リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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Another26 SOS
前書き
ナノモンとの出会い。
大輔達は紋章を求めて足を進めていた…いたのだが…。
ブイモン[んー♪ソースたっぷりのたこ焼きは美味いなー♪]
ロップモン[イチゴ飴もー♪]
デジモン達は歩き食いをしていた。
最初は行儀が悪いと注意したが、今は諦めの境地である。
大輔とアインスの紋章も手に入り、戦力も充実し、更に支援をしてくれる仲間もいることもあり、子供達の足取りは驚く程に軽かった。
丈「おわっ!!?」
突然丈が勢いよく転んだ。
すぐ後ろを歩いていた光子郎が、急に止まれず巻き込まれて一緒に倒れる。
丈「あ痛たたたた…ごめん光子郎」
光子郎「いえ、どうしたんです?」
丈「今なにかに躓いて……あれ?」
砂を払うと、丈の足には黒いケーブルが巻きついていた。
大輔「ケーブルですね…。どこかに繋がってるみたいですね」
光子郎「そのようです。行ってみましょう。何かあるかもしれません」
何かを確信したように、光子郎はケーブルを掴んで動き出した。
基本的にこういう時の光子郎には従っておいて損はない。
彼はメンバーの優秀な参謀だ。
そしてしばらく歩くと、コンピューターがあった。
光子郎は、背負った鞄からモジュラーを取り出し、自分のパソコンとそれにそれぞれ繋ぐ。
光子郎「……同じ規格だ!!」
太一「おーい何なんだよ~、そろそろ説明してくれよ光子郎」
どこか楽しそうな光子郎の後頭部を軽く小突き、パソコンのことなどさっぱりな太一が説明を求める。
光子郎「あ…すいません。えっとですね、このケーブルなんですが、恐らくこれはエテモンが僕達の居場所を知るために張り巡らせたネットワークです」
大輔「しかもサーバ大陸をほぼ全域。これじゃあどこにいても俺達の居場所は奴に丸分かりなわけだ」
全員【………………は!!?】
アインス「お前達は気づいていなかっただろうが、私達の行く先々にケーブルがあった。どういう原理かは分からんが、このケーブルで私達の位置を割り出しているようだ」
ミミ「えっと…じゃあ私達のいるところはエテモンに筒抜けってこと?」
アインス「そうだ…。とは言い切れんな。この網の編み目を思わせるくらい、ケーブルはサーバ大陸全体に広がっているというのに、エテモンの対処は遅過ぎる。」
光子郎「多分、エテモンの持っているコンピューターが故障している可能性があります」
大輔「それとも俺達の位置を把握出来ないくらいの馬鹿だからだと思います。」
ブイモン[よし、俺はエテモンが位置を把握出来ないくらいの馬鹿に今日のおかず1品]
ロップモン[それじゃあ私もエテモンが位置を把握出来ないくらい馬鹿に1品]
大輔「こらこらお前ら、馬鹿の方にしちまったら賭け事は成立しないぞ」
ブイモン[うおっと!!うっかりしてたぜ!!]
エテモン[ハクション!!誰かがアチキの噂をしてるわ…全く、スーパースターは話題になるから困るわ…というかまだ直らないの!?]
[だ、だって…ロコモンに吹き飛ばされて…]
エテモン[言い訳なんか聞きたくないわ!!早く直しなさい!!]
[今のままじゃあ、応急処置が精々ですよ。もっと設備が整った場所じゃないと…]
エテモン[くうう…!!仕方ないわね!!動かせるようになったらピラミッドに向かいなさい!!]
苛立ちを隠さずにエテモンはガジモン達に指示を飛ばした。
アインス「む?メールか…“助けて”…?」
差出人不明のSOS。
助けを求めるそのメールは、見出しの後も長く細かく綴られていた。
アインス「…“私を助けてくれたら、紋章の在りかを教えよう”…」
メールの文面を読み上げるアインス。
大輔「紋章を?」
とうとうエテモンとの最終決戦が近づいてきたと大輔は感じた。
空「アインスさん。本当に信じて大丈夫なんですか?」
アインス「分からん。しかしこのまま歩いていても時間の浪費だ。ならば、多少の危険は仕方ない」
空「アインスさん…」
大輔「そろそろじゃありませんか光子郎さん。」
光子郎「ええ、もうすぐです…」
タケル「…あっ、光った!!!」
指定されたポイントから少し離れた位置に足を踏み入れると同時にタケルのタグが輝いた。
子供達は一斉にきょろきょろと周りを探す。
パタモン[あーっ!!タケル、こっち!あったよ、タケルの紋章!!]
パタモンが歓声をあげ、飛んでいく。
駆け寄ったその先には、模様が彫り込まれた巨大な石板があった。
紋章は引き合うようにタケルのタグと同じ律動で輝きを増し、翳したそれにするりと収まる。
タケル「やったあ…僕の紋章だぁ!!」
にこにことしゃがみこんでパタモンに紋章を見せてやるタケル。
弟の優しさに眉を下げつつヤマトが呟く。
ヤマト「どうやら罠じゃなかったようだな。」
アインス「そのようだ。残るは武之内の愛情の紋章だ。」
空「愛情…」
大輔「空さん?」
“愛情”の単語に表情を暗くした空に、大輔は気づいた。
空は慌てて笑い、ごまかした。
その後は抜け道を通り、デジ文字が書かれた通路にて光子郎がプログラムを実行すると、行き止まりだった通路の奥が消え、通路の出口は、巨大なスフィンクスの口と繋がっていた。
広く見晴らしのいい視界の中に、逆さまのピラミッドが建っていた。
出口からそっと顔を出し、太一が単眼鏡で辺りを見回すと、モノクロモンに牽かれたボロボロのトレーラーが走ってきた。
エテモンはトレーラーから飛び降りると、ピラミッドの中に入っていった。
これでは迂闊に近づけないため、しかたなく子供達は、スフィンクスの口の奥、空間の向こうで野営することに決めたのだった。
ピラミッドのジャンク置き場にて、一輝とレオルモンと遼とドルモンがナノモンのデータチップを探していた。
一輝「やれやれ、こんなガラクタばかりの場所でどうやってデータチップなんか探せってんだ」
遼「まあ、そんなに愚痴るなよ。大輔達のサポートをするって決めたろ?」
一輝「…分かってる。たく、帰ったらはやての作ったスイーツ食わねえとやってられねえよ」
ドルモン[まあまあ、レオルモンはどう?]
レオルモン[んー、もしかしてこれかな?]
遼「どれどれ…いや、ただのガラクタだ」
遼達がナノモンのデータチップを発見したのは今から数時間後であった。
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