| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

リクエストSP~
  リクエスト1! 『過去編 トオサカ シノ』 前編

 
前書き
友人からのリクエストで、過去編書きました。以上です 

 
時間は遡ること約二年前の冬。その時はどこにでもいるような普通の中学二年生で、今とは違い、ただ暇をもて余して学校を過ごしていた。

キーンコーンカーンコーン

学校の終わりを告げるチャイムも鳴り、高校でいう帰りのSHRを終え帰路につく。

「………ハァ……」

溜め息を吐きながら、いつも(かよ)っている叔父さんの店に寄って、仕事の手伝いをしている。基本的に校則でバイトをするのは禁止されているが、身内の手伝いだからバイトの部類には入らない……はず。

「シノちゃん。そこ終わったら次はこっちの水やりを頼む」

「はーい」

見た目がゴツくて、エプロン姿が似合わない叔父さんに言われジョウロに水を入れて水やりに行く。ちなみに、叔父さんが開いている店は花屋だ。

まあそんなかんなで、平和で平凡な日常を過ごしている。しかし、平凡過ぎてつまらないと思うことが度々だ。

「お疲れ様でした」

「わざわざいつもありがとうな。しかしシノちゃんが来てから店が繁盛してるし、もういっそのこと将来ここで働かない? 」

「そんな簡単には決められませんよ。それでは」

見た目がゴツい叔父さんにペロリん顔をされながら言われ、多少引きながら挨拶をして家に帰った。いや、多少じゃない。かなり引いた。

ーーー--

「ただいま」

「ん?あっ!お帰り姉さん! 」

玄関を開くと、まだ小学六年生の弟リンヤが立っていた。小学生にしてはしっかりしている自慢の弟。

「ただいまリンヤ。お父さんとお母さんは? 」

「まだ帰ってきてないよ。それよりも僕お腹空いちゃった」

「はいはい、ちょっと待ってなさい。ところで今日は何がいいのかしら? 」

「カレーライスがいい」

「一昨日食べたばかりだから却下」

「んー。じゃあハンバーグ」

しっかりしてはいるものもやはりまだ子供で、リクエストしてくるものは大抵カレー、ハンバーグ、コロッケ、唐揚げと小さい子供が好きそうなものばかりで少し笑ってしまった。

「ハンバーグね。リンヤはテレビでも見て大人しく待ってなさい」

「分かってるよ姉さん」

ーーー--

「ハァ……」

皿洗いをしながら、また溜め息を吐く。最近溜め息を吐いてばかりで少し鬱になっている。どうしたものかしら…。

皿洗いを終えた後、家事洗濯を済まして居間に行くと、テーブルの上には何かの説明書と箱が置いてあり、説明書の上には何かのパーツがばらかまれていた。

「ほったらかしにしてお風呂に入りに行ったわね…。まあいいか」

特に気にもせず、冷蔵庫からプリンを取り出してテーブルに戻り、テレビのチャンネルを変えながら食べる。こう甘いものを食べてるのが、唯一生きてて良かったと思える瞬間。

「うわっ…。姉さんまたプリン食べてる…。これで今週何個目? 」

髪を濡らしているリンヤが呆れながらテーブルに戻ってきて、先ほどあった箱のところに行って何か作業をし始めた。

「別にいいでしょ。そんなことよりも髪を乾かしてきなさい。風邪引くわよ」

「んー後で乾かしてくるから大丈夫」

そしたらもう乾いているでしょうがっと言いたくなったが、既に作業に没頭し出したので言うだけ無駄だと思い口にしなかった。

そうして一日は終わり、また退屈な日常を繰り返す。

「シノちゃん。そろそろ受験生になるけど勉強とか大丈夫なのか? 」

「う゛……言わないでください…」

「アッハッハッ!その様子じゃ勉強はこれっぽっちということか!とにかく頑張れよ」

「善処します……」

いつも通り叔父さんの手伝いをしていると、受験の話をされてしまった。ちなみに成績は……察してください。

「まぁもしもの場合は叔父さんを頼れ。とっておきの所を紹介するから」

「この花屋とか言わないでくださいよね? 」

「いやいやいやいや。ちゃんと真面目に紹介するから」

そんなこんなでお手伝いも終了して家に帰る。玄関の靴を見ると、やはりまだ両親は帰ってきていない。

「ただいまー」

「お帰りーー! 」

居間のところからリンヤの声がし、とりあえず荷物を部屋に置いてから向かう。案の定、リンヤは昨日と同じく作業に没頭していた。

「……ねえリンヤ。それってそんなに楽しいの? 」

あまりにも集中して取り組んでいるので、気になって聞いてみると、一瞬驚いた顔をされたがすぐに元に戻った。……そんなに聞いたのがおかしかったのかしらリンヤ?

