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オズのポリクローム

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第二幕その十

「楽しくね」
「そうですよね」
「私はお父さんとお母さんがいなくて」
 ドロシーはこのことは少し寂しそうにお話しました。
「おじさんとおばさんも子供がいないけれど」
「ドロシーさんが、ですね」
「おじさんとおばさんの子供でね」
「そしてヘンリーさんとエマさんがですね」
「私のお父さんとお母さんよ」
「まさにそうですよね」
「かけがえのないね、だからこうして一緒にオズの国にいられて」
 そうなったことがというのです。
「とても幸せよ」
「ドロシーさんにとっての最高の幸せですか」
「ええ、私達はずっと一緒よ」
 このオズの国においてというのです。
「これからはね」
「それじゃあまた何時か」
「おじさんとおばさんのお家に行ってね」
「楽しくですね」
「おばさんのお料理を食べながら楽しくお話したいわ」
「カンサスにおられた時みたいに」
 ここでこうも言ったジョージでした。
「あそこの大平原におられたんですね」
「ええ、ずっとね」
「そうですよね、カンサスですか」
「ジョージは知らないわよね」
「カンサスはあまり」
 実際にというのです。
「あの辺りは」
「そうよね、アメリカ人でも」
「カルフォルニアとカンサスは全然違ってますから」
「そんなに違うのかな」
 臆病ライオンはそのジョージに尋ねました。
「アメリカなのに」
「オズの国でも色々な場所があるよね」
「それでアメリカもなんだ」
「うん、カルフォルニアとカンサスではね」
「そうなんだね」
「それに時代も違うから」
 ドロシーも臆病ライオンにお話します。
「私がいた頃のアメリカと今のアメリカは」
「百年位離れてるね」
「だから全然違ってるの」
「じゃあ今のカンサスは」
「私がいた頃と全く違うわ」
 そうなっているというのです。
「何もかもがね」
「そういえばオズの国も変わったしね」
「そうでしょ、テレビや携帯電話が出て来てね」
「コンピューターもあってね」
「インターネットも出来るから」
 オズの国でもというのです。
「この国も凄く変わったし」
「アメリカも全然なんだね」
「変わってるわ」
「そもそもだね」
「うん、オズの国の人達もね」
 かかしと木樵の言葉にもオズの国の今がお話されましあt。
「昔は肌の白い人ばかりだったけれど」
「今は違うよ」
「黄色い肌、黒い肌、褐色の肌」
「目や髪の毛の色も黒い人が増えたよ」
「けれどその人達もね」
「オズの国で楽しく過ごしているからね」
 そうなっているのです、オズの人達自身も。
「肌や目の色が違っていても」
「皆オズの人だからね」
「そうだね、オズの国は皆永遠でも」
 それでもとです、ライオンも言います。
「変わっていくんだね、誰もが何もかもが」
「そうよ、それぞれ違っていてね」
 ドロシーは臆病ライオンにまた言いました。
「変わっていくものなのよ」
「そういうことだね、じゃあ」
「ええ、臆病ライオンもね」
「このステーキを食べるよ」 
 こう言ってでした、臆病ライオンもそのシャリアピンステーキを楽しみました。そしてステーキを皆たっぷりと食べてから。  
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