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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第1章:平穏にさよなら
  第10話「学校にて」

 
前書き
優輝の人間関係は、浅くとも良好な関係な感じです。特定の友人という相手はいませんが、万遍無く友好的な人間関係という感じです。(作者もこうなりたい...。) 

 


       =優輝side=



「おはよー。」

  教室に入って挨拶をする。

「おお!優輝!もう復帰したのか!」

  一人の友人がそう言って肩を叩いてくる。

「まぁね。高熱だったけど一日で治ったよ。」

「いやぁ、結構心配してたぜ?」

「あはは、もう大丈夫だよ。」

  そう軽口を叩き合いながら、僕は席に着く。

「おはよ、優輝君。ホントにすぐ治ったね。」

「あ、司さん。緋雪も問題なく回復したよ。」

  司さんも挨拶してきたので、少し会話をする。

「そっか。よかった...。じゃ、また後でね。」

  そう言って席に戻る司さん。...後があるのか?

「...おい、優輝...。」

「うん?なに?...ってうわ。」

  友人の声に振り向くと、周りの男子が全員僕を見ていた。

「お前...いつの間に聖奈さんを名前で呼ぶようになった!?」

「えっ?....あっ。」

  しまった、忘れてた。学校じゃ司さんは有名だから名前で呼んだらこんな事になるくらい予想できた事なのに!

「あー、えっと、昨日お見舞いに来てくれたんだよ。」

「なっ....!?」

「「「「「なんだって!!?」」」」」

  周りの男子が一斉にハモって叫ぶ。...耳がぁ...!

「いや、司さん、妹の緋雪と知り合いだったからさ...。ぼ、僕はついでだよついで。」

  あまりの迫力に、つい嘘を言う。

「な、なんだ。ついでか....。」

「いや、誤魔化されねぇぞ!それじゃ、なんで名前呼びになってるんだ!」

「そうだった!どうしてだ!」

  そう言って肩を揺らしたり詰め寄ってくる皆。

「ちょ、やめろって....全員、一旦落ち着け!!」

  あまりにもみくちゃにされるので、一喝して何とか止める。

「あー...簡単に言えば、司さんが兄妹共に名字で呼ぶとごっちゃになるから、緋雪を名前で呼ぶようにしたんだけど、それだと不公平だから僕の事も名前で呼ぶようにした訳。...で、そこからさらに派生して僕も司さんを名前で呼ぶようになったって事。」

「....う、羨ましい...!」

「優しい司さんならあり得る事だろ?」

  嘘と事実を混ぜて言う。

「...と言うか、もし僕のお見舞いに来てたら、お前らも司さんを名前で呼べるようになってたかもしれなかったんだぞ?」

「....あ。」

  その考えはなかったと言わんばかりに固まる男子達。....おいこら。

「な、なぁ、優輝。一度冷水を頭から浴びてみないか?」

「....それは僕にもう一度熱を出して、お見舞い行かせろって事か?」

「うっ....。」

  バレバレだろ。...というか、僕をダシに使うな。

「そんな事をするとさすがの司さんも嫌うぞ?」

「「「「「ごめんなさいやりません!」」」」」

  変わり身早いな。ってか、お前ら全員同じこと考えてたのかよ。

「はぁ....。とりあえず、もうすぐホームルームだから座れよ。」

「くそ、これが強者の余裕か...。」

「妹さんだけでなく、聖奈さんまで....!」

  ブツブツ言いながらも全員自分の席に戻る。ちょうどそこでチャイムも鳴った。

「(...なんか、平穏から遠ざかる予感が...。)」

  これからは男子達に絡まれ続けるんだろうなぁ...。







「やっと昼か...。」

  昼休みなう。ちなみに休み時間で度々男子達に絡まれたけどテキトーにあしらっておいた。

「...なんでこんなに疲れてるんだろうか。」

  いつもはここまで疲れないはずなのに...。...男子共か。そうですか。

「あ、優輝君、これから屋上に行くの?」

「司さん。...まぁ、緋雪と一緒にね。」

「ふーん...。あ、私も同行していい?」

  屋上に行く階段で緋雪を待っていると、司さんが同行を求めてきた。

  ...ここで許可するとまた男子達がうるさくなるけど...。

「(そんな理由で断ったらひどいし、別にいっか。)いいよ。」

「いいの?ありがとう。」

  僕だって、司さんと一緒なのは嬉しいしね。

「お兄ちゃん、おまたせー!」

  緋雪が下の階から上ってきた。...って、あれ?

