魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第19話 数の子シスターズ、回転寿司に行く
「今日は回転寿司に行きます」
ゴールデンウィーク2日目。
家にいるみんなだがずっとダラダラしていて正直見ていられない………
昨日のデパートではっちゃけ過ぎたせいか、燃え尽きたようにダラダラとしていたのだった。
ゴロゴロしながらテレビを見るかゲーム。
休みだからってだらけすぎだ!!
唯一キビキビ動いていたのは星とフェリアだけだった。
最近フェリアが率先して星の手伝いをしている。
料理などは流石に無理があるが、洗濯や掃除は完璧にこなしてくれる。
俺にとっても星の負担が減って安心している。
働きすぎなんだよ星………
俺も手伝おうとするが、星は必ず遠慮する。
もう少し頼ってもらいたいんだが………
「回転寿司ってなんだ?」
「寿司が回転するんじゃないんっスか?」
何のメリットがあってそんなことすんだよ………
ノーヴェとウェンディは分からないんだな。
セインが行きたいって言ったからみんな知っているもんだと思ってたぜ………
「お寿司がベルトコンベアで流れてくるから回転寿司って言うんだよ」
ご丁寧にライがお姉さん口調で教える。
「そうなんスか………ありがとうっス、ライ姉!」
「エヘヘ………」
嬉しそうにするのは構わんがあまりだらしない顔してるとお姉さんっぽく見えないぞ………
「で、一昨日にセインが食べに行きたいって言ってたから行こうって言ってるんだよ」
「え〜動くのメンドイっス〜」
「私も今日は動きたくねぇな」
こいつら………
「………だったらお前らは夕食抜きだな」
「「えっ!?」」
「だって食いに行かないんだろう?二人でふりかけでも食べてな」
「な、なんてこと言うんっスか!?ふりかけはただのご飯に色々な味をくれる素晴らしい物なんスよ!!」
ってそっちかよ!?
「わ、私は食いに行くぞ!!」
慌ててノーヴェは行くことを俺に伝える。
「じゃあ、留守番はウェンディだけと………」
「嫌っス!!一人だと寂しくて泣いちゃうっス!!」
だったらくだらないこと言ってんなよ………
「だったら準備しろ早めに出るぞ」
リビングにいるみんなに俺は言った。
「何で?」
「レイが連れていってくれるところは休みの日だと凄い混むのよ。前にライの準備に時間がかかちゃって、19時頃について食べ始めたのは確か20時半位だったはずだけど………」
質問したセインは星が言ったことに驚愕している。
「だけどとても美味しかったよ。私も寿司は好きだから楽しみなんだ」
嬉しそうに言う星。
こうして早めに寿司屋へ向かう有栖家だった。
「着いたぞ、ここだ」
そこには『回転…鮮』と看板に書いてある店に着いた。
時刻は17時半。結構早い時間に来た方だと思っていた。
「すごい人ですね………」
「まだ五時半なのに………」
「どういうことだレイ?」
夜美の言葉で皆が俺を見る。
「キャンペーン中だってこと忘れてた………」
旗が入口に立っており、そこに『大トロキャンペーン実施中』と出ていた。
「………取り敢えず予約だけしてくる」
そう言って俺は皆を置いて店の中に入った。
「1時間待ちだってよ………」
早めに来といてこれか………
「なんだよ、結局直ぐに食べられないじゃないか」
携帯をいじりながら言うノーヴェ。
その携帯は昨日のデパートで購入した奴だ。
一応ウェンディとセインにも渡したが、ウェンディはアプリに夢中で暇さえあればやっている。
現に今もドラOエに似ているRPGをやって時間を潰している。
「悪かったって。それに1時間なんてあっという間だろ。それに19時とかだったらまた20時半位になってたかもしれないし………」
「そうかもしれないけどよ………」
そう言いながらも携帯をいじる手を止めないノーヴェ。
「っていうか何してんだ?さっきから」
「ど、どうでもいいだろ!!」
慌てて携帯をしまうノーヴェ。
気になる………
まぁ無理やり見たら殺されそうだし、止めとくか。
「ノーヴェ、フェリア姉の画像を整理してたんだよ」
「ちょっ!?セイン!!」
ああ、俺が送った画像か。
よっぽどフェリアが好きなんだな………
「で、よかったか?」
「ああ、どれも最高だ!!流石、フェリア姉!!」
ボリュームがデカいせいで周りの人にも聞こえてしまう。
フェリアは恥ずかしそうにうつむいてる。
「迷惑だからでかい声出すのは止めろよ………」
「お、おう。悪い………」
周りの目を見てボリュームを下げるノーヴェ。
これで静かになると思ったが………
「ああ〜!!何でここでMP切れを!!あともう少しなんだ!!頑張れレイ!!」
ウェンディが携帯をいじりながら興奮している。
今度はウェンディか………
っていうか何で俺の名前!?
