔法の練習に入りましょう。今回張った結界は相当広いので、少々規模の大きい魔法でも問題ありません。〉
「分かったよー。..それで、どんな魔法が使えるの?」
一応、フランのスペルカードが使えるはずだけど...。
〈まずは、先日感覚だけで放った魔法についてお教えしましょう。〉
「えっと...ツェアシュテールング....だっけ?」
噛みそうな名前だけど、すんなり言えてよかった...。
〈はい。...それと、私と初めて会った日に使っていた魔法もです。〉
「ええっと...それはあんまり覚えてない...。」
フランのレーヴァテインみたいなのを使ってた気がするけど...。
〈とにかく、先日のからお教えしましょう。〉
「はーい。」
見た目アクセサリーに教えてもらう女の子って...傍から見たら変人だね。私。
〈まず、魔法を使った時の感覚を覚えていますか?〉
「えっと....確か、対象を“視て”、その対象を構成している緊張点を手に具現化して魔力を込めて握り潰す...だったっけ?」
フランの能力をイメージしてたから曖昧だけど。
〈概ねそれで合っています。つまりは、魔法の対象の弱点の“目”を掌に具現化し、握り潰すという魔法です。〉
「...説明を聞くと、ただの凶悪な魔法なような...。」
〈物は使いようです。〉
「まぁ、うん。そうだね。」
でも凶悪な事には変わりないと思う。
〈では早速練習しましょう。〉
「うん。...そこら辺の石でいっか。」
手頃な石に狙いを定め、掌に“目”具現化させて握り潰す。
「....あれ?簡単...?」
あっさり成功する。しかも、砕け散った石以外には全然被害は出ていない。
〈...まぁ、この魔法は他の魔法などと組み合わせた方が効果的ですからね。〉
「だろうね~...。」
あまりに簡単に成功したから拍子抜けしちゃったよ。
〈次はお嬢様にとって基本となる魔法です。〉
「基本?」
リリなのの魔力弾とか?
〈はい。最初にお会いした時の事なので、覚えていませんが、武器を作る魔法と、通常の魔力弾などです。ベルカ式なので、武器の方からお教えしましょう。〉
「はーい。」
武器を作る...レーヴァテインとか?
〈魔法名はマギー・ヴァッフェです。魔法名を言わなくても展開できますが、一応魔法名は覚えておいてください。なお、意味は魔法の武器です。この世界ではドイツ語の発音が一番近いですね。〉
「へぇー...。」
〈では、早速やってみてください。魔力を武器としてのイメージに固めればできます。〉
そう言ってシャルは杖の形態になって私の手に収まる。
「武器...イメージ....。」
〈はい。魔力の動きも安定しています。いい調子ですよ。〉
イメージするのは、やっぱりフランのレーヴァテイン。杖を芯に、赤い魔力がそのまま刃になるような、そんな大剣を....。
「....できた!」
〈お見事です。ですが...。〉
「えっ、何かダメなところが!?」
イメージが足りなかったかな?
〈魔法としては成功しています。ただ、魔力の構成が甘いので、これでは耐久性が足りません。〉
「そっか~...魔力はまだ扱いが完全じゃないもんね。」
魔力の扱いに慣れないと、この魔法も強くならないって事ね。
〈これは要練習ですね。次は遠距離魔法です。魔力を球状に固めてください。〉
「えっと....こう、かな。」
掌に浮かぶように魔力弾が出てくる。
〈では、それを自由にコントロールしてください。後は数を増やしたりしていけば立派な遠距離魔法です。〉
「し、シンプル....!」
確かにちゃんと魔力を固めればそれだけで鈍器のような攻撃ができるけどさ。
〈こればかりはお嬢様による応用に任せられます。〉
「そっかぁ....。」
リリなのに出てくる魔導師たちも皆同じような感覚だったのかな?ともかく、これは練習あるのみだね。
「あっ、遠距離と言えば、砲撃魔法とかはないの?」
〈ありますよ。ただ、まずは魔力弾を普通に扱えるまでは危険です。魔力が暴発する事もあるので。〉
ちょ、物騒な...。でも、暴発するのなら後回しかぁ...。
〈基本となる魔法はこのぐらいです。後は念話や並列思考ですが...これは日常生活で練習すればいいので今はいいでしょう。〉
「じゃ、しばらくは練習だね。」
それからしばらく、魔力の操作を練習したり、魔力弾や武器を上手く作るのに勤しんだ。
「...ふぅ~....結構、疲れるものだね...。」
〈これで基本はほぼ完璧です。実戦でも問題は早々起きないでしょう。〉
何とか魔力弾を多数展開して操作や、砲撃魔法などを使えるようになった。...私の魔力、凄く操作しづらいと思うのは私だけ!?
