『八神はやて』は舞い降りた
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第5章 汝平和を欲さば戦に備えよ
第40話 ヤンシア・デレジェント
前書き
遅くなりまして、申し訳ありません
終わりまでのプロットができてるのに、遅筆なのです。
ただ、寝かせておくと、キャラが思いもよらない方向に走ったりします。
その結果が、聖女()さんでした。ファンの人はごめんなさい!
第40話 ヤンシア・デレジェント
「はやてさんはいらっしゃらないのですか……」
気落ちした様子をみせるアーシアをみて、リアスはため息をついた。これで何度目だろか。アーシアから、はやてたちが、よそよそしくなったと聞いてから、リアス・グレモリーとて何もしなかったわけではない。はやてには悪いが、こっそり悪魔の監視をつけていた。
しかも、はやての強さを考慮してか、わざわざサーゼクスに頼んで、腕利きを用意していたのだ。
だからこそ、八神家には問題などない。と、不安がるアーシアに言ってみせた。事実、監視の報告からも何もないし、リアスの目からしても、とくに奇妙な点はなかった。そもそも、最近のほうがおかしかったのだ。はやてたちのほうから、悪魔の事情に首を突っ込むことはなかった。アーシアの件は、例外なのである。彼女はよそよそしくなったと感じているようだが、なんのことはない。ただ、元の関係に戻っただけ。
聞くところによると、ほとんど家族同然の付き合いをしていたようだ。はやてはアーシアを妹のようにかわいがっていたし、アーシアも命を助けてもらったはやてに懐いていた。たしかに、はやてとアーシアが疎遠になったのは、気になった。
が、いつの間にか、アーシアからの積極的な――いささか積極すぎる――アプローチにより、はやて要塞は陥落していた。元さやに戻った、というよりは、猛アタックするアーシアにたじたじのはやて、というおかしな関係に落ち着いた。
「何度もいうけれど、はやてたちは、本来グレモリー眷属じゃないのだから、冥界への合宿にも行けないのよ」
「はあぁ~、はやてさんとのめくるめく青春のラブトーリーがぁ、ときめきのメモリアルがぁ……部長も私たちの門出を邪魔するんですか!?」
誰だこいつ。もう何度めかもわからない問いを発する。目からハイライトが消えておどろおどろしい空気を放つようになったアーシアをみて、特大のため息をついたリアス・グレモリーだった。
◇
今日はアーシアを家に招待した。以前から、アーシアの家とボクの家を行き来する仲だったが、記憶を取り戻してからは、初めてになる。他のグレモリー眷属からは距離を置いているのにね。てっきりリインフォースたちは、反対するだろうと思っていたが、むしろ賛同してくれた。何をたくらんでいるんだろう? ま、ボクに不利益を与えるようなことではあるまい。それくらいは彼女たちのことを信頼している。
「アーシア、そんなにくっつかなくても……」
「えへへ、はやてさんってあったかいですね」
「そりゃ、そんだけくっつけばね」
アーシアとの距離感がつかめなくて、最初はギクシャクしたけれど、いまはすっかり前のように打ち解けた。というか、アーシアの押せ押せオーラに根負けしたというか。あるぇ~、アーシアってこんなに押しの強い少女だったっけ? もっと、こう儚げな薄幸の美少女だったような。さきほどから、ぴったりとくっついて離れない。
「いままで急に邪険にされた罰です」
「それを言われると弱いなぁ」
一方的に距離を置いたのはこちらだし、アーシアはボクの復讐対象ではない。つまり、非はこちら側になるわけだ。しかし、ちょっと見ないうちに、性格がずいぶん変わったような。最近の妹分の成長に戸惑いを隠せない。守護騎士たちとは、違ったスキンシップだ。……ちょっと、いいかも。なんて。
「はやてさん、ってなんかオーラ出ていますよね。なんか、こう、はやて粒子とか散布してそうです。アーシアは、はやて粒子を浴びて浄化されそうですぅ。あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃあ^~」
謎言語をしゃべりだした。なんじゃはやて粒子って。ミノスフスキー粒子か! これって富野好きが由来って聞いたけど本当なのかね? じゃない、慌てて魔力を制御した。アーシアの謎のアタックに動転して騎士甲冑を展開しかけていたらしい。
ボクのかわいい小動物みたいなアーシアはどこにいったの。いまのアーシアは、まるで肉食獣だ。隙あらば、ボクの胸を触ろうとしてくる。前こっそりアーシアの部屋をサーチャーでのぞき見したときは、ストー……うん、忘れよう。考えるな。部屋一面のとうさ――写真……溢れ出すはやぐるみ……うっ、頭が。
あれだ、うん。悪魔のせいだね。そういうことにしておこう。悪魔ゆるすまじ!
