ソードアート・オンライン〜Another story〜
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SAO編
第98話 血盟騎士団 団長・ヒースクリフ
~第50層 アルケード・エギルの店~
キリトは、朝からエギルの雑貨屋の二階にシケこんでいた。
椅子にふんぞり返って脚を組み、店の不良倉庫なのだろう奇妙な風味のお茶を不機嫌に啜る。既にアルゲート中―――……否、多分アインクラッド中が昨日の《事件》で持ちきりだ。それは、フロア攻略 新しい街へのゲート開通だけでも十分な話題だった。それはそうだろう、後半の方では前半の層比べて攻略の速度が遅いからだ、だから1層上に上がる度に、話題沸騰となる。
だが……それ以上の話題があったんだ。そう、本当に色々とあったから……。
曰く、《軍の大部隊を壊滅させた悪魔》 曰く 《それをたった2人撃破した。》 曰く《二刀流使い50連撃 全てを見透かす眼。心眼使い 正に神の目、神眼使い》……etc
尾ひれが付くにも程があるってものだ。
見透かすと言う部分は強ち間違いでは無いが≪神≫を冠するには大袈裟すぎると思える。そして、よくよく考えてみれば、リュウキの≪眼≫は公共の場では披露した事は特にこれといって無いのだ。……あの戦争を除けば殆ど一瞬の解析に使う《眼》。だから、話題に上がるほどじゃなかったのだが……今回の事件で一気に話題となってしまった。
それに心眼で、神眼って。
ただ、読み方を変えただけの誤変換、造語じゃないか……?って突っ込みたくなる。
そしてそれに、更に拍車をかけたのがキリトの話題だった。二刀流使いと言うユニークスキル、50連撃。
それはリュウキに負けずと劣らずのモノだろう。
いや、インパクトで考えればキリトが更に大きく上回るだろう。なんと言っても通常では有り得ない限界の更に向こう側、≪50連撃≫だ。……つまり、通常の片手剣スキルの10倍程の連撃をしている?のだから。
「ったく……一体どーやって調べたのか……」
キリトは、げんなりとしていた。
そう、キリトの塒にも早朝から、情報屋・剣士が押しかけてきて、脱出するのに転移結晶を使ってしまった程だとか。
「まったくだ……。今回はアルゴじゃない様だ。……問い詰めたが、首を振っていたからな」
「ああ……、じゃ、絶対軍の連中だな。と言うか、アルゴはあの場所に居なかったし」
そして、実を言うと、リュウキもそこへと来ていた。リュウキの所在場所は元々有名だ。アインクラッドでも1,2を争う美人と結婚している事は以前では一騒ぎになったのだから。……普段はプライバシーの尊重とか言い、そこまで押しかけてこなかったが、今回の1件で、アスナとレイナの家そこにも押しかけてきたんだ。
アスナ・レイナにも多大な迷惑をかけてしまう事になる。
……あの事件?の後の夜、つまり昨晩こそは、レイナはリュウキと片時も離れないと言わんばかりにリュウキに付きっ切りだった。だが、流石にこんな事態になってしまえばどうしようもない。翌日、攻略についてや、休暇の届けを出しに血盟騎士団本部に行こうとしたのだが……数多の数のプレイヤー達に囲まれてしまい、身動きが取れない程だった。
そこで、リュウキが囮になったのだ。
合図、カウントダウンをして、リュウキが家から一目散に駆け出すと、ギャラリーは蜘蛛を散らしたかのようにあっという間にいなくなったのだ。……その後に暫く鬼ごっこが続いたのも言うまでも無いだろう。
疲れた様子で、アルゴにメッセージを飛ばしたが、今回ばかりは知らないの一点張りであり、悔しいとも言っていた。……何が悔しいと言うのだろうか。
「はぁ……思い出しただけでも……頭イタイ」
キリト同様に、リュウキもげんなりするのも仕方ない。
その規模は、以前の《白銀の勇者事件?》以上のモノだったから。
「引越ししてやる……、どっかすげえ田舎フロアの絶対に見つからないような村に……」
「……心の底から同感だ。場所ならいい場所知ってるぞ」
キリトに同調しながらリュウキもそう言っていた。そんな2人にエギルは、ニヤリと笑っていた。そして、2人の前に立つと。
「まあ、そう言うな。一度くらいは有名人になってみるのもいいさ。まぁ、リュウキは経験者みてぇだけどな。……どうだ? いっその事2人で講演会でもやって見ちゃどうだ? 2人もいるんだし実演もできんだろう? 会場とチケットの手筈はオレが」
何やら自分達を使って卑しい商売を初めようとするこの黒人の商人を見て2人は。
「「するか!!!」」
その提案を一蹴した。
