ペルなの
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15.夜更け
前書き
遅くなって済みませんでした!
※10月28日 一部修正
「どうしようかな……」
ベルベットルームから戻ってきた彼女はベッドの上で頭を悩ましていた。
それもこれもイゴール達に聞いてきた話を合わせた彼女の知識をなのは達にどれだけ伝えていいのかである。
シャドウがこうして目の前に現れた以上、前までの様に全てを秘密にしておくのは色んな意味で良くない悪手であるのは確実。
既に最低限の事は話してあるが、彼女が体験してきた濃紺な一年間やさっき聞いてきた別の所で起きた影時間とは違う濃霧の漂うアチラ側の話等は当然の事ながら話してはいない。
そもそもこれらを話した所で特に何か進展がある訳でもなく、時間解決の糸口に繋がるヒントをこれらに求めるのは無茶だろう。
とはいえ、シャドウに関してこんな事件があったという事例ははやての様な指揮官には重要な情報にもなるというのも分かるし、もしかしたら専門家からしたらこうした話でもヒントを見つけ出してしまうかもしれない。
だがしかし、彼女はとある疑念を無視は出来ないでいた。
なのは、フェイト、はやて等を始めとする起動六課のみんなは良い人ばかりで話しても問題無さそうだと彼女から見ても思うが、あの幾月もあの時までは頼りになる人だったのだ。
それに彼女たちが大丈夫であってもその上にいる上層部達がシャドウについて悪用しないかは分からない。
管理局という巨大な組織にいる以上、なのは達もその義務を果たさないといけないのを考えれば簡単には話せない。
既に何者がシャドウをテロの手段として利用する方法を持っているかもしれないが、それが管理局の様な大きな組織の手に渡って更に研究が進んでしまえば第二のタルタロスが誕生するかもしれず、再びニュクス覚醒の呼び水となって世界終焉を引き起こしかねず、それが彼女の世界にまで伝播すればあの戦いの全てが無駄となってしまう。
それだけは何としてでも阻止しないといけない。
あの世界には空っぽだった彼女を満たしてくれた大切な人達がいるのだ。
「でも、このまま手を打たずにいたら、それはそれでどうなるか分からない……」
冥府を治める神様が引き起こした事件と同様の霧の中に出るシャドウ。
もっとも、地球でのそれは神様がシャドウの住む“裏面”への道をテレビを媒介にして繋げた先での事で、現実世界だと霧と無気力・諦め等の負の精神を煽るだけだったらしいが、ミッドチルダでは現実での世界でシャドウが出現している。
シャドウに普通の人が襲われたらどうなるのかは良く分かってるからこそ、彼女は話さないという選択肢を軽々と選べない。
現時点で彼女が持つ情報はあくまで過去の地球で起きた実例だけで、到底今回の事件答えに辿り着くのは不可能。
だが、管理局が持つ情報にエリザベスが例えで言っていた神器やそれに類するのが『ロストロギア』とカテゴライズされている中に含まれている可能性はあり、その情報があれば事件の核心に迫れるかもしれない。
なのはの知り合いが無限書庫という様々な世界の情報を収集管理している部署で司書長をしてるという話も聞いていたのも彼女を悩ましている原因の一つである。
デスが宿っていた頃の自分であれば、こんなに悩まなかっただろうなと彼女は思う。
別にこの世界に永住する気は無いし暫くすれば地球に帰してくれるとも言われてるのだから、この世界の事なんて管理局の専門家達に丸投げしてお茶を濁す程度のお手伝い程度で済ませればいいのだ。
しかし、現に彼女はこうして頭を悩ませこの問題に頭をつっこんでいる。
それもこれもあの一年で変わった影響であり、こっちであった人達がみんな良い人だったからだろう。
そう長くない付き合いで人の機微も周りに合わせる為以外では結構鈍い彼女だが、それは理解している。
少なくとも冷たい理性とは違う所で、話してもいいかどうか悩む程になのは達は信用しているのも確かな事実である。
「こんな時に先輩達がいてくれたらなぁ。あー、でも最初は慎重論でってなってもみんな素でお人よしだから結局は深く関わる事になるんだろうなぁ」
自分を棚上げした評価を仲間達にしてゴロゴロとベッドの上を転がる彼女。
『どーっしよっかなー』と言いながらも思考が空転を始め、ゴロゴロとする動きも鈍くなる。
現在時刻は午前2時13分。
管理局での初出動で先も碌に見えない霧の中で文字通り暗中模索しながらシャドウとの戦闘を行った彼女は心身共に疲れてるのだから、こんな夜更けの時間帯で睡魔に襲われない訳がない。
当然の如く秒単位で眠気の攻勢が強まっていき、それに伴って頭の回転が鈍くなっていく。
そうなると余程責任感が強いか徹夜慣れしてる人でないと細かな物事はどうでもよくなり、『もうこれでいいか』と感覚的に大雑把な結論を出しやすくなってくる。
タルタロスに通い詰めて徹夜慣れしてそうな彼女だが、それはタルタロスに向かう前に仮眠をとっていたからこその徹夜であり、居眠りしたら体調が良くなるレベルで眠り好きでもあるのだ。
目がとろーんとしてきた彼女は残った理性で抵抗を試みるが、圧倒的な眠気と本能の攻勢を抑えるには無力だった。
意識を手放す直前に『もう取りあえず話してその後はその後で考えればいいや』と理性丸無視な結論を出して睡魔に身を任せた。
後書き
次辺りに話を進めていきます
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