〈しかし、お嬢様は未だにご自身の魔力に振り回されている節があります。基本魔法の習得に時間がかかったのもそれが影響しているのでしょう。〉
「ど、通りで難しかった訳...。」
〈ですので、今度は精密操作などで魔力操作に慣れてもらおうと思ってますが...お嬢様は相当疲労されておられるようなので、一度休憩しましょう。〉
「そ、そうするよ....。」
魔力も結構使ったので、だいぶ疲れた...。
「あ、そうだ。お兄ちゃんの方はどうなってるかな...?」
気怠くても歩く体力は結構余っていたので、お兄ちゃんの所へと向かう。
「...これ、は.....。」
〈...流石...と、言うべきでしょうね。〉
お兄ちゃんの所に来てみると、五つの空き缶にそれぞれ魔力弾を毎回違う缶を狙って当てて飛ばしていた。
「...ねぇ、シャル。これって、どれくらい難しいの?」
〈五つの魔力弾を別々に動かし、さらには毎回狙う缶を変えているので、そうですね...魔力操作が難しい魔法を10としたら、ざっと100は行きますね。〉
分かりづらい例えだけど、凄いのは何となくわかった。
「凄い...正確で、綺麗....。」
見惚れてしまう程性格に空き缶に当てていて、とても綺麗に見えた。しかも、これをお兄ちゃんがやっていると思うと、凄く興奮する。
「....ラストっ!」
お兄ちゃんが突然声を上げ、最後を決めるように魔力弾を空き缶に当て、遠くにある置いてあった籠に全て入れる。....と思ったら、一つだけ弾かれた。
「あちゃ...一つミスったか...。」
〈飛ばした位置と狙った場所の距離からすれば、充分だと思いますよ。〉
「いやぁ...それでも一つだけ入らないとなんか嫌じゃん?」
〈何となく気持ちはわかります。〉
私から見たら、もう次元が違うとさえ思えてくるんだけど...。
「じゃ、緋雪も休憩してるみたいだし、僕も休憩に入るよ。」
「(ば、ばれてた!?)」
明らかに私の方を向きながらそう言うお兄ちゃんに、私は驚きを隠せなかった。...うぅ、これでも身を隠してたのに...。
=優輝side=
「もー...なんでばれたの?」
茂みから緋雪が出てくる。
「魔力の動きを読んでたから...かな。」
「魔力の..動き?」
良くわからないといった顔をする緋雪。...まぁ、普通は分からないよな。
「ああ。魔力を持つ存在からは、隠しておかないと魔力が感じられるんだ。さらに、いくら持っている魔力を隠していても、一度魔力を使った直後だと、体に魔力が纏わりついていて探知できる。」
これはリヒトから魔力について聞き、そこから僕なりに考えた事だ。尤も、リヒトも知っていた事だったみたいだ。
「今の僕は、魔力がとても少ないからな。ならば、いかに使用魔力を最小限に抑え、効率よく使うかが重要になる。それの一環として、さっきのような事や、魔力の気配を探知するような技術を伸ばしているんだ。」
「...ほぇー....。」
いや、そんなポカーンとされても...。
「リヒト曰く、既に魔力操作は神がかってるとか言われたけどな。」
「うん。それは同感だよ。」
苦笑い気味に言うと、今度は即答された。
「...よし、休憩後に一度模擬戦するか。」
「ええっ!?」
ふと放った僕の言葉に驚く緋雪。...まぁ、魔力量が違うしね。
〈...マスター?回復しきっていないリンカーコアで、何を言ってるんですか?〉
「うっ....。」
静かに怒るような口調でリヒトが言ってくる。
「あー、分かった分かった。だったら、今度は一緒に練習でどうだ?」
〈...それならいいでしょう。〉
「お兄ちゃんと一緒にって...一体どんな?」
共同での魔法の練習と言うのがよくわからないんだろう。
「魔法を避ける練習とか、そこら辺だな。」
「なるほど。」
とりあえず、休憩するために変換資質で創りだした刃を潰したナイフでジャグリングをする。
