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第六章

『それでか』
『先進国は皆パンとか言ってたのか』
『コメを食うと馬鹿になるとか』
『そう言ってたのか』
「そのキムダイグループからの小麦の輸入ですが」 
 ここでまた議員はデータを出した、今度は数値だけでなくグラフにもなっている。
「今年になって爆発的に増加していますね」
「そ、そうですね」
 最早教授はただ頷くだけだった。
「そういえば」
「貴方の発言と共に」
「それは偶然では」
「偶然とは思えませんが」
 議員はあっさりと否定した。
「それは」
「そうでしょうか」
「貴方は収賄を受けてです」
 そして、というのだ。
「一連の発言を行いキムダイグループの利益に貢献したのではないですか?」
「それは誤解です」
「誤解でしょうか」
「そうです」
 教授は顔を真っ赤にして否定した。
「それは」
「だといいのですが、しかし」
「しかし?」
「貴方の主張はです」
 ここでだ、議員はさらに攻めにかかった。議論の時計を戻して。
「お米がどうして悪いのかですが」
「それは」
「科学的根拠は」
「あります」
「そうですか?」
「私が先程申し上げた通りです」
「それは嘘ではありませんね」
 目を泳がせ汗を流し続けている教授への冷静な問いだ。
「学者としての」
「その通りです」
「しかし。見たところ」
 ここからは一方的な攻撃だった、そして議論が終わった時にだ。
 ネットでは爆発的な書き込みが続いた、教授についての。
『金を貰っていた!』
『そして米を貶めていたんだ!』
『他の国の企業から金を貰ってな!』
『詐欺師!』
『売国奴!』
 口々に書かれていった。
 そしてだ、大学にだった。 
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