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サリー

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第三章

「私がです」
「アミータラー先生がですか」
「知らない娘達に教えようと思います」
「サリーの着方を」
「考えてみればです」
 アミータラーはグプタにさらに話した。
「サリーもあれで独特の着方なので」
「だからですか」
「はい、知らない娘もです」
「むしろ着たことがない娘もですか」
「今はいても不思議ではありません」
「だからですね」
「はい、ここはです」
 サリーの着方をというのだ。
「私が生徒達に教えます」
「アミータラー先生はサリーは」
「子供の頃はよく着てです」
「着方もですね」
「知っています、最近は着ていませんでしたが」
 それでもというのだ。
「知っていますので」
「では」
 こうしてだった、アミータラーがサリーの着方を知らない娘達にその着方を教えるのだった。その着方はというと。
 そうした生徒達を集めてだ、アミータラーはまずは。
 ラフな格好の上からだった。
 下にサリー用の薄いスカート、下着になるそれを穿いて上には丈の短いブラウス、チョリを着た。
 そこからサリー、その長い巻きものをだった。
 まずはスカートの右に入れて後ろから回して一回転させて腰の下を巻いた。
 それを二回繰り返したが足はその間少し開いていた。巻きながらプリーツを幾つか作る。
 プリーツを作って揃えてからだった、ウエストの前の中央からやや左にサリーを挟み込んで整え残った生地は背中に回して身体の右側に持って行った。
 そして右側にあるその生地を左肩にかけてそれを外から内に重ねてドリープを寄せてだった。指輪と腕輪が一体になっているアクセサリーであるパンジャ、額飾り、無数のブレスレットを飾ってみせてから生徒達に言った。
「これがです」
「サリーの着方ですか」
「そうして着るんですね」
「はい、皆さんわかりましたか?」
 温和な笑顔での問いだった。
「これで、わからない人にはです」
「あらためてですか」
「教えてくれるんですか」
「そうさせてもらいます」 
 アミータラーは生徒達にも優しい、だからこその返事だった。
「ですから是非先生に言って下さい」
「はい、それにしても」
「いい服ですね、サリーって」
「奇麗ですね」
「何かお姫様みたいです」
「はい、この服はです」
 まさにというのだ。
「昔のインドでは皆が着ていて」
「お姫様もですか」
「着ていたんですか」
「そうでした、ですから皆さんも着て」
 そして、というのだ。
「お姫様になりましょう」
「はい、じゃあ」
「私達もサリー着ます」
「腰に巻いて肩にかけて」
「そうしますね」
 生徒達もだった、アミータラーに応えてだった。
 それぞれサリーを着た、こうして。
 あらゆる色のサリー、そしてアクセサリーを身に着けた少女達が学校を彩った。それは登下校の時もでだ。
 街の人達はサリー姿で登下校する少女達を見てだ、目を瞠って言った。 
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