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IS~夢を追い求める者~

作者:かやちゃ
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第1章:修正の始まり
  第2話「再会(再開)」

 
前書き
束と再会します。原作と束の性格が違うのでそこの所ご了承ください。

 

 


       =桜side=



「....ここか。」

  どこかの孤島。そこに俺達二人は来ていた。

「ここに...束さんが...。」

「ああ。行くぞ。」

  孤島に降り立ち、怪しい所を探す。...と言っても、貰った知識が正しい場所を教えてくれるのでさっさと秘密のボタンを見つけて押す。

  すると、地下へと通じる扉が現れる。

「まったく、大層なモン作りやがって。」

  ま、俺にはあまり関係ないか。

「秋十君、俺の後ろにいておいてくれよ。」

「わ、分かった。」

  俺の後ろをついて歩く秋十君。...来るか。

   ―――ビーッ!ビーッ!

〈侵入者!侵入者!これより撃退します。〉

「だろうな。」

「ちょ、どうするんですか!?」

  俺と秋十君に差し向けられる重火器。

「...駆け抜ける!」

「えっ...うわぁああああああああ!!??」

  秋十君をしっかりと背負い、一気に駆け抜ける。

「...邪魔だ!」

「え、えええええええ!!?」

  途中、ガードロボみたいなのが出てきたが、勢い任せの飛び蹴りでぶっ飛ばす。

「...ちっ、ロック式の扉か。」

「そ、そうなんですか!?じゃあ、どうするんですか...?」

「ぶち破る!」

「やっぱりぃいいいい!!?」

  奥の方にロック式の扉が見えたが、ISを足に部分展開し、一気に蹴り破った。







  その後も、ごり押しでどんどん奥へと進んでいき、ついに最深部...束のいる所へ辿り着いた。







     ~最深部~





「....よぉ。」

  最深部まで辿り着き、そこにいた束にそう言う。

「...誰なのかな君。この束さんのラボに...それもあんな強引な突破で突入してくるなんて。」

「っ....。」

  ...やっぱり、親友に忘れられてるって言うのは辛いな...。

「しかも、そんな“出来損ない”を連れて。」

「おいおい...彼を出来損ない呼ばわりとは...随分と口が悪くなったな...束。」

  ちなみに秋十君は気絶してます、はい。ちょっとさっきのはきつかったか...。

「勝手に呼び捨てにしないでくれる?」

「はっ、呼び捨てするように言ってきたのは束...お前の方だぜ?」

「はぁ?何言ってんの?私がそんな事言う訳ないじゃん。」

  ...埒が明かねぇな。束の隣に控えてる銀髪の少女も敵意むき出しだし。

「...ま、覚えてないのは分かってたけどな。」

「当たり前だよ。お前みたいな紛い物、覚える必要もない。」

「紛い物...ねぇ。」

  当時はそっくりだって喜んでた癖に...。これが洗脳とそれにより記憶改竄の影響か。

「しゃーない。大切な思い出の品は持ってないが、記憶に根付いてそうな言葉でも言おうか?」

「はっ、なんだか知らないけど、そんなの聞きたくないね。」

  はいはい。今の束の言ってる事は無視だ無視。

「まぁ、まずはこれを見ろよ。」

  取り出すのは想起のISコア。俺の傍に置いてあったものだから重要かもな。

「...そんなプロトタイプのコアがどう...した...。」

「束様!?どうしたんですか!?」

  俺のISコアを見て、束は少し固まる。

「あれ...?どうしてかな...なんで、そのISコアを見てると、懐かしい気分に...。」

「そりゃあ、本当の“夢”を叶える第一歩のものだからだろ。」

「“夢”....?」

  お?反発的な態度だったのに、こっちの言う事をしっかり聞いてるぞ?

「...あの日、束と千冬と俺で誓ったろ...?」









   ―――“絶対、三人で宇宙へ...無限の成層圏へ行こう!”







「―――ってさ...。」

「あ.....。」

  完全に束が固まる。...もうひと押しか...?

「...それとさ、ありがとな。」

「え....?」

「束が約10年間...俺が事故に遭ってからずっと治療し続けてくれたんだろ?だから、俺はこうして完全に回復する事ができた。だから、ありがとうな?これで、俺は...神咲桜はまた束達と夢を追う事ができる。」

「あ...あぁ.....。」

  頭を抱えて蹲りだす束。

「っ...!束様に何を...!?」

「すまんが、少し眠っててくれ。」

「なっ!?ぁ.....。」

  銀髪の少女に一瞬で近づき、気絶させる。

「く、くーちゃ...あぅ....!」

「...束、まだ..思い出せないか?」

  束の傍に近寄り、そう言う。

「神咲...桜...。....桜....さー...君....?」

「っ...!そうだ。さー君だよ。束。」

「あぐっ...頭が....!」

  ...もしかして、これって自力で洗脳に抗ってる?なら、さっさと開放しなければ...!

