フランの狂気になりました
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第五話
前書き
さぁ、この連投いつまで続くかな?
この場を見た者が居れば、間違いなく立っている者が犯人だと誰もが思うだろう。
元々赤かった壁紙やカーペットを染め上げる赤。同色なのに何故か目立つその赤からは、鉄の様な鼻につく匂いをこの場所に充満させている。
そして、その場所で棒立ちする少女の目のには光が無く、只々自身の右手を凝視していた。
その少女の前には金色の髪の女性と、頭部が弾け飛んだ様に無くなっている男性だったろう体が横たわっていた。
「お父様っ!!お母様っ!!」
そして、立っている少女の背後から同年代程の水色の髪の少女が横を、倒れる二人の元へ駆け抜けて行った。
「嘘……でしょ?お父様……お母様……」
水色の髪の少女は倒れている二人を目に涙を浮かべて見た。そして、その二人が二度と目を覚まさないとさとると、立ちっぱなしの少女を睨んだ。
「………フラン……。貴女が、貴女がお父様とお母様をっ………………何で……何でよ……。もう二度とお父様もお母様も目を覚まさない!貴女が………貴女がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!この──────」
そこまで言われて漸く自分の右手から水色の髪の少女へ視線をうつす。
そして……………。
「─────────親殺し!!!!」
──────────────────────
時は遡り…………。
どうやら、フランは扉を能力で破壊したみたいだ。
それと、俺はフランが『ギュッとしてドカーン』と小声で言ってたの聴いたぞ?
何だかんだ気に入ってんじゃねぇの?お?お?
とっ………そろそろ地下から出るみたいだな。
地下から出たフラン。フランと視覚共有をしている俺も当然その瞬間を見た。
どうやら夜らしい…………が。
暗い。吸血鬼は夜目が効く様でそこまで不便には感じないが、人間だったら間違いなく何も見えない。
それ程の暗さだった。
フランも気になったらしい、近くに有った窓から空を見上げた。
『あ!月が無い!!』
フランが夜空を見上げて言った、どうやら新月の様だ。
それならこの暗さも肯ける。
すると、突然フランが落ち込み始めた。
「?フラーン?どした?急に落ち込みだして」
『だって~、せっかく久々に出てきたのに新月なんて………あ~あ、運悪いな~』
ん~?そんなにがっかりする事かな?
吸血鬼にとって月は特別ものだし、やっぱり無いとがっかりするもんなのかな?
残念ながら、人間の感覚がまだ抜けていない俺には解らないのだが………。
というか…………
「だけどフラン、今が夜って事はフランの家族が起きてんじゃ無いか?」
『そうだけど、昼間に出てそれからどうするの?太陽の下に生身で出る訳にいかないでしょ?』
む、それもそうだ。日傘かなんか探せばとも思ったが、この屋敷中を無闇に歩き回ってフランの家族に起きられたら意味が無い。
『さて、出るよ?』
フランはそう言うと、窓から離れて右手をその窓へ向けた。
そして、ゆっくりとその右手を閉じていき──────
─────刹那、フランの足下が爆ぜた。
『っつ………!!』
「んなっ!?」
フランは咄嗟によけるが爆風に煽られて思いっきり吹き飛んだ。
「おいおい!一体誰だよ!?…………!」
自分で言って気が付いた。此処はフランの家だ、そしてその中で襲って来る者など……………。
いや、まだ決まった訳ではない。
そう自分に言い聞かせる。
だが、現実は非常であった。
『…………何をしている?“フランドール”』
聴こえて来た威厳の有る声音。
そして、感じる。フランの動揺。
『お……お父さま。お母さま………』
!………あれが……フランの両親か。
フランの視界に映る二人の影。
紫色の髪をして、蝙蝠の様な羽のある男。そして、金髪にフランと同じ羽………フランをそのまま大人にした様な女性が立っていた。
『何度も言わせるなフランドール。何をしている?』
ギロリと睨みつけながら問いただそうとする男。
その目には“怒り”よりも、“苛立ち”や“恐怖”といった感情が出ていた。
残念ながら子供が悪い事をしたから“叱る”時に出す感情では無いだろう。
『あなた、強く出過ぎですよ?フランが怯えてるじゃありませんか』
男を遮って女性がフランの前に出た。
あれがフランの母親なのか………。
『全く………フラン、貴女のお父様を許してあげてね?さっ!今日は皆で食事にしましょう!』
そう言ってフランに手を伸ばすフランの母親。
フランがその手に触れようと手を伸ばそうとした瞬間─────
フランの身体に鎖が巻きついた。
そして、そのままフランは再び吹き飛ばされた。
今度は爆分なんて生易しいものでは無く、フランに直撃した。
そして、フランに巻きついた鎖を引かれ身体を持ち上げられる。
『ふん、フランドール。貴様が我の言いつけを守らなかった罰だ、甘んじて受けろ!!』
そう言って男はフランに殴る、蹴るの暴力を行い出した。
嘘だろ………。これが親のやる事か!?