「あれ?司さん?」

「バニングスさんと月村さん?」

  お互いに普段はいない人物の名前を呼ぶ。

「こんにちは緋雪ちゃん。今日は私も一緒に昼食を取るんだけど、いい?」

「すいません、お兄さん。」

「今日はあたし達も一緒に昼食を取っていいですか?」

  司さんは緋雪に、バニングスさんと月村さんは僕にそれぞれ一緒に昼食を食べていいか聞く。

「もちろん、いいよ。」

「私もいいですよ。」

  当然、断る理由もないので僕も緋雪も許可する。

「それじゃあ、行こうか。」

  僕が先導して屋上へと向かう。

  屋上へと着くと、幸い人が少なめだったので、5人分の場所を簡単に取る事ができた。

「わ...優輝君も緋雪ちゃんも、綺麗なお弁当だね。」

「えへへ。お兄ちゃんが作ってくれたんです。」

  僕と緋雪の弁当を見て、司さんがそんな感想を言う。緋雪も綺麗だと言われて嬉しそうだ。...作ったのは僕だけどね。

「むぅ...年上とは言え、負けた...。」

「最近の男の人って、料理もできるんですね...。」

  バニングスさんと月村さんも弁当を見てそう言う。

「僕の場合は少し違うかなぁ...。料理しなければいけない状況だし。」

「...そう言えば、両親がいないって言ってたね。」

「あ.....。」

  思い出すように司さんがそう言い、やってしまったような顔をする月村さん。

「...死んだわけじゃない。きっと、どこかで生きている。...僕はそう思ってるよ。」

「...そっか...。」

  三人とも深くは詮索してこない。...むしろ、その方がありがたいからいいけどね。

「っと、しんみりしちゃったね。...そういえば、二人はどうしていつものメンツと昼食を取らずに僕らの所へ来たの?」

  話を切り替えるようにバニングスさんと月村さんに聞いてみる。

「あー...なんというか...。」

「...先日、織崎君に魅了されていたと知ってから、ちょっと、近寄り難くなっちゃって...。」

「...そう言う事か...。」

  ま、普通はいつものように接しられる訳ないわな。

「...僕からは何も言えないな...。僕は彼に対して一方的に嫌悪してる訳だし、好き勝手言えるような立場も権利もない。」

「え?そうだったのお兄ちゃん。」

「そりゃあ、無自覚とはいえ、周りの異性を魅了しまくってるんだよ?もし緋雪も同じように魅了されたら、僕自身何をしでかすか分からん。だから嫌いなんだ。」

「お兄ちゃん....。」

  呆れたようにそう言う緋雪。え?シスコンだって?何か悪い?

「あはは...人格自体はそこまで悪い訳じゃないんだけどね...。」

「人間、生理的嫌悪とかする時があるから。...ま、あっちから仕掛けてこない限り、ひどい事はしないよ。」

  仕掛けてきたらやらかしてしまいそうだけど。

「...お兄さんは、志導さんの事が大切なんですね...。」

「そりゃあ、大切も大切。だって、大事な家族なんだし。」

  緋雪の頭を撫でながらそう言いきる。

「もうっ、お兄ちゃんたら...!」

  恥ずかしそうに僕にそう言ってくる緋雪だけど、緋雪も嬉しそうだよ?

「....羨ましいな...。」

「えっ?バニングスさん、何か言った?」

  バニングスさんが何か呟いたらしく、緋雪がそう尋ねた。

「な、なんでもないわ!頼りになるお兄さんがいて羨ましいとか、そんなの全然考えてなんてないんだから!....あ。」

「ふふ...アリサちゃん、全部言っちゃってるよ?」

「~~~~っ!!?」

  ツンデレ的な性格なのか、あっさりと本音を自爆してしまうバニングスさん。顔が真っ赤だ。

「ちょ、ちがっ、そうじゃなくて...えっと...その...!」

「アリサちゃん...。」

  真っ赤な顔で、必死に弁解しよう言葉を巡らせようとするバニングスさんを、月村さんは苦笑いで見ていた。

「あはは...いいよ。バニングスさんもお兄ちゃんを兄として見るの。」

「べ、別にそうじゃないって言ってるでしょ!」

  緋雪も苦笑いしながらそう言う。...って、別にいいんだ。僕も別にいいけどさ。

「あ、でも、お兄ちゃんはそう簡単に渡さないよ?」

「それ、アリサちゃんにも言うの!?」

  緋雪は何を言ってるんだ...。ってか、“にも”って事は司さんも言われたのか?