「楽しいよ。すっごく楽しい。そうだ!姉さんも一緒に手伝ってよ。ちょっと大会までに時間が間に合いそうにないんだよ。お願い! 」

両手を合わせて頼まれてきたが、少しばかりめんどくさいという気がしたので、何かテキトウに言い訳しようと頭を働かせると、今日出たばかりの話が思い当たった。

「ごめんねリンヤ。私もうすぐ受験生だから、これから勉強するの」

「えー。姉さん勉強とか全然しないじゃない。むしろ見たことないよ。いつもここで何か甘いものを食べてばっかりじゃん。だから手伝って」

私は食いしん坊か何かかとツッコミたくなったが、言われてみれば食べてばかりいたので言うのを止めた。それに勉強をすることなど、ほとんど無い。詰んでしまった。……一応後で体重でも測ろう…。

「はぁ……わかったわよ。手伝ってあげる。といっても、私はいったい何をすればいいのかしら? 」

「そういえば姉さんは、こういうのを作ったこと無かったっけ。じゃあ、この説明書通りに組み立てていってよ」

そういうと、リンヤから説明書と道具とランナー(後で知った)を渡されたので、しぶしぶと作り上げていった。
手先が器用ということもあり、とりあえず失敗することなく組上がっていく。え~と、次はAの6ね。

とりあえず、渡されたランナーから作れる部位は作り終えてリンヤに渡した。

「えっ?早っ!?流石姉さんだね。きちんとゲート跡も消されているし、始めてにしては物凄いよ! 」

「そ、そうかしら。結構簡単だったけど」

「じゃあ姉さん。もう一つ頼んでもいいかな? 」

「ん?何かしら?出来ることだったら何でもするわよ」

「じゃあ姉さん、ちょっとプラ板と塗料足りなくなってきたから買ってきてくれないかな? 」

「まさかの雑用!? 」

と言っても、何でもすると言ってしまったので断ることも出来ず、リンヤからお金とメモと地図を受け取り、夕飯を材料を買うついでにバックも持って買い物に出掛けた。

「はぁ……」

またため息をついてしまった。本当に最近はこんな感じで嫌になってしまう。

「しかももう少ししたら受験生。この調子じゃ受験ノイローゼになるんじゃないかしら? 」

冗談のつもりで言ってみるも、現実になりそうなので考えるのを止めた。すると、突然肩に何かが当たり、顔を上げると黒いキャップと白いマスクを着けた男の人が何かを抱えて走り去っていった。

「ていうかあれ私のバック!?待ちなさい!! 」

待てと言われて待つはずなく、追いかけるも男女の差がハッキリと表れて徐々に引き離されていく。疲れてきて足が止まりそうになったところ、引ったくりの男の向かい側にいる男二人組の内の一人が、すれ違い時にラリアットを入れ、そのあと腕で相手の首を締め上げた。

「おいこら引ったくり。大人しく荷物を返すか、それともここで逝くか、嫌いな方を選ばせてやる」

「嫌いな方を選ばせるんだ。容赦無いなぁ……」

「引ったくりするような奴に容赦する必要とか無いだろ」

「アハハハハ」

「………………」

ポカンとしていると、引ったくりがギブギブと言いながら拘束している人に手で叩くも、解く気配が無くそのままうなだれてしまった。

「うっわ…。これ本当に気絶してるんじゃないの?始めて見たんだけど」

「……しまった。力入れすぎちまった」

拘束を解き、引ったくりからバックを取り返してこちらに寄ってきた。

「ほらよ。これあんたのだろ? 」

「あ、ありがとうございます…」

「気にすんな。んじゃな」

「相変わらずカッコいいねぇ。よっ!ヒーロー…痛い痛い痛い痛い!ちょっ!?なんかさっきの人よりも力が入ってるような気がするんだけど気のせいじゃないよね!?絶対入ってるよね!? 」

「そのままお前も気絶しろ」

バックを受け取りお礼を言うと、もう一人の男の人が寄ってきて取り返してくれた人をからかうと、その後すぐに同じ目に会わされている。その姿を見ていると思わず笑ってしまった。

