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迷子の果てに何を見る

作者:ユキアン
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第四十八話

 
前書き
折角彼女も出来たんだから
楽しいだけの修学旅行だと良いんだけどなぁ〜。
無理だろうな。
by零樹 

 
修学旅行 初日
side 零樹


「という訳で修学旅行なんだが三日目と四日目の予定を開けておく様に」

「ごめん、父さん。何がどういう訳なのか分からないんだけど」

「原作で事件が起こるからだ。とりあえず戦闘があるから準備だけは怠らない様に」

「ちなみに予想やとどれ位の強さのが出てくるんや?」

「そうだな、1万2千から1万5千位だと思う。数は多くても10体、あと鬼に気をつけろ。零樹なら見た目から対処の仕方は分かるだろうから覚えておくと良い。一応向こうには詠春と木乃葉と鶴子も素子もいるから大丈夫だろうけど何かイレギュラーが起こったら連絡を入れろ」

「1万2千から1万5千が10体。それだけしか来ないなら鶴姉と素姉だけで十分だと思うけど鬼って?」

「本山の近くにリョウメンスクナと呼ばれる鬼神が眠っていた場所に鬼、というか神っぽい物を封印してある。そいつのことなんだが封印が解かれたら必ず仕留めろ。アレ一体で魔法世界が滅びるからな」

「ちょっ、一体何を封印したのさ」

「ぶっちゃけるとアラガミだ。リョウメンスクナは本体丸ごと召還されても精々が3万程だが今回用意したアラガミ、ウロヴォロスは7万程だ」

「しかもアラガミってことは触ると」

「浸食されて死ぬ。攻撃を喰らったらその部位をすぐに切り落とせ。真祖だろうと浸食には耐えれん」

「うわぁ~、ってことは概念武装とか宝具も」

「無理だ。接触するとダメージは与えられても壊れるぞ。遠距離から魔法、接近戦がしたいなら神機を用意してあるからそれを使え」

「魔法だけでも倒せるの?」

「一応倒せるが結構硬いから時間はかかる。一番手っ取り早いのがコアを神機でえぐり出す」

「けどウロヴォロスってことは的だよね」

「的だな」

「分かった」










「っていうことがあったから覚悟だけはしていてね」

「えええええ~~~~~~」

「君尋、うるさい。他の人の迷惑だぞ」

結界張ってるから別に良いんだけどね。

「どこから突っ込んでいいのか分からないいんだけど、何で今話したの」

「心の準備が欲しいだろ」

「だからって何で駅のホームで話すの」

「逃げると思ったから。まあ、巻き込まれることは無いけど僕が班から抜けることがあるから誤摩化すのをよろしくという意味も含まれている。鋭太郎はどうする?」

「面白そうだからオレも見学に出てるから」

「レイフォンは?」

「僕は旅館に残ってるよ。もしかしたらこっちに来るのもいるかもしれないし。一応鋼糸だけは持ってきてるから」

「そんなことにはならないと思いたいけどやるなら思いっきりやると良いよ。向こうなら関西呪術協会が麻帆良以上に暴れてもバレない様に動いてくれるから。事情が正当ならお咎め無しで。刀がいるなら貸すけど」

「収納できないからいいよ。必要になったら木刀で代用するから」

「やっぱり父さんに言ってレイフォンでも耐えれる錬金鋼を作って貰った方が良いんじゃないかな?」

「孤児院から出るまではその気はないよ。こんなことで養父さんに苦労させたくないし」

「まあ、そういうなら僕は何も言わないけど。後悔だけはするなよ」

「分かってるよ」

「というわけで君尋、いざという時の結界とかは任せるぞ」

「いや、僕何も「祐子さんから道具は預かってきているから安心しろ。あと、お土産よろしくだと」……わかったよ」

預かっていた鞄を君尋に渡して周りを見渡す。

「それにしても集合時間一時間前になんで全員そろってるんだ?」

「「「さあ?」」」

ここにいる三人には元からこの事を伝える為に早めに来てもらったのだが、殆どの生徒が既にホームに集まっていた。話している内容から始発の電車で集合している人もいるみたいだ。