「確か...解除の仕方は...いや、知らなかった!?」

  やべぇ、能力を貰ったのはいいが、やり方が分からん。

「...ああもう!ままよ!」

  とにかく、洗脳を解くように念じながら束に手をかざす。

   ―――カッ!

「うおっ!?」

  瞬間、束が光に包まれる。...え?これでよかったのか?

「ぁ...あああああ!!?」

  束は叫び、すぐに気絶して倒れこんでしまう。

「あ...やべ...!?」

  背負ってる秋十君は気絶、束も少女も気絶してる。...けど防犯システムは起動中...これはやばい。

「あー、畜生!」

  ISコアを最深部のコンピュータに接続し、解除に取り掛かる。だけど、とても複雑なプログラムに阻まれる。

「そりゃあ、当然ハッキングされずらいよなぁ!」

  束のアジトのセキュリティだ。そう簡単にハッキングできる訳がない。

「だけど、こっちも束と同じような(天災)なんだ!この程度!」

  途轍もないスピードでキーボードを叩き、一気にシステムを解除させていく。

「.....これで、最後!」

  最後のシステムを解除し、そこで俺はへたり込む。

「...つっっかれたぁ....!」

  これでもここまで来るのに体力が結構減っていた。しかも、研究所を脱出してから一睡もしていない。

「俺もこのまま一休みしてぇが...。仕方ない...。」

  他の三人が気絶したままなので、全員寝やすい場所に運ぶ。

「....ふぅ、俺も寝よ。」

  運び終わったので、その場で横になると、すぐに眠った。







「....ぅ....ううん....。」

  目を覚ます。体感じゃ分からないけど、相当疲れてたから結構眠ってたはずだ。

「...んあ?なんか...やわらかい...?」

  視界も何かに塞がれて良く見えないし、なんだこれ?

「あっ!起きた?」

「うん...?その声は束か...?」

  とりあえず、いつまでも横になってる訳にはいかないので起き上がる。

「お、おお..?もしかして...膝枕?」

  起き上がり、さっきまで横になってた場所を見ると、そこには束が正座で座っていた。...そこから導き出される結論...即ち膝枕だ。

「せいかーい!さー君久しぶり!」

「あぁ。本当に久しぶりだな。...約14年。」

「ホントだねー。もう14年も経ってるもんねー。」

  ...あぁ、この明るすぎるような性格。...以前と変わらないな。

「...洗脳は、解けたか?」

「...うん。おかげ様でね。」

  そう言って束は俯く。...どうしたんだ?

「....ごめんね...。」

「...あぁ、洗脳されてた時の事か。」

「うん。...あっ君には謝って許してはもらったんだけど、どうしても、申し訳なくて...。」

  辛いだろうな...。親しくしていた相手に対してきつく当たったり、助けたい相手を忘れてしまって放置してしまってたんだから。

「...俺も気にしちゃいねぇよ。」

「でも...。」

「じゃあ、束はもう夢を諦めたのか?」

「えっ?」

  突然の質問に少し呆ける束。

「洗脳されてた時にしでかした事が申し訳ないからって、夢を諦めるのか?」

「それは...ありえないよ。どんな事があっても、どんなに夢を否定されても、私はあの夢を諦めないんだから。」

「...なら、それでいいんじゃねぇの?」

「え...?」

  俺の言葉に首を傾げる束。

「また夢を叶えるために生きて行けばいい。申し訳ないと思うんなら、俺としては14年前も目指していた夢をまた目指してもらいたいな。」

「あ....。」

「それも、俺と千冬...三人でな。」

  その言葉に束はハッとしたような顔をして、徐々に目を潤ませ...って、ええっ!?

