IS~夢を追い求める者~
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第1章:修正の始まり
第1話「プロローグ」
前書き
ただただ「こんな話を書きたい」という衝動から生まれた作品です。過度な期待はしないでください。
ありがちな設定というか、無茶苦茶な設定ばかりになってしまうかもしれません。
衝動書きですけど、これでも一つの小説として精一杯頑張るつもりなので、おかしい部分などがあったら指摘、もしくはアドバイスが頂けるとありがたいです。
=???視点=
「おい!織斑千冬が決勝に出ているぞ!?」
「嘘だろ!?弟を誘拐すれば棄権するはずだろ!?」
誘拐犯達が大会の様子をモニターで確認しながらそう喚く。...尤も、外国語だから細かい部分は少し分からないけど。
「(....そっか。所詮、“出来損ない”だから、助けられなかったんだな...。)」
助けられなかった事に対し、俺は随分と冷めた思考をしていた。
―――“出来損ない”
それは、俺以外の家族の皆が才能に溢れてばかりだったから付けられたレッテルだ。姉は第一回モンド・グロッソ優勝者で世界最強。兄は何でもそつなくこなす万能の天才。妹は今の所家事よりだが、その才能は相当だと言われている。...対して、俺は何でも人一倍努力しなければ身につかない“非才”だった。だから周りからはいつも蔑まされていた。
最初の頃は、家族や姉の友人の姉妹、その家族は兄以外味方だった。...だけど、姉の友人――篠ノ之束さん――がISを開発した辺りに、いきなり環境が変化した。家族も、姉の友人の姉妹も掌を返したように俺を蔑むようになった。
それだけじゃなかった。それ以降、どんなに俺が良い行いをしても、その全てが兄のおかげになっていた。
...原因は感づいている。兄だ。どういう方法でそうなったかは分からないが、兄が俺を“ざまぁみろ”と言わんばかりに見ていたのを知ったからだ。
...それからは、俺の居場所はないに等しかった。だけど、それでも俺は努力して、挫けずに生きてきた。...でも、もうそれも疲れてきた...。
「...ちっ、出来損ないの方を連れてきたのが間違いだったか。」
「どうする?」
「...依頼人の命令は“織斑千冬を棄権させる事”だ。誘拐はその手段の一つでしかない。」
目の前で男二人がそんな会話をしている。
「こいつの生死は特に言われてない...か。」
「おい、坊主。どうする?」
男の一人が尋ねてくる。
「...もう、疲れた。...どうせ、口封じするんだろ?さっさと殺してくれ。」
「...お前....。」
こんな誘拐をしておいて、無事で済むはずがない。...だけど、もう生きるのに疲れたんだ。
「...俺たちのような下っ端には分からないが、余程の事があったんだな。」
「“出来損ない”って言われてたんだ。ロクな人生じゃなかっただろう。...俺たちが言えた事じゃないが。」
「....だから、せめて楽に殺してやるよ。せめてもの情けだ。」
銃口を突きつけられる。
「...なにか、言い残すことは?対して影響はないが、俺たちがしっかりと胸に刻んどいてやる。」
「....一つ、だけ。」
大きく息を吸い、感情をきっちりと込めてはっきりと言う。
「誰か、この狂った世界をぶっ壊してくれ...!」
「....あぁ。その言葉、覚えておいてやる。」
撃鉄が起こされ、引き金に指がかかる。...あぁ、俺はここで死ぬんだな...。
―――ガァン!!
「な、なんだ!?」
銃声にしてはやけに鈍く、そして響く音。誘拐犯達も事態が分からなみたいだ。
―――ガァン!ガァン!ゴガシャァン!!
「―――ここ!?」
扉がぶち破られ、中に誰かが入ってくる。
「だ、誰だ!?」
「...っ!?篠ノ之...束...!?」
入ってきた人物は、トレードマークであろう機械的なウサ耳カチューシャや不思議の国のアリスのような服ではなかったものの、紫っぽい長い黒髪のその人は、かつて俺を励まし続けてくれた篠ノ之束そのものであった。
「...束...さん....?」
「君は...君が....。」
束さんは俺を見て、何かを呟く。....あれ?束さんの目って、桜色だったっけ...?
「...残念ながら、俺は篠ノ之束じゃない。」
「なに!?」
「え......。」
よくよく見れば、今着ている病人が着ているような白衣からは、束さんにあるはずの胸がなかったし、目つきも若干鋭かった。
「くっ....!」
男の一人が再起動して、銃を向ける。
「遅い!」
「がぁっ!?」
けど、束さん(偽)は一瞬で男の懐に入り込み、銃を弾き飛ばし、背負い投げを決めた。
「なっ!?」
「はい、動くなよ?」
その事に驚いたもう一人に、弾いた銃をキャッチして向ける。
「とりあえず、気絶してもらう。」
「うっ....。」
あっさりと無力化し、二人を気絶させる束さん(偽)。
「...あなたは....?」
「俺...?俺は...そうだな...束の幼馴染って所か?」
「束さんの!?」
幼馴染がいるなんて聞いた事...あ、そうだ。一度だけ、聞いた事があったっけ...?
―――「....私にはね、ちーちゃん以外にもう一人、親友がいたの。」
...あの“親友”が、この人...?
「神咲桜って言うんだ。...こんな名前と容姿だが、男だからな?」
「は、はぁ...?...って、男!?」
こんなに束さんにそっくりなのに!?
「それで...君は、織斑秋十君で合ってるね?」
「は、はい。」
手足が縛られて動けない俺に目線を合わせてしゃがむ神咲さん。
「...かつての家族と、居場所を取り戻したい?」
「....ぇ...?」
「取り戻したいのなら、この手を取ってくれ。」
そう言って、俺を縛っている縄をほどいて手を差し伸べる神咲さん。
「(...取り戻...せる....?千冬姉の...マドカの...束さんの...箒の...皆の優しさが...?俺の...居場所が....?本当に...?)」
「この狂いに狂った世界も、ぶっ壊せるぞ?」
その言葉は悪魔の囁きのようで、希望をくれる天使のようだった...。
「...取り戻したい...。」
「うん?」
「...取り戻したい...!皆を、かつての優しい皆を、取り戻したい!」
そう力強く叫び、手を取った。
「...いい返事だ。さぁ、行こう。」
「行く...?って、どこへ?」
「そうだな...。まずは、寝惚けておかしくなってる兎を叩き起こしにでも行こうかな!」
そう言って、俺を囚われていた所から連れ出して行く神咲さん。
「....さぁ、世界の修正の始まりだ。」
後書き
はい。と言う訳でやっちゃったぜ的な話の始まりです。
一応、千冬さんはドイツ軍の人たちに誘拐された事を教えてもらったので、その恩返しとして原作通りにドイツへ教導しに向かいます。尤も、この時点での千冬さんは秋十君に対して後悔とかは抱いていません。
感想、待ってます。
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