「フラン!俺と変われ!お前は何も悪くない!!」
『……………じゃあ………月華は何か悪い事した?』
………え?何言ってんだ?
『私がお父さまの言いつけを破ったのは本当の事だし………』
だけど!!
『月華………………私は大丈夫だよ』
こう話している間にもフランは目の前の男から罰と言うなの暴力を受けている。
『反省したかフランドール。これに懲りたら…………いや、良い。フランドール、完結に言うぞ──────』
そして、この男は親として子供に絶対に言ってはいけない言葉を使った。
『────死ね。我の為に、家の為に………な?』
─────────────あ゛
『……………な、んで……?』
『決まっているだろう。お前は危険だ。お前の能力が、存在が危険なのだ。だから、今ここで───』
『あ、あああ、ああああああ』
『───死ね』
ああああああああああああああああ!!
フランの意識が自己防衛の為に意識を閉じた。
そして、同時に俺が表に出てくる。
「さらば、フランドール!!」
目の前の男の手にはいつの間にか高密度の魔力弾が作られていた。そして、俺に向かって魔力弾を飛ばして来た。
「あああああああああああ!!」
俺の中で何かが弾けた。
そして、それと重ねて迫っていた魔力弾と男の頭部が同時に弾け飛んだ。
返り血が身体にふりかかる。
こんな男の血液がかかるなんて気持ち悪い。身体にかかった血を払っているとフランの髪の毛が伸びている事に気づいた。
ちょうど精神世界の俺と同じ位だ。
今度はフランの母親に向く。
「…………貴女は………誰かしら?」
「…………………」
「何者かと………聞いてるのよ!」
「…………………」
俺は無言を通した。
「質問に答えなさい!“私の”フランに何をした!?」
“私の”だと?
どの口が言う?
女の左腕が弾けた。
女は声にならない絶叫をあげる。
「耳障りだ。黙れ」
そう呟く、すると女は吐血した。
それから女の喉からは空気しか出てこなくなった。声帯を“壊した”それだけだ。
「………フランはお前のじゃない。お前はフランにとって只の障害だ。生きる上での障害はください超えて行けばいい。だが、超えられない障害は?」
俺は女の目の前までいって、耳元に囁く様に言った。
「“壊す”しか無いだろう?」
そして、女の心臓と脳が、体内で弾けた。
─────────────────────
親………殺し………。
この言葉は俺に言われたんじゃ無い。“フラン”に言われたんだ。
この二人を殺したのはフランじゃない俺だ。
だが、このレミリアであろう少女は俺の存在を知らない。
俺が、勝手に暴走して勢いでこの二人を殺したせいで…………フランを……フランを親殺しにしてしまった。
ピシッ
俺の一時の怒りでフランと目の前の少女から親を、フランを親殺しに………。
ピシッピシピシピシ………
“俺のせいで”
この瞬間、俺中で何かが壊れた。
――――――――――――――――――――――――――――
後書き
|´-`)アリガトウゴザイマシタ
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