「...ぐすっ.....ありがと~~!!」

「うわっとと...束!?」

  いきなり泣き出しながら抱き着いてくるなんて...。

「ぐすっ...洗脳が解けて、さー君と4年も会ってないのを思い出して、あっ君にきつく当たってた事に対して罪悪感が湧き出て...本当に申し訳なくて、申し訳なくて....ひっぐ...許してもらえても罪悪感とか、こんな世界にしてしまった後悔が凄くて...私...私....!」

「束....。」

  いくら明るく元気な束でも、自分の望まない事ばかりやってたら、そりゃその後悔に押しつぶされそうになるよな...。

「だから...ひっぐ...だから私...さー君に許してもらえて...どうすればいいか教えてくれて...本当に良かった....!」

「束....。...辛かったなら、今は思いっきり泣いてもいいぞ...。」

「ぐすっ....うわぁあああああああああん!!!」

  俺に抱き着きながら泣き続ける束。....今まで一度も思いっきり泣いた事なかったもんな...。今は好きにさせてあげよう。





  ...だから、こっそり覗かないでくれ。秋十君、銀髪の少女よ。









「......。」

「あー、その、ごめんなさい束さん...。」

「すいません束様...。」

  顔を真っ赤にしながらつーんとした態度を取る束に必死に謝る二人。

「あー...恥ずかしかったのは分かるが、許してやれよ。」

「むぅ....。」

  未だに不機嫌なままだが、とりあえずは会話をするようにしたようだ。

「とりあえず束、そこの銀髪の少女は誰なんだ?束を慕ってるようだけど。」

「あ、それは俺も知りたいです。」

  どうやら秋十君も知らなかったようだ。俺がまだ眠っている時に聞いたもんだと思ってた。

「...この子はクロエ・クロニクル。とある実験で失敗作扱いされた試験管ベビーだよ。」

「あの...束様?そろそろ許してくれないでしょうか...?」

  失敗作...つまり、処分されそうな所を保護したって訳か。束が洗脳中の出来事だろうけど、飽くまで“原作”っぽい性格になるだけだから、保護するぐらいの器量はあったんだな。

  ...ところで、今紹介した時の束の言い方がなんかぶっきらぼうだったため、クロエが束に今のように懇願している。

「あー、完全に拗ねちゃってるな。後で何とかしておくから気にしないでくれ。」

「は、はぁ...。」

「...どうした?何かあるのか?」

  どこか束を見る表情が戸惑っているような...。

「い、いえ...。このような束様は初めて見るので...。」

  ...なるほどな。“原作”の性格だと、ここまで拗ねないしな。

「それについては後で説明する。...こっちも自己紹介しておかないとな。」

「あ、先程紹介してもらいました。神咲桜さんですよね?束様の親友の。」

「お?俺の事は紹介してたのか。まぁ、その通りだな。」

  多分、気絶から目覚めた時、俺を攻撃しようとして洗脳が解けた束に止められて説明したんだろうな。

「すいません。まさか、束様の親友だったとは...。」

「いや、いいよ。色々と事情があるんだし。」

  洗脳とかされてて俺の事覚えてなかったんだし。

「...そう言えば、なんで君は束の事を“様”付けで呼んでるんだ?」

  束にそんな趣味があるとは思えないんだが。

「えっと...私が試験管ベビーなのはさっき言いましたよね?」

「言ったな。」

「私、束様に保護されて、それでここで過ごす事となったので、せめて居候として敬称を付けておこうかなと....。」

「いや、なんでそれで“様”に?」

  普通“さん”とかなはずだが。

「私、普段から他人の事は“さん”付けにするみたいで...こう、特別な敬称としてはこれしか思いつきませんでした。...それに、束様は私の事を娘のように思ってくれるんですが、それが恥ずかしいのもありまして...。」