キリトは右手のカップを、リュウキは態々投剣を取り出してエギルの頭の左右へと撃ち放った。身に染み付いた動作だったから、投剣のスキル《シングルシュート》が発動してしまって、猛烈な勢いがエギルを襲う。
がきぃぃんっ!と言う衝撃音と共に、投剣とカップが壁に激突し、大音響を撒き散らした。
壁自体は破壊不可能だから視界に《Immorta Object》のシステムタグが浮かんだだけだった、流石にキリトが投げた家具は破壊可能だから粉砕してしまった。リュウキが投げた投剣は、エギルの頬横約5cm程の所に突き刺さっている。2つの剣(片方はカップ)に襲われたエギルは、ぎょっとしてた。
「おわっ!! お前ら殺す気か!!」
九死に一生を得た……と言わんばかりに大袈裟にわめく店主。キリトは、『ワリ!』っと一言いうが。リュウキは謝らず、ただ“つーん”っと、そっぽ向いていた。この手の話題は未だに敏感になっている様だから。
「まっ、そりゃジゴージトクでしょ?私らの秘密って言ってたのに、披露しちゃったのはアンタなんだしさ?」
そこに入ってきたのは、リズだ。エギルの雑貨店とリズベット武具店は協同して商売をしている。
だから、時折仕入れとして店に出入りをしている。
リズはキリトの方を見てニヤリとした。
実を言うとリズの言う事は正しい。
キリトは、リズにもこの二刀流のスキル見せているんだ。以前二本目の武器をこさえてもらった時、クリスタライト・インゴットを共に入手しに言った時に、二本の理由を聞かれた時に見せたんだった。
「……ああでもしなきゃ、大変だったんだよ」
その言葉にキリトは、返す言葉も無かったが、リュウキはそう返した。
……実際な話、《キリトの二刀流》と《リュウキの赤い眼》。
それらがどちらか1つでも欠けていたら?被害はアレだけですまなかったと思えるんだ。
「まっ、男の勲章でしょ? 安っすいもんじゃない。あの場のプレイヤーの命に比べたらさ? 観念しなさいって。所謂、有名税ってヤツだよ」
リズは、リュウキとキリトの2人にそう言った。だが、リュウキは殆ど無反応であり、項垂れてしまっていた。それを見たリズは更にニヤリと笑う。こんなリュウキはここ最近じゃ絶対珍しい部類に入る。だからこそ、からかいたい衝動にかられた様だ。
「ま~、それにリューキ君は レイの為に頑張ったんでしょ?ほんっと良い旦那さんもって幸せだな~~~~~~」
「はぁ……」
からかっているつもり……だとは思うが、なんだか、棘があるような気がするのは気のせいだろう。その辺りはエギルもキリトも……つまりはリュウキ以外は感じていたんだけれど……、口に出す事は無かった。
そんな時だった。
「キリト君っ!!」
ばんっ!と勢いよく開いた店の扉の前に人影があり、そして慌てた声が部屋に響き渡った。その主は噂の目撃者でもあり、今現在キリトのパートナーでもあるアスナだった。……実は、エギルの店に来た本当の目的は、前日の攻略で手に入れた宝を山分けをしようとしていたのだ。だが、時間を過ぎても2人は、さっぱり現れない。
此処にはキリトの次にリュウキがと言う順番だったが……後2人は来なかった。ギルド本部へ休暇届けを出しに行ってると言う事は、リュウキから聞いていた為、長引いているのだろうと判断した2人は一応先に到着したと言うフレンドメッセージを送った。だから、この場所にもう来ている事は2人とも知っているのだ。
キリトはアスナが着た事に内心喜んでいた。
以前のクラディールの時の事もあるから、何かあったのでは無いか?と心配をしていたからだ。……それはリュウキも同じだった、心配はしていたのだが……、あの騒動で囮を買った以上、レイナに付いていく事は出来なかったのだ。そしてアスナの後ろにいたレイナも部屋へと入ってきた。
「よっ、アスナ。レイナ」
キリトはそう一言。リュウキも手を上げた。
だが……2人の表情を見て 色々と何か話そうとした言葉を飲み込んだ。その顔は蒼白……そして不安そうに眼を見開いている。両手を胸の前で固く握って二度三度唇を噛み締めた後。
「ど、どうしよう……キリト君……、大変な事になっちゃった……」
と、アスナは、今にも泣き出しそうな声でそう言っていた。レイナも、どうしていいのかわからない……と、オロオロした様子だったのだ。普段の2人にしてみれば、あまり見ない姿だ。
「……? 何かあったのか?」
リュウキはゆっくりと立ち上がってそう聞いた。
「昨日……あれから、グランザムのギルド本部に言って、合った事を全部団長に報告したの。それで……ギルドの活動をお休みしたい……って言って。その日は何も無くて戻ったんだ。……でも」
アスナは息を呑んだ。てっきり承認されるとばかり思っていたんだけれど……それは違ったんだ。