「主はやてが幸せそうでなによりです」
「はやての困り顔っていうのもレアだな」
ボクの愛する家族たちは、アイス食べながら傍観してやがる。おい、ヴィータ、夕飯前でしょ。おやつ抜きの刑。慈悲はない。
そんなこんなで、ちょっと変わってしまったアーシアを八神家は暖かく迎え入れたのだった。彼女は、グレモリー眷属だから、敵対する可能性は高いけれど……考えないようにしよう、いまだけは。願わくば、大願成就のあともこの幸せがつかんことを。きっと無理だとわかっていても、願わずにはいられなかった。あ、でも神様いないんだった。神は死んだ。
とまれ、そろそろ夕食だよ! ちょっと時間早いって? いやいや、ちょうどいい時間です。決してスマブラでカービィ軍団にはめ殺されたからじゃないよ。シグナム、剣つかえよ。
というわけで、今日は――闇鍋じゃぁあああ!!
◆
こ、これがはやてさんのお部屋。女の子の部屋にしては、殺風景ですが、はやてさんらしいといえばらしいのかもしれません。おっと、そんなことより、いまはこの神聖なる空間の空気を全身で浴びねば。
「アーシア、急に深呼吸しだしてどうしたんだい?」
「いえ、お気になさらず。いま、私は神聖なる使命を実行している最中なのです!」
顔に疑問符を浮かべながら、とりあえずはやてさんは、うなずいてくれました。きょとん、とした顔がとってもレアですね! あぁ、普段の凛々しいお姿に垣間見える新たな一面にアーシアは感激にむせび泣いて天にも昇る気持ちです。
「ア、 アーシア? 急に涙を流して、どうしたの?」
はやてさんの心遣いが、身に染み入ります。なんてお優しい方でしょう。私もかつて聖女と呼ばれていたこともありましたが、はやてさんこそ、本物の聖女です。あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃあ^~。……イっちゃいそうです。
「鼻血出ているよ!? 本当にどうしたの!?」
おっと、鼻から愛情が漏れてしまいました。
はやてさんがいなければ、私は十字架に貼り付けにされて死んでいたでしょう。みなさんには黙っていましたが、ヴィータさんに救出されたときの記憶は、うっすらとですが残っていたのです。当の本人が、黙っていたそうにしていたので、口には出しませんが。ハッ!? これってもしや、二人だけの秘密というやつでしょうか。いやん、照れますね。でも、二入だけの秘密、なんという甘美な響きでしょう。
実は、はやてさんのご家族から、ある相談を受けています。とてもとても重大な相談です。私の人生は、岐路に立っています。けれども、私の進む道は決まっています。最愛の人とそい遂げたいから、そのためなら、なんだってします。たとえ、何を犠牲にしようとも。
はやてさんに、救われた命です。きっと神もお許しになるでしょう。あ、でも、神はなくなっていましたね。なら、私の神は、八神はやてです。悪魔なんだから、悪いことしても仕方ないですよね。
◆
「今日は良き日でした」
アーシア・アルジェントは、にこにこしながら自室でつぶやいた。闇鍋という日本の伝統料理をごちそうになった。みんなでわいわい橋をつつくという初めての経験は、とても楽しかった。シャマルが入れた物体Xではやてが倒れたことで、途中で中止になったが。
なお、なるべく好物を入れるように、といわれたので、はやて人形を入れたところ叱られてしまった模様。
そんな騒がしい家、とても温かく陽だまりのような家だった。そんな家の一員として迎え入れられたことが、とてもうれしく、誇らしかった。
リインフォースから打ち明けられた、はやての秘密。迷うことなく彼女の提案に乗った。明らかに主であるリアス・グレモリーに不利益があるその提案を。そこに罪悪感はかけらもない。だって、彼女は悪魔なのだから。
「あぁ、いまのこのあふれる思い、胸の内に秘めた熱きパトスを解き放つのです!」
すぅーっと、息を吸い込むと、一気に言葉を解き放った。
「はやて!はやて!はやて!はやてぇぇえええわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!はやてはやてはやてぇええぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!八神はやてたんのライトブラウンの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
アニメ第二期のはやてたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
アニメ2期決まって良かったねはやてたん!あぁあああああ!かわいい!はやてたん!かわいい!あっああぁああ!
コミック2巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…アニメもアニメもよく考えたら…
は や て ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!駒王ぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のはやてちゃんが僕を見てる?
表紙絵のはやてちゃんが私を見てるぞ!はやてちゃんが僕を見てるぞ!挿絵のはやてちゃんが僕を見てるぞ!!
アニメのはやてちゃんが私に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!私にははやてちゃんがいる!!やったよ美少女はやて!!ひとりでできるもん!!!
あ、コミックのはやてちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあはやて様ぁあ!!夜、夜天の王!!魔法少女ぁああああああ!!!合法ロリぃいいい!!
ううっうぅうう!!私の想いよはやてへ届け!!駒王のはやてへ届け!」
ぜぇぜぇと肩で息をしながら、心地よい満足感に彼女は浸った。光を映さない瞳に、思い人の写真をみやる。今日、新たに仲間に加わった写真の群れをみて、にぃ、と彼女は嗤った
アーシアの部屋には、壁という壁にびっしりと八神はやての写真が貼ってあった。
後書き
・ヤンシア・デレジェントになりました。ヤンデレェ。
・くんかくんかジェネレーターを使っているところを後輩に見られました。仕事中に遊んではだめですね。
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