「あ、ごめんなさい。面白くてつい…プッ! 」

「……まあいいや。次からは気を付けろよ」

引ったくりとさっきから拘束している人を連れて今度こそ去っていった。

「…さて、じゃあ買い物に行きますか」

ーーー--

「ただいまー。買ってきてあげたわよー」

家に帰ってすぐに、居間に向けて声を放つも反応が帰ってこず、そのまま居間に入ると、リンヤがテーブルに突っ伏して寝ていた。

「こんなとこで寝ていたら風邪でも引くわよ。たくっ…」

リンヤに毛布を被せ、今日買った食材を冷蔵庫に入れてテーブルの方へ戻る。リンヤの足下を見ると紙が落ちていたので、拾い上げて見ると、なにやら完成図が描かれていた。

「これを作ろうとしてたのかしら。にしてもこれを作ろうとしてたら、今のペースだと間に合わないだろうし。…………夕飯の支度まで時間はあるし、少しやってあげましょうか」

テーブルに座り、リンヤの元にあった箱とパーツ、説明書と道具を持ってきて製作を開始した。リンヤが製作してた様子を見ているので、大体のやり方は分かっている。けれど初心者なので、説明書やら完成図をよーく見ながら製作をする。

ーーー--

「う……ん…。今何時だろ…」

顔を上げて目を擦り、時計を見ようとしたら、何故か姉さんがガンプラを製作していた。しかも僕が作っていたガンプラを。

「えっ?何で姉さんが製作してるの? 」

「夕飯の支度まで時間はあるし、リンヤが書いた完成図を見る限りじゃ時間がかかりそうだからよ」

「そうなんだ…。ありがとうね姉さん。ところで今何時かな?何か結構寝てたような気がするんだけど」

「えっ?そんなに経ってないと思うけど……えぇっ!?八時半!?ごめんリンヤ!急いで夕飯の支度するから! 」

そう言うとパーツを丁寧に置いていきもエプロンを着けて急いで調理を開始した。それを横目で見ながら箱の中にあるガンプラを見ると、そこには残るはバックパックだけで、ほぼ完成した状態で置かれていた。

「まだ胴体と両腕と武装しか完成していなかった筈なのに…」

先ほど置いていったパーツも見ると、バックパックもほぼ完成されており、きちんと完成図通りに作られていた。

「………うん、決めた。姉さーん」

「何?リクエストなら今日は受け付けられないわよ? 」

「いやそうじゃなくて、姉さん今週の日曜日暇? 」

「?まあ予定とかは特にないけど? 」

「じゃあさ、一緒にガンプラバトルの大会に出てよ」

「はあぁ!? 」

調理中にも関わらず、手の動きを止めてこちらに振り返ってきた。予想通りの反応を見せてくる。

「姉さんのおかげでほとんど完成したし、それに今度の大会はダックマッチだから一人じゃ参加出来ないんだよ。だから助っ人が必要何だけどいいかな? 」

「あんたの友達にでも頼めばいいじゃない。何で私がやらなきゃいけないの? 」

「予定があるって断られちゃったんだよ。それに、姉さんにはガンプラの才能があると思うし、ガンプラバトルだって上手くやれると思うんだよ」

「……はぁ…分かったわよ。今週の日曜日ね」

「ありがとう姉さん! 」

ーーー--

そうして日曜日。その間はリンヤにガンプラバトルの特訓をさせられたりして大変な目にあった。

「トオサカ リンヤとトオサカ シノでエントリーお願いします」

「OKです。では始まり次第収集をかけるのでよろしくお願いします」

「わかりました」

リンヤがエントリーを終えて数分後、店員さんから収集をかけられた。

「姉さん、そろそろだね」

「私はあまり乗り気じゃないけどね…」

「まあそう言わず頑張ろうよ。優勝すれば景品も貰えるらしいし」

「ちなみに景品は? 」

「HGのガンプラ一個との無料引換券が貰えるよ」

「私にはメリットの無い景品ね…」

『それでは!これよりガンプラダックマッチバトルを開催します!では皆さん!エントリーの時に渡された番号の所へ移動してください!五分後には一斉に開始するので、遅れずに! 』

店員がメガホンを持って説明を終え、リンヤがエントリーした時の番号の所へと移動した。そこには私達を除いて二組の人達がいた。

「はぁ…」

「ヘイヘイヘイヘイ!どうしたお嬢ちゃん?ため息何か吐いて?そんなんじゃ幸せが逃げちまう…ぜ」

ため息を吐いていると、背後からいかにもチャラい男二人組が表れて声をかけられた。最後の方なんか口元に光が見えた気がしてしまい少し気分が悪くなってしまった。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