「リーネ姉さんは朝早くに連れてこられてかなり苛立ってるし」

「アレにはさすがに近づきたくないな」

黒いオーラがはっきりと見える位に苛立っていた。まあ、桜通り事件の時よりはマシではあるが。おかげで誰も近づけない状態が僕らが此所に来てからずっと続いている。

「零樹君、おはようございます」

「おはようございます、アリスさん」

「そちらのストーカーさんはお久しぶりです」

「ストーカーは辞めて欲しいな」

「なら、街中で放置プレイされて喜ぶ変態さんで」

「もっとやめてぇぇ~~。零樹も何か言ってくれ」

「事実だから否定できないな」

「ブルータス!!お前もか、君尋もレイフォンも退くな」

「これ、その時の写真です」

「ぬうおおおお」

アリスさんが取り出した写真を素早く奪い取り燃やしているがその後ろでアリスさんが同じ写真を4枚取り出し、紙ヒコーキに折っている。それを鋭太郎が見ると同時に別々の方向に飛ばす。それを誰にも取られない様に鋭太郎は駆け出して行った。ただ、紙ヒコーキの行き先が全て女子が固まっている所ばかりなのは嫌がらせの意味も込められているんでしょう。

「そちらのお二人とは初めてですね。私はアリス・アーデルハイトです」

「ああ、初めまして。僕は四月一日
わたぬき
君尋」

「初めまして、レイフォン・アルセイフです。あの、鋭太郎がストーカーってどういう事ですか?」

「そのままの意味ですよ。それでこちらの二人は」

「彼らも一応こちら側の人間です。レイフォンはアリアドネー出身。君尋は一般人でしたけど最近祐子さんにこちら側に連れてこられたんです。君尋はともかくレイフォンは十分戦力になりますよ。強さ表で言うなら大体1万から2万位で安定はしませんけど」

「前から気になってたんですけど、なんでMMの魔法使い以外の強さがインフレしているんでしょうね」

「現実をちゃんと見ているかいないかの違いだと思いますよ」

「鋭太郎はMM出身だけど現実を見ているからあそこまで強いんだろうね」

「変態で変人ですけどね」

「アリスさん、さすがに許してあげてくれませんか。あんなのでも親友なんで」

「零樹君がそういうならこれ以上は止めてあげます」

「ええ、ありがとうございます」

それから四人で雑談をしていると少しボロボロになった鋭太郎が戻ってきた。

「なんの恨みがあってこんなことを」

「ストーカー行為への恨みですね。ちなみにまだまだありますよ」

アリスさんのポケットから大量の写真が見えた。

「マジで勘弁して下さい」

それを見た途端、鋭太郎は見事な土下座をする。

「仕方ないですね。とりあえず今持っている分は渡してあげますよ」

さすがに駅のホームで土下座をさせているので注目が集まり、それから解放される為に渋々ながら写真を渡していた。

「何々、一体どんな写真なの」

いつの間にやらカメラを持った女生徒がアリスさんの後ろに立っていた。

「そこで土下座している彼の恥ずかしい写真ですけど」

「へぇ~、どんなのか気になるけ、あれ?先生?」

僕の方を見てカメラを持った女生徒が不思議そうな顔をしていた。まあ、何を考えているのかはすぐに分かりますけど。

「初めまして、天流・M・零樹です」

「ってことは天流先生の」

「そっくりなんでよく間違われますが息子です」

「びっくりした~、よく見たら微妙に違うし。あっ、私は朝倉和美ね、よろしく。それでさあ先生の息子で同学年ってことはリーネさんか刹那さんのどっちかと双子なの?」

「いえ、双子ではありませんよ」

違うという言葉に触れてはならない話だと思ったのか失敗したな~と言う顔をしている。

「あ~、写真撮らせてもらっても良いかな。インタビューにも答えてくれると嬉しいんだけど」

少し苦しいが話題を変えようとしているのが分かるので乗ってあげる事にする。

「ええ、構いませんよ」

「ありがとね。それじゃあ軽く身長、体重、誕生日に趣味を」

「身長は170前後、体重は70キロ前後、誕生日は9月12日、趣味は物作りですね」

「ふむふむ、それじゃあ好きな物とかは?」

「そうですねぇ、甘い物とかは好きですよ。嫌いなのは特にないです」

サバイバル訓練の時に嫌いなんて言ってられませんからね。

「最後、付き合ってる人は居る」

「居ますよ。先日から付き合い出したばかりですけど」

その答えを聞いて、一度アリスさんに視線を移してから

「もしかしておじゃまだった?」

「朝倉さん、絞められたくなかったらあまり広めない様に」

アリスさんが朝倉さんの背後からタオルで軽く首を絞めながら脅していた。

「わ、分かったから放してくれないかな?」

「いいでしょう。ですが広めたりしたら、分かってますね」

「イエスマム」

朝倉さんは解放されると同時にそそくさと自分のクラスと思われる場所に逃げて行った。アリスさんの殺気に怯えて鋭太郎達もこの場から離れていた。ふむ、二人っきりになれたのは予想外だがこれはこれでいいか。それから集合時間になるまでアリスさんと談笑して過ごす事にした。


side out



side リーネ

「はいはい、皆さん静かに。それでは、15年度の修学旅行が始まりました。この四泊五日の旅行で楽しい思い出をいっぱい作って下さいね」

『『はーーい』』

源先生の声に合わせて女子3-Aと男子3-Xの声が車内に響き渡る。3-Xということは零樹のクラスね。暇だからこっちに呼ぼうかしら。あら、よく見たらすぐ近くに居るじゃない。なら早速呼ぼうかしら。