「なんというか、まぁ...。」

  束に感謝しているのは伝わるけど、考えが少し極端だな。可愛らしいけど。

「君がいいならそれでいいよ。」

「あの、クロエと呼んでもらっても構いませんよ?」

「そうか?なら、そう呼ばせてもらうよ。」

  これで彼女...クロエとの和解も済んだな。

  ...次は、今のやり取りを拗ねた表情で見つめてる束をどうにかするか。

「...はぁ、まったく。」

「ほにゃっ!?」

  ぶすっとした顔で見てくる束をとりあえず撫でる。

「嫉妬したい気持ちは分かるが、そう拗ねるなよ?」

「あぅ~...。」

  撫でられ喜ぶ顔と、咎められてバツが悪い顔が混ざった複雑な顔をする束。

「...なんというか、お二人は姉妹のようですね。束様が妹で、桜さんが姉のようです。」

「あー、確かにそんな感じなような...。」

  外野二名が俺たちのやり取りを見てそう言う。

「....うん。見た目が似てるからそう言いたいのは分かるが、一応男のつもりの俺にとっては姉呼ばわりは嬉しくない。」

「あ、すいません...。」

「さー君...その見た目で男って言われても意味ないと思うよ?」

  秋十君は発言を謝り、束はそんな俺の言葉にそう言う。その会話を聞いたクロエは俺が男だと気付き、驚愕する。

「だ、男性だったんですか!?す、すいません!」

「いや、いいよ。束の言うとおり、見た目が問題だし。」

  髪も14年も切らずに放置してたから伸びに伸びてるしな。

「んー、私はこのままでいいと思うなー。...お・ね・え・ちゃ・ん?」

「ていっ!」

「あうっ!?」

  ふざけた事を束がぬかしたのでチョップで静粛しておく。

「誰がお姉ちゃんだ。誰が。」

「あうー...私だって甘えたいもん。」

「はいはい。それは分かったからお姉ちゃんはやめろ。」

  今の束は家族の誰にもあまり会えない。だから甘える相手もいない。...と言っても、元々頭が良すぎて甘えるという行為をしようとしなかったけど。

「それより、服どうしようか...。」

「えっ?」

  唐突に呟いた俺の言葉に秋十君が疑問の声を返す。

「ほら、束とクロエがここに住んでるなら、二人の服はあるんだろうけど、俺たち男の分がないじゃん?」

「あっ...。」

「俺たちの服、今着てるのしかないぞ?」

  秋十君は誘拐時に着ていた私服。俺は患者が着ていそうな白い服。それが今着ている服だ。

「えー?さー君は私の服でいいじゃん。...あっ君は...ガンバ!」

「おい!」

「あだっ!?」

  百歩...いや、一万歩譲って俺が束の服を着るのは我慢しよう...。だけど、秋十君の“ガンバ”はなに!?ずっとそれを着とけと!?

「じょ、冗談だよ...。私に掛かれば代えの服が必要ないほど早く洗濯できるよ。」

「まぁ、量子変換できる技術があるなら、それくらいできてもおかしくはないな。」

「でも私としてはさー君には私の服を着てほs...っつぅ~...!」

「いい加減にしろ。」

  まだ俺に女装させる気か。

「分かったよ~...。」

  とりあえず、当分の間はこの服のみだな。...何度か束の服を着せられるかもだが。







「...束。」

「あ、さー君。」

  その日の夜。俺は束のいる部屋にいる。

「...これからの具体的な行動を決めよう。」

「...そうだね。」

  いつものお気楽な雰囲気は消え去り、真剣な顔をした束になる。

「まず、昼の時は話せなかった事を話しておこう。」

  束に俺が目覚める前に見ていた夢の事を話しておく。

「―――そして、今に至るって訳だ。」

「...そっか。...うん、納得がいったよ。」

  一気に話しただけだが、やっぱり簡単に理解してくれたな。

「...全部、あいつのせいか...。」

「ま、そうなるかもな。」

  “あいつ”...多分中身が転生者の織斑一夏だろう。

「秋十君に取り戻せるとか言った手前、それは実現させなきゃな。」

「うん。夢を追うのは中断したくない。....あ、そうだ!」

  なにかを閃いたのか、束が立ち上がる。

「確か、“原作”の話の流れがあるんでしょ?だったらそれを利用して....。」

  束が言いたいことは、敢えて原作に近い状況を進め、それでいて全てが織斑一夏の思い通りにはならないようにするという事だった。

「おま...随分ねちっこいやり方だな...。賛成だけど。」

「でしょ!じゃあ、早速、その準備に取り掛からないとね!」

「だな。」

  まずは“原作”に影響を与えない程度に俺たちが自由に動ける土台を作らなければな。

「手っ取り早いのは会社を作る事だね。私に任せて!」

「オッケー。あ、“原作”の知識、できるだけ教えておこうか?」

「それもそうだね。後でよろしく!」

  俺も結構ノリノリで準備を進めて行く。

「“夢”を追うため、いつまでもIS関係で後ろめたい事をやらせておくのも嫌だな...。」

「なら、どうにかしよう!これぐらいなら同時進行でできるでしょ!」

  着々と予定を組み立てて行く。予定とは言え、全て俺たちならほぼ確実にできる事ばかりだ。

「あとは人員の確保だが...。」

「これも同時進行で探そうか。今日はここらへんにしとこう!」

「そうだな。」

  行動に移すのは明日だ。今日はもう寝る事にしよう。





 
 

 
後書き
束が原作と違う部分が多々あると思いますが、飽くまでこれは“原作”に似た世界線なのであしからず。...というか、桜がいる時点で結構違います。
...原作まで、もう少しかかるかな。 
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