「星、頼む」
「はい、分かってます」
そう言って、星はウェンディを外に連れ出した。
少しは反省してこい………
「うう、星姉〜ひどいっス………」
「ウェンディが悪い。少しは反省しろ」
フェリアにも厳しいことを言われ、何も返せなくなるウェンディ。
今、ウェンディの携帯は星が持っている。
「暇っス、暇っス〜!!レイ兄、まだっスか?」
「後30分位だ………」
「暇っス、暇っス〜!!」
あーやかまし!!
少しは姉達を見習えよ!!
フェリアは自分の読みかけの本を読んでるし、セインはライと静かにしりとりをやっている。
ノーヴェは相変わらず携帯をいじってるが、静かにしている。
何でこいつだけ………
「………これ貸すから少しは静かにしててくれ」
そう言って貸したのはPSP。ゲームはぷよぷよに似たパズルゲームだ。
「おお、流石レイ兄!!では早速」
これで少しは静かに………
「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイっス!!もう少しでゲームオーバーに!!」
と期待していた俺がバカだった………
PSPを持ちながら体も動くウェンディ。
フェリアと同じように文庫本を読んでいる星と夜美はとても邪魔そうだ。
「ああ!!こんな時に!!!なんて奴っス。鬼畜っス!!この外道!!」
………頼むから本当に静かにしてください!!!
周りのお客様の目がとても痛い。
このままだと店から追い出されんじゃないのか………?
「やっと食べられるっスね」
「………ああ」
お前の所為で俺の疲労感は半端ないよ。
「うわぁ〜」
目をキラキラさせながら言うセイン。
「本当に寿司が回ってきてるぜ………」
そう言いながら写真を撮るノーヴェ。
「それくらいにして早速食べようぜ」
この人数だと少し狭いので二つに別れてそれぞれ食べ始めた。
「これは何スか?」
「ぶりだな」
「うまいんスか?」
「………食ってみろよ」
「それじゃあ………」
皿をとって、ぶりを食べるウェンディ。
「うまいっス!!ヤバイっス!!最高っス!!」
「醤油がこぼれてるぞ。もう少し落ち着いて食べろよ………」
ウェンディは楽しそうに食べているのだが、俺の食事に支障が………
同じ席に座っている夜美とノーヴェは黙々と食べてるし………
セインやライの事を星に頼んで別の席にしたけど失敗だったかな。
俺は小皿に醤油を入れ、わさびを大量に入れる。
やっぱりわさびは多く入れないとな。
「零治、何だその緑の物は」
「ノーヴェ、舐めてみるか?」
俺は少しいたずらしようと提案してみる。
「じゃあちょっと………」
箸にわさびを付けて舐めてみるノーヴェ。
いきなりそんなにいったら………
「%$#&#$%!!」
言葉になっていない声を上げ悶えるノーヴェ。
速攻で水を飲んだ。
「どうしたんスか?ノーヴェ………」
「ウェンディも舐めてみるか?」
「じゃあ、私も舐めてみるっス」
ウェンディも箸でわさびを取り、それをそのまま食べる。
コイツ、ノーヴェの状況見てなかったのか?