「えっ、あっ...。~~~~っ!!?<ボンッ!>」

  顔を真っ赤にして撃沈してしまうバニングスさん。...そこまで恥ずかしかったのか...。

「弄るのもそこまでにしてあげなよー。さすがに可哀想だ。」

「はーい。」

  弄ってた自覚はあったのか。...なおタチ悪いな。

「.......。」

「...どうしたの?司さん。」

  あまり喋らなかった司さんは、僕らの様子を見てニコニコしていた。

「あっ、なんかね、優しい雰囲気な空間だなぁ...って、思ってたって言うか...。」

「...まぁ、こういう雰囲気はいいよね。」

  複数人で一緒に会話を弾ませながら食事をする。...今まで僕と緋雪だけじゃ成し得なかった事だからね。僕も結構楽しんでたりする。

「でしょでしょ!」

「う、うん。...なんか、司さんいつもの態度と少し違うような...。」

「あ、ゴメン...。初めて同年代の男友達ができたから、嬉しくって...。」

  あー、そういえば司さんは男友達はいなかったね。皆、司さんを“聖女”とか呼んで祀り上げてるって感じだったから。

「...と、ところで!緋雪ちゃん、昨日は羽が仕舞えなかったけど、今はないって事は仕舞えるようになったの?」

  さすがに気恥ずかしくなったのか、話題を切り替える司さん。そして緋雪の羽の事が少しきになるみたいだ。

「あー...実は、まだ仕舞えてないんだ。」

「えっ?そうなの?でも、見えないけど...。...って、あ。」

  司さんは魔法が使えるからカラクリに気付いたみたいだ。

「あはは...。実は、シャル...私のデバイスが認識阻害を掛けてるんです。瞳の色も同じで、吸血鬼としての大きすぎる力はリミッターを掛けてます。」

「...気を抜いていたからか、気づいていなかったよ。」

  シャルラッハロート(緋雪のデバイス)曰く、緋雪の魔力を使って自分だけで魔法を行使しているとか言ってたけど、そんなに隠蔽度が高かったのか?

「...それじゃあ、緋雪ちゃんは羽を仕舞えないの?」

「いえ、シャルが言うには、頑張れば今日中に羽と目の色は何とかできるらしいです。...力加減はもっと頑張って行かないとダメですけど....。」

  昨日も、リミッターなしだった時はいくつか食器を壊してしまったからな...。

     キーンコーンカーンコーン

「あ、予鈴...。」

「ちょうど食べ終わるタイミングだったね。」

  見れば、全員食べ終わっていた。

「今日はありがとうございました。」

「いいよいいよ。僕らとしてもバニングスさんと月村さんに親しくなれたからさ。」

  月村さんのお礼の言葉に僕はそう返す。

「...あの、よければ名前で呼んでもいいですよ?名字だと呼びづらそうですし...。」

「うーん...二人がいいのなら...。」

「あたしもいいですよ?」

  いつの間にか復活していたバニングスさんもそう言う。

「...じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな?アリサちゃん、すずかちゃん。」

「私も呼んでいい?二人も私の事を名前で呼んでいいからさ。」

「うん。いいよ。」

  緋雪も名前で呼び合うようにするようだ。

「あ、なら僕の事も名前で呼んでいいよ。司さんの事も名前で呼んでるみたいだし。」

「あ、はい。えっと...優輝さん。」

  ちょっと馴れ馴れしい感じで名前を呼んでいいって言ってしまったけど...まぁ、いっか。

「じゃあ、そろそろそれぞれの教室に戻ろうか?」

「はーい。」

  皆で屋上を後にして、それぞれの教室へと戻る。

「優輝君、傍から見ればモテモテみたいな構図だったね。」

「...そう言われると...って、あ...。」

  司さんにそう言われて、とある事を思いだす。

「どうしたの?」

「いや、ちょっと...。」

  嫌な予感が途轍もなくしながらも、教室のドアを開ける。...すると。

「「「優輝~!!!」」」」

「(...やっぱりか...。)」

  男子達が僕を羨むように睨んできた。

「聖奈さんと一緒に教室に帰ってくるだけじゃ飽き足らず、九大美少女の内さらに二人と仲良くなりやがってぇぇ...!!」

「...随分情報が早いな...。」

  屋上にいた誰かが伝えたのか?