「零樹、暇ならこっちに来なさい」

「なら暇じゃないと答えさせてもらうよ」

「いいから来なさい。生け贄として佐久間を連れてきても良いわ。あと何か暇つぶしが出来る物も持ってきなさい」

「了解」

「俺を売るのか!!」

「なら姉さんをなんとかするんだな。ちなみに強さ表6万5千から6万8千ってところだ」

「零樹はどれ位なんだ」

「6万3千から6万7千って所だこの変動値は相性の差から出されているから、もし鋭太郎が姉さんと戦った場合の値は6万6千前後だ。ちなみに鋭太郎は1万8千から2万2千と言った所だな」

「3倍差か、今は諦めるしかないか」

「それが身の為だ」

「ずいぶんな言いようね。そんなに私を怒らせたいの」

「滅相もありません」

「なら暇つぶしを手伝いなさい」

「はいはい、といっても紙麻雀位しか持ってきてないよ。あとはDM位だね」

「昨日適当に組んだデッキの調整にちょうど良いわ。相手なさい」

「分かったよ。木乃香さん、席を代わってもらえますか」

「かまへんよ」

「では姉さん、ネタとネタとネタとガチ、どれを選びます?」

「二つ目のネタで」

「了解。じゃあ」







「「デュエル」」






「まずは私から行かせてもらうわ、ドロー」

手札は少し微妙ね。まあ何とかなるでしょう。

「ミスティック・パイパーを召還してリリース。デッキから一枚ドローして公開、レベル1モンスターならもう一枚ドロー。トップは成金ゴブリンよ。そのまま成金ゴブリンを発動。デッキから1枚ドローして相手は1000ポイント回復。カードを3枚伏せてターンエンド」

「僕のターン、ドロー。手札から星見獣ガリスの効果を発動。デッキのトップを墓地に送り、それがモンスターならレベル*200のダメージ。墓地に送られたのはサイバー・ドラゴン、レベルは5よって1000ダメージ。さらにガリスを守備表示で特殊召還。更にもう一枚のガリスの効果。送られたのは……レベル・スティーラー。よって200ダメージ。このガリスも守備表示で特殊召還。モンスターをセット、これでターンエンド」

「私のターン、ドロー。ミスティック・パイパーを召還してリリース、トップは金華猫。レベルは1だからもう一枚ドロー。カードを2枚セットしてエンド」

「僕のターン、ドロー。手札からマシンナーズ・フォートレスを墓地に送りクイック・シンクロンを特殊召還。ガリスにクイックをチューニング、ジャンク・デストロイヤーをシンクロ召還。ジャンク・デストロイヤーの効果を発動。真ん中のセットカードを破壊する」

「残念、真ん中のセットカードをチェーンで発動。和睦の使者よ。ついでに残りのセットカードもオープン。無謀な欲張り、強欲な瓶、積み上げる幸福、非常食を発動するわ。ライフを4000回復してカードを5枚ドロー」

「手札増強、エクゾディアデッキか。和睦でダメージを与えられないからマシンナーズ・ギアフレームを召還。効果でデッキからマシンナーズ・フォースを手札に加えてターンエンド」

「私のターン、無謀な欲張りで私はドローできないわ。金華猫を召還、効果で墓地からレベル1モンスターを特殊召還。ミスティック・パイパーを特殊召還してリリース。トップはゴブリンのやりくり上手。カードを5枚伏せてターンエンド。エンド時に金華猫は手札に戻るわ」

「僕のターン、ドロー。ガリスとセットしていた黄泉ガエルをリリース、 古代の機械巨人アンティーク・ギアゴーレムを召還。墓地のマシンナーズ・フォートレスの効果を発動。手札からマシンナーズ・フォースを墓地に送って攻撃表示で特殊召還。更にデストロイヤーのレベルを1下げてレベル・スティーラーを攻撃表示で特殊召還。全員でバトル」

