戦国異伝
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第二百二十四話 帝との話その十一
「ありますな」
「そうじゃな、それでなのじゃ」
「この度の馬揃えも行い」
「色々考えておる、それでじゃ」
さらに言う信長だった。
「奇妙には飛騨者達をつけよう」
「それがしにはですか」
信忠は父のその言葉に思わず声をあげた。
「あの者達を」
「そうじゃ、飛騨者を全てつける」
「そしてあの者達がそれがしをですか」
「守る、あの者達が全て御主の周りにおれば」
それで、というのだ。
「例え万を越える軍勢が来ても逃げられる」
「あの者達が守ってくれるので」
「そうじゃ、わしの傍には既に勝三達がおる」
森、そして池田にだ。毛利と服部も見た。幸村と兼続もだ。
「十勇士もおる、まずやられることはない」
「そしてそれがしにはですか」
「飛騨者達をつける、身の安全は万全にする」
信長だけでなく信忠のそれもというのだ。
「これから何があってもよい様にな」
「ですか、では」
「その様にな」
信忠にも言ったのだった、そしてだった。
このことも決めてからだ、信長はまた言った。
「暫く政治を行いな」
「そして、ですか」
「そのうえで」
「天下を隈なく見るとしよう」
「隈なくですな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「この天下の隅から見てな」
「そのうえで」
「何かをですか」
「御覧になられますか」
「そうじゃ」
また家臣達に言うのだった。
「わかったな」
「はい、それでは」
「我等も」
「まずは馬揃えに出て」
「そしてですな」
「戦はこちらが整い相手が乱れればな」
それで、とも言う信長だった。
「よく戦える」
「こちらが有利にですな」
「有利に戦えますな」
「相手が乱れれば」
「まさにその時は」
「考えてみればこれまで乱れた相手との戦は少なかったのう」
織田家の戦はだ、こちらの兵や武具はいい時が多かったがそれでもだ。相手はどうだったかというのである。
「乱れた敵は少なかった」
「実に」
「武田家、上杉家といい」
「北条家、毛利家も」
「島津家もでしたな」
「本願寺や朝倉家もでした」
「ひいては三好家も」
そうしたこれまで織田家が争った家々はというのだ、本願寺も含めて。
「どうにも」
「強い相手ばかりでした」
「決して乱れることのない」
「だからわしも乱れさせることはしなかった」
一切、というのだ。
「どれだけ仕掛けても乱れることはないとわかっておったからな」
「むしろですな」
「こちらが手筈を整え」
「そして戦に向かう」
「それを徹底していたからですな」
「そうじゃ、だから乱れさせることはしなかった」
信玄や謙信等を相手にはというのだ。
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