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目覚めると

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第二章

 二人は雲に乗り都に向かった、都までは一瞬で着いた。そして都に降り立ちその中を見回しているとだった。
 見たこともない派手な黄金が塗られた寺にだった、これまた見たこともない大きな建物があった。その他にもだった。
 都は派手な色の反物が売られていて店の数も種類も相当に多くなっていた。人の着ている服も派手なものが多い。
 どれも仙人達が見たことがなかった、馬鹿でかい刀や槍をこれみよがしに持っていて中には目や髪の色が違う者もいる。
 その者達の目の色や髪の色を見てだ、仙人は女房に言った。
「あれは西の方の者じゃ」
「西のですか」
「宋の西の方に行ったな」
「その方のですか」
「者じゃ、大秦の者じゃな」
 仙人はその国の名前も出した。
「あの者達は」
「左様ですか」
「そしてな」
 仙人は都の中に尖った屋根に十字を飾った建物を見た、それはというと。
「あれはその大秦の教えの寺じゃ」
「その国のですか」
「キリスト教といったのう」
「キリスト教ですか」
「あの坊主もな」
 仙人は彼がキリスト教と言ったその寺から出て来た頭の上だけを剃った黒い服の男を見て言った。見ればこれまた非常に変わった服だ。
「キリスト教のな」
「僧侶ですか」
「そうじゃ、あれもな」
「また変わっていますね」
「何もかもが変わったわ」
 仙人達が寝ていた間にというのだ。
「随分とな」
「本当にそうですね」
「侍もな」
 仙人は街を行く刀を持っている者を見た、見れば。
 袴に着物ではある、だが。
 赤や黄色、青をあちこちに配色していた、それに。
 豹柄の上着を羽織ってやけに大きな朱色に塗った槍まで持っている。烏帽子は被っておらず荒々しく結った髷を見せている。
 その侍も見てだ、仙人はまた女房に言った。
「これまたな」
「凄い格好ですね」
「民の服も随分と変わったが」
「はい、麻の服は減っていますね」
「そうじゃな、あの服は」
 服に使っている布はというと。
「綿じゃな」
「綿ですか」
「綿の服じゃな、あれを使った服を着た者も増えておる」
「そうなのですね」
「しかしこれは」
 ここでだ、仙人は。
 その何層もある高い派手な造り方と金箔を貼り輝かんばかりの建物を見上げてだった、女房に首を傾げさせつつ言った。
「これは何じゃ」
「派手ですね」
「ここまで黄金を使うか」
「どれ程の富を持っているのか」
「わからぬな」
「全くです」
 女房も唸って言った。
「信じられない建物です」
「あれ、あんた達何処から来たのかのう」
 驚く二人にだ、横から老人が来て声をかけてきた。
「何か古い服を着ておるが」
「うむ、田舎から出て来たのじゃが」
 仙人は老人にこう話した、何百年も寝ていることは隠していてだ。
 そうしてだ、こう言ったのだった。 
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