「手札から速攻のかかしの効果を発動。バトルフェイズをスキップ」

「ターンエンド」

「エンド時にゴブリンのやりくり上手を2枚、無謀な欲張り、積み上げる幸福、非常食を発動。ライフを4000回復してカードを4枚ドロー、さらにカードを3枚ドローしてカードを1枚デッキの下へ送るのを2回。まだ揃わないわね。私のターン、もう一度金華猫を召還して墓地からミスティック・パイパーを特殊召還してリリース。トップは封印されし者の左腕、よってもう一枚ドロー。やっと揃ったわね、手札に封印されしエクゾディア、封印されし者の左腕、封印されし者の右腕、封印されし者の左足、封印されし者の右足が揃ったわ」

「テスタロスの一発にかけておけば良かったかな」

「デッキが無くなった後に貪欲な壷。さあどうする?」

「はぁ~、降参。ガチのエグゾディアよりはマシだけど十分凶悪なデッキだね」

「まあ、お遊びなんだからこんなものでしょう。ちなみに零樹のデッキはフルモンスターかしら」

「そうだよ。ガリスとバードマンのコンボとメタイオンでバーンもできて、サイバーエルタニアンで場をリセットしたり、フォートレスを大量展開したり、帝も何枚か入ってるし、シンクロも組み込んであるし、色々出来る様にしてあるデッキだよ。勝率はそこそこあるデッキだよ」

「その割には回ってるわね」

「たまに事故るよ。それでなんで僕達は包囲されてるの」

デュエル中にいつの間にかクラスの娘に包囲されていた。

「朝倉の言う通りホントに先生そっくりじゃん」

「でしょでしょ、先生を更に紳士的にしたらこんな感じになると思うんだけど」

朝倉とハルナが零樹を見て騒いでいた。

「姉さん、こちら方々はクラスメイトですか?」

「そうよ。それで、なんでみんな集まっているのかしら」

「いやね、男子が女子の方に普通に来て混じってるから様子を見に来たのよ」

「ホントに先生そっくりだよね」

みんなが口々に零樹のことをお父様にそっくりだと言うけど中身は似ているようで似てないのよね。零樹の方が少し大雑把で力強くて、お父様はきめ細かくしなやかな強さ、零樹が大木でお父様が竹のようなものかしら。

「とりあえず周りは無視して麻雀でもするわよ」

「無視は酷くない」

「なら私の暇つぶしの為の玩具にでもなってくれるの」

「いや、それはちょっと」

「なら邪魔しない。とっとと散りなさい」

渋々ながら散って行くクラスメイトを尻目にカードをシャッフルしていく。途中、あのガキが零樹を見て不満そうにしていたけど、私達が睨むとすぐに何処かに逃げ出してしまった。いい気味ね。
それから京都に着くまで麻雀をしていたのだけれど結果はビリが佐久間、同着で私と零樹、トップがアリスだった。


side out




side アリス


というわけでやってきました京都。途中関西呪術協会からの妨害等あるはずが無いので至って普通の修学旅行です。ええ、麻帆良に苦情は行っていますが。魔法先生は一人と言いつつ3人居ますから。愚兄を入れずに。
まったくこれで東西の仲は更に悪化するでしょう。親書を持って行った日には戦線布告されても仕方ないでしょうね。

「それにしてもやはり麻帆良の生徒は異常ですね」

「ええ、これも学園結界の結果なんでしょう」

今も楓さんが清水の舞台から飛び降りようとしたりしていてかなり目立っています。その後、綾瀬さんの一言で音羽の滝に皆さんが駆け出していくのを遠目に見ながら零樹君と一緒にゆっくり見学を続けていきます。気を使ってくれているのかリーネさん達もストーカー達も傍にはいません。少ししてから音羽の滝の方に行くと皆さんが恋愛の水に群がっていました。リーネさん達は健康の水を飲んでいました。もちろん私も零樹君も健康の水を飲みましたけど。
知っていますか?音羽の滝って元をたどると合流しているんです。しかも下から見える範囲で。まあ、これも呪術的に見れば気休め程度の力があるみたいですけど。
ここでも事件は一切おこらずその後も色々な場所を見てまわり無事にホテルへ着き、何事も無く初日が終わった。明日は愚兄が告白されて朝倉さんに魔法がバレるんだっけ。後々の為に私が魔法関係者という事だけは愚兄にバラしますか。朝倉さんには申し訳ないですけど記憶は消させてもらいます。原作ならともかく、現実のあなたの価値はあまり無いのでね。師匠も巻き込ませたくないと言っていましたし。ああ、めんどくさいな。


side out 
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