「なんでお前だけそんな得するんだよ!!」

「知らんがな。」

「く~っ!冷静なその態度が妬ましい!!」

  はぁ...。やっぱり絡まれた。...なんでこうなる事を簡単に予想できたのに忘れてたんだ?

「...だって、皆私を祀り上げてるみたいなだけで、親しくなろうとはしてないもん...。」

「「「「....へっ?」」」」

  司さんがいきなり放った言葉に、男子達の目が点になる。

「私だって、男友達の一人や二人、欲しかったのに...。」

  織崎神夜は友達ではないんですか。そうですか。...別にどうでもいいけど。

「優輝君は初めての男友達だから、ここまで親しくなってるのは当然だよ?」

「「「「......。」」」」

  完全に固まっている男子達。...どうしたし。

「あの、司さん。それ、はっきりと言われたら結構恥ずかしい事なんですけど...。」

「えっ?...あっ、ご、ごめん...。私も今更恥ずかしくなってきた...。」

  恥ずかしかったのか...。

   ―――ヒソヒソ...ヒソヒソ...

「...っ、ちょっと、そういう訳じゃないよー!」

  少し離れた所にいる女子達に、司さんがそう言いながら突撃していく。...なんか変な事でも言われてたのか?

「(...とりあえず、座ろう。)」

  固まった男子達は動かないし、やる事もないのでチャイムが鳴るまで席に座っておく事にした。

     キーンコーンカーンコーン

「(あ、チャイム鳴った。)」

  チャイムが鳴ったことで、ようやく固まっていた男子達はそれぞれ席に着き始めた。

「...そんな....俺たちがしてた事が、逆効果だったなんて.....。」

「...俺は...俺たちはなんて事を....。」

  ...近くを通る男子の呟きがあまりにも暗いんだけど...。どれだけショックだったんだよ...。

「(絡まれないのは助かるけどね。)」

  司さんの言葉でショックを受けたって事は、大体自業自得だし。

「って、なんだこの雰囲気!?どうした男子達!?」

  あ、入ってきた先生が戸惑ってる。...まぁ、いいや。







「えっと、優輝君...。」

「どうしたの?司さん。」

  五時間目が終わり、司さんが話しかけてくる。

「べ、別にさっき言ってた事って、優輝君が好きだからだとかそう言うのじゃなくて...って、これじゃあ、もっと勘違いがー!」

  なんかテンパってしまっている司さん。

「あぁ...さっきのあの子達の話で、テンパっちゃった...!」

「えっと...司さん?」

「ご、ゴメン。さっき、友達に変な事言われて、支離滅裂になっちゃった...。」

  変な事って一体...?...いや、ここで聞いたら余計にテンパるからやめとこう。

「あー、えっと...つまり..な、なんでもない!」

「えっ、あ、うん...。」

  ...傍から見たらなんだこのやり取り....。







「....あ、優輝さん。」

「あれ?すずかちゃんにアリサちゃん?」

  放課後になり、二階の階段で待っている緋雪の所へ行くと、緋雪と一緒にアリサちゃんとすずかちゃんもいた。

「私とお兄ちゃんに用があるんだって。」

「へー...。」

  どんな用事なんだろう?

「えっと、恭也さんと士郎さんから連絡があって、“できれば今日、翠屋に来てほしい”って。」

「翠屋って...。」

  あそこか....?そういえば、士郎さん見掛けた事あるなぁ...。

「うーん...特に用事もないし、いいよ。」

「私も。」

  一体なんで呼ばれるかは分からないけど、特に予定もないので行くことにする。

「そうですか?なら、早速向かいましょう。」

「...え?今?一度家に帰ってからじゃなくて?」

  別にそれでもいいけどさ。

「あ、大丈夫です、車で送りますので。」

  すずかちゃんがそう言う。

「あ、そうなんだ。...じゃあ、行こうか。」

  そういう訳で、僕らは翠屋へと行くことになった。











 
 

 
後書き
優輝と緋雪は、実はまだ魔法を使いこなせません。6話の時は、ご都合主義的な覚醒の勢いで魔法を使ってましたが、通常では使い方を知りません。と、言うか優輝は魔法の代償でどの道しばらく魔法が使えませんけど。 
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