「そんなに大丈夫か?」
「せっかくなんだから多い方が良いに決まってるっス!!」
その欲張りが今回は失敗だったな………
「%$#%&%$!!!」
ウェンディも言葉にならない言葉を叫ぶ。
「鼻が………鼻がツーンとするっス………」
流石に効いたのか今度こそ静かになるウェンディ。
「レイ兄にはめられたっス………」
「覚えてろよこのやろう………」
二人に睨まれるが、そんなことは気にせずえんがわを食べる。
「夜美、つぶ貝取ってくれ」
「分かった。………そら」
「サンキュー。二人は食べないのか?」
いつまでも俺を睨んでる二人に声をかける。
「………食べるっス」
「私も………」
何か企んでそうだな………
「ウェンディ………」
「うん、レイ兄をギャフンと言わせるっス!!」
二人が結束した瞬間だった。
「まずはセインで試してみよう」
「がってんっス!!」
まず、ノーヴェがやりいかを取り、上のやりいかをどける。
「わさびを大量に………」
ウェンディがご飯の上に大量のわさびを乗せやりいかをまた乗せた。
「セインこれ美味しかったっスよ。どうスか?」
後ろの席に座る、セインに聞く。
「ウェンディ、行儀が悪いぞ!!」
「ごめんっス、フェリア姉。でセインどうっスか?」
「せっかくだしもらおうかな」
ウェンディからやりいかを貰い、セインは箸を持つ。
「それじゃあ、いただきます」
醤油をつけて口に入れた。
「&$%#$&%$#!!」
「ちょっと!!セイン!?」
様子がおかしいセインに慌てる星。
「の……みもの…を………」
「は、ハイ、セインお茶!!」
ライがすかさずお茶を渡す。
「ゴクゴクゴクゴク………ぷは。う〜鼻がツーンとするよ………」
熱いお茶を一気飲みするセインに驚く星、ライ、フェリア。
「どうしたの?」
「わさびが強かったのか、ものすごく鼻にツーンと………」
「わさびが?」
星が疑問に思い、ウェンディを見る。
口笛を吹きながらそっぽを向いている。
………怪しい。
フェリアもそう思ったみたいだ………
「行儀悪いから後ろ向くのは止めろ、ウェンディ」
「分かったっス」
俺の言葉にウェンディは後ろを向くのを止め、元の位置に戻った。
「ノーヴェ………」
「ああ、いけるな………」
そう確信した二人だった。
「レイ!!」
「ん?」
「このとろサーモン美味しいっスよ、どうっスか?」
俺にとろサーモンを渡してくるウェンディ。
「おお、ありがとな。でも今の俺はねぎとろ食べたいからお前で食べろよ」
笑顔で進めていたウェンディの顔が一気に苦笑いとなった。
「来るまでの口直しとしてどうっスか?」
「………なんでとろサーモンで口直し?もう限界も近いし、無理して食べることもないだろ」
「でも………」
「もったいないからお前らでしっかり食べろよ………」
お前らの考えてることなんてお見通しなんだよ。
「レイ、戻したら………」
「ダメだ」
「ノーヴェ」
「お前が最後に受け取ったから責任持って食べろよ」
「ひどいっス!!姉なら『ここは任せろ!!』って言ってくれる場面っス!!」
「姉と呼ばないお前が何を言うか!!」
そう言われ、何も返せなくなるウェンディ。
「………まぁ無事を祈るぞ」
こそこそやっていたのに気づいていた夜美が自業自得だと言っているように呆れて言う。
「うう……味方がいないっス………」
「だったらノーヴェ、姉のお前が半分食べてやれよ」
「な、何で私が………」
「元々はお前もやってただろうが!逃げるとフェリアに嫌われるぞ」
そう言われ押し黙るノーヴェ。
フェリアの名前を出すと簡単に従うよな、コイツ。
「わ、分かったよ。だからフェリア姉には言うなよ」
「了解」
そう言ってウェンディの方を見るノーヴェ。
「ウェンディ………」
「覚悟は決めたっス………」
「じゃあ………」
「逝くっス………」
二人は大量にわさびの入ったとろサーモンを口にいれたのだった。
「よく吐き出さないな………」
「俺なら吐き出すな………」
見事、とろサーモンを食べた二人。
二人とも今、燃え尽きている………
「さて、我はそろそろ限界かな」
「だな、俺も大トロ食えたし満足だな」
「私たちも大丈夫ですよ」
「うん、とっても美味しかった!!」
嬉しそうに言うセイン。
満足してもらえてよかったよ。
「じゃあ、帰るか」
「「えっ!?」」
「もう満足だよな」
「私たち全然食べてないんだけど………」
「もう少しいないっスかね?」
「自業自得だろうが………」
まぁみんなで満足して帰りたいし、もう少しぐらい待つか………
二人は慌てて寿司を食べるのだった………
『ドクター、ウェンディは問題なく稼働しています。少しいたずらが過ぎますが………それと黒の亡霊について分かったことがあります。どうやらあの夜から一度も行動を起こしていないみたいです。何かあるのか不明ですが、一応報告しておきます。それとこれはノーヴェが撮った回転寿司の写真です。美味しいのでドクターも出来たら食べてみてください』
「寿司………美味しそうだわ……」
「ウーノ?」
「い、いえ何でもありませんドクター。それよりチンクの報告の………」
「ああ、何かあるのかもしれないね………ウーノ」
「なんですか、ドクター?」
「ミッドチルダの情報から彼の出現があったか調べておいてくれないか?」
「分かりました、ドクター」
そう返事をして、ウーノは部屋を出ていく。
「本当に姿を掴めないな黒の亡霊………」
一人になった部屋でスカリエッティはそう呟いたのだった。
ページ上へ戻る