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ウィッグマン

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第五章

 ビリーもだ、目を瞠って言った。
「これいいね」
「ウィッグマンになる?」
「なりたいの?」
「いや、そこまではいかないけれど」
 こう友人達に答えるのだった。
「この鬘はお土産に欲しいね」
「ああ、そう言われると」
「もうかなり独特で」
「家へのお土産にいいね」
「最適だよ」
「うん、この鬘買えるかな」
「勿論だよ」
 その鬘の学校の先生が笑顔でだ、ビリーに答えた。
「買えるよ」
「そうですか、じゃあ妹にお土産頼まれてるんで」
「妹さんにだね」
「お土産に買っていきます」
「よし、僕もね」 
 先生も言うのだった。
「ステディに一つ買って行こう」
「先生もですか」
「うん、お土産約束してたしね」 
 だからだというのだ。
「買っていくよ」
「そうしますか」
「これはいいよ」
 実にという言葉だった。
「まさにパプワニューギニアだよ」
「観光ですから」
 鬘の学校の先生はここでもこう言うのだった。
「どうぞ」
「はい、じゃあ」
「買わせてもらいます」
 他の学生達も買ってだ、そしてだった。
 皆その鬘をお土産に買った、そしてこの日もそれからもだった。パプワニューギニアのことを学んでだった。
 全ての日程を終えてからタスマニアに帰った、そして。
 ビリーは家で妹にその鬘を出してだ、笑顔で言った。
「はい、これがね」
「お土産ね」
「パプワニューギニアのね。どうかな」
「凄いわね、これならね」
 妹はその鬘を受け取ってだ、満面の笑顔で言った。
「私も被って遊べるから」
「壊さないでね」
「ええ、お土産有り難う」
「また行きたいね」
 にこりと笑ってだ、ビリーはこうも言った。
「あの国に」
「気に入ったの?」
「かなりね、これまで馴染みがなかったけれど」
 それでもというのだ。
「いい国だったから」
「また行って」
「楽しく勉強したいね」
 妹に手渡したその鬘を見て言うのだった、パプワニューギニアは彼にとって楽しくかつ馴染みのある国になった。


ウィッグマン   完


                         2015・10・27 
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