...え?休憩してないって?魔力はこれ以上使ってないし、大丈夫大丈夫。
「....ん、よし。回復したよ。」
「僕も回復してるなっと。」
緋雪の言葉に、僕はナイフをキャッチしながらそう答える。
「じゃあ、早速行くから、ちゃんと避けなよ?」
「えっ...?」
「シッ!」
キャッチしたナイフを投擲する。
「うひゃぁっ!?」
「さてさて、どんどん行くぞ?」
魔力弾を五つ出し、攻撃する。
「ちょっ、いき、なりっ、すぎ、ないっ!?」
「そういう練習だし?」
「にゅぁああああああ!!?」
次々と飛来する魔力弾を、危なげながらも回避する緋雪。
「ほいほいほいっと。」
「そんな操〇弾みたいに!?ちょ、避け、づらっ...!」
シュババっと手を動かし、五つの魔力弾を自由自在にコントロールする。
あ、当たった。
「いたっ!?」
「あー...デバイスとか障壁も使っていいよ?」
「あ、そうなの?」
いや、避けるだけだったらそれこそ魔法の意味が少ないし。
「そう言う事なら!....って、え...?」
「まぁ、そう簡単に魔力弾を消させないけどね。」
迎え撃とうとして空振りする。僕が魔力弾を回避させたからな。
「あたっ!?ちょ、当たら、ないっ!?って、また痛っ!?」
緋雪は杖を振り回すが、一切当たらず、むしろさっきよりも被弾している。
「あーもう!盾!」
「お、障壁を張って来たか。」
なら、と、魔力弾を鋭く、まるで針のようにする。
「...えっ?魔力弾って、そんな事できるの...?」
「僕の魔力弾って、変換資質のおかげで自由に形が変えられるんだよね。」
つまり、鋭くすればその分、貫通力が増えるって事だ。
「貫け!」
「え...~~~っ!!?」
針の孔ほどまで鋭くした魔力弾は、障壁を破壊せずに貫き、そのまま緋雪に直撃した。
「鋭くした分、魔力密度も高くなってるから、障壁も貫けるよ。」
「いや...怪我はしてないのに痛くてそれどころじゃない....。」
むぅ...もっとやりたい事はあったんだがな...。
「じゃあ、今度は緋雪の番だよ。」
「いつつ....お返しなんだから!」
お返しとばかりに魔力弾を僕に撃ってくる。
「っと。」
「逃がさない!」
「やっぱ速いなっと!」
魔力の質も量も違う緋雪の魔力弾なので、当然弾速も僕より速い。避けきれないと瞬時に悟った僕は、その魔力弾を腕で受け止め、受け流す。
「えっ!?今の、どうやったの!?」
「ちょっとした魔力の工夫だよ。」
本来なら、魔力弾は当たった瞬間に炸裂するが、僕はそれを薄い魔力の膜で“当たった”という判定をなくして受け流している。
「...むぅ...。」
「さぁ、どんどん来な!」
魔力も十分に残っているから、このままノー被弾で行くぞ!
「はぁ...はぁ...まさか、あれだけの魔力で当てられないなんて...。」
「っ...よし、何とか、耐え切ったぞ...。」
あの後、ずっと緋雪の魔力弾を避けるor受け流し続ける事で、見事に当たらずに済んだ。ただ、滅茶苦茶疲れたけど。
「お兄ちゃん...凄いよ...。」
「ま、魔力が足りないからジリ貧だけどな...。」
緋雪が僕にしなだれてくる。緋雪も疲れてるのか...。
〈マスターはまず、リンカーコアを回復させるべきですからね。〉
「そういう事だな..。じゃ、今日はもう終わりにするか。」
「そうだね...。シャル。」
〈結界を解除します。〉
途轍もなく疲れたので、しばらく休むか...。
この後は、少し休憩した後、普通に一日を過ごして行った。
後書き
今回はここまでです。
緋雪の魔力量は2話の時よりも増えていて、今はS-ランクぐらいです。
その緋雪の攻撃を現状D-程の魔力で凌ぎきる優輝は、文句なしの規格外です。
感想、アドバイス待ってます。
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