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ラバラバ

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第一章

                  ラバラバ
 サモアは暑い、それもかなり。
 そのサモアに来てだった、リバプールで生まれ育ってきて今もそこで就職して住んでいるチャールズ=ウィッグストンは一緒にそのサモアに来た同じ職場で働いている友人のロバート=オーフェルにこう言った。
「噂には聞いていたけれどね」
「暑いというんだね」
「サウナにいる必要がない位にね」
 ウィッグストンはオーフェルにジョークを交えて言った。黒髪にも汗が付いていて黒い目にも入ってきている。そのうえで茶色の髪を伸ばし青い目が印象的な彼に言ったのだ。
「暑いよ」
「じゃあすぐにホテルに入ってね」
「水着に着替えて泳ごうか」
「そうしよう、それが目的で来たしね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「この国のことは暑さ以外にも聞いていたけれど」
 噂でだ、もっと言えばネットで調べた。
「この国の人は皆太ってるね」
「うん、サモアの人は元々太りやすい体質でね」
「太っている方がだね」
「いいと思われているし」
 それにと言うオーフェルだった。
「何しろ南洋の国だからね」
「甘い果物が多い」
「それでだよ」
 こうした条件が揃っているからだった。
「この国は太っている人が多いんだ」
「そういうことだね」
「まあ太っている人が多いことはね」
 このこと自体についてだ、オーフェルはウィッグストンに話した。髪が汗で濡れてオールバックみたいになっている彼に。
「ポリネシア全体だよ」
「南洋はだね」
「ハワイだってそうじゃないか」
「うん、太っている人が確かに多いね」
「そういうものだよ、とにかくね」
「ホテルに入ってだね」
「水着に着替えて泳ごう」
 こおうウィッグストンに提案するのだった。
「これからね」
「そうしよう、サウナでダイエットをするより泳いでダイエットだよ」
 ウィッグストンはここでまたジョークを出した。
「そうしよう」
「それじゃあね」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人はホテルに入ってそれから水着に着替えてビーチで泳いだ、南の国は確かに暑いがそれでもビーチは快適で泳ぎやすかった。そのビーチで泳いだ後で二人で水着のまま街に買いものに出た。とはいっても水着の上からラフな服を着ている。街の中は観光客に彼等を応対するサモアの人達で一杯だった。現地の人達も遊んでいる。わりかし近代的な客商売に慣れた感じの如何にもリゾート地の街といったj感じである。
 その街の中でだ、二人は現地のそのサモア人達の服を見て話をした。
「あの腰に布を巻いた服が」
「うん、ラバラバだね」
「腰から下に長い布を巻いただけでね」
「充分なんだね」
「と、いうかね」
 ここでだ、ウィッグストンはこうオーフェルに言った。
「この暑さならね」
「うん、ああした服でないとね」
「辛いよ」
 気候の関係でだ。
「やっぱりね」
「そうだね、ただ女の人はね」
「うん、ツーピースの服だね」
「あれはプレタシだけれど」
「男性と子供達はね」
 そうした人達はというと。
「もうね」
「うん、そのラバラバだね」
「暑いからあれで充分だね」
「というか暑いから」
 それ故にだった。
「あの服じゃないと暮らしていけない」
「そういうことだね」 
 二人でこう話す、見れば街の男達や子供達は多くが上半身は裸で下半身は足首近くまで隠れている長い派手な、南洋ならではの派手な柄のその服ラバラバを着ている。そこにあるポケットからものを出したりしていてだ、足はサンダルを履いている。 
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