「その……団長が一時退団を認めるのには条件があるって……、キリト君と立ち会いたいって……」
「なっ……」
キリトは、アスナの言葉に一瞬何を言っているのか理解できなかった。
「わ、私は反対したんだよ?だって、休みって言ったってお姉ちゃんは休暇を貰うだけだったのに、それに、2人一度にがダメなら、交代で私は残るって言ったのに……」
レイナはそう言っていた。その時の光景が頭の中に浮かぶようだ。姉を必死に庇う姿を。……レイナがリュウキ騒動?の時。レイナは攻略に手が付かない……っと言うより、そんな状況で迷宮区になんか行ってたら、大変な事になる可能性だってあったから アスナが必死に止めていた。だから、レイナは、あの時のお礼、と言う訳ではないが、今回は自分がアスナのフォローをするつもり満々だったんだ。
以前にもそんな事があったんだけど、何も無かった。……なのに、今回だけは本当に意味が解らなかった。
「……私も意味無いって一生懸命説得しようとしたけれど……どうしても聞いてくれなくて」
アスナは本当に落ち込んだ様子でそう言っていた。
「……でも、珍しいな。あの男がそんな条件を出してくるなんて」
「……同感」
脳裏に彼の姿を思い浮かべながら2人は呟いた。
「そうなのよ。……団長は普段ギルド活動所か、フロア攻略の作戦とかも私達に一任して全然命令しないの」
「でも……今回に限って何で……」
2人も同じように脳裏にいつもの姿を浮かべていたんだろう。あの常にどっしりと構えていて、自分から積極的には動かず団員を信頼しているって思えるあの姿。
そもそも、あのKoBの団長は圧倒的なカリスマ性がある。
リュウキも直に会った時にそれは重々承知だった。いつも本当に苦しい時、主にBOSS戦だが無言で戦線を支え続けているんだ。その姿には敬服せずにはいられないものは勿論2人にもある。……リュウキは以前勧誘されたのを蹴った事はあるが、それの嫌がらせとかは無かったから、そこまで器が小さいわけも無いってこの時リュウキは思っていた。キリトは首を捻りつつもアスナを安心させる為、
「まあ兎も角、オレも一度グランザムまで行くよ。あの男に直談判してみる」
「……ん。ごめんね。迷惑ばっかりかけちゃうね」
「何でもするさ……。大事な……」
言葉を捜して沈黙するキリトをアスナはじっと見つめる。
何かを期待するように、そして少しワクワクして見ているのはレイナ。リュウキも片目だけ開けキリトの方を向いてる。……そしてリズは何処か複雑そうだった。
そんな空気の中で、キリトは口を開いた。
「……攻略パートナーの為だからな」
その返答に不満なのかアスナは唇を尖らせていた。レイナは笑顔でアスナの肩を叩き、リズも同じようにしていた。……リズは何処か安堵?の表情が見えなくも無い。
そして、漸くアスナはほのかな笑顔を見せていた。
KoB団長ヒースクリフの紹介は……するまでも無いだろうがあえて紹介しよう。
≪最強の男≫≪生きる伝説≫≪聖騎士≫……etc
与えられた二つ名は片手の指じゃ全く足りない。最も早くユニークスキルを持った男として知られていた。厳密にはリュウキとどちらが早いのか?と言うのはわかっていなかった。
その当時からヒースクリフとリュウキの話題は尽きなかったんだ。
≪ユニークスキルを持つもの同士……どちらが強いのか?≫
これも巷では囁かれ続けた。
が、勿論 それについては、リュウキは完全に無視、軽くスルーしていた。そもそも、VRMMOで素顔が知れた以上は積極的になれるものじゃない。そして何よりも健全なゲームではなく、デスゲームとなっている以上、プレイヤー最強の称号など欲しくも無いものだった。
ここが純粋なMMOであるのなら勿論興味があるようだったが。
リュウキと同じ考えかどうかは解らないが、ヒースクリフも同じように世間の議論には耳を貸さず、決闘をして白黒つけようとなどとは言ってこなかった。……何より直接的な会談は勧誘の時からしていないのだ。
そして、ここで、彼のユニークスキルについて説明をしよう。
十字を象った一対の剣と盾を用い、攻防自在の剣技を操る。
そのスキルの名は≪神聖剣≫。
攻防自在と言うが、何よりも圧倒的なのがその防御力だった。伝説の1つに、彼のHPがイエローまで陥った所を見た者は誰もいないといわれている事だ。
以前……、攻略組最大の危機。第50層BOSS戦において。
崩壊寸前だった戦線を同じくユニークスキルを持つリュウキ。白銀の剣士と共に支えあったあの20分間の死闘は今でもアインクラッド内で伝説として語り草となっている。全てを視透かすかの様な眼を持つリュウキの力も一線を遥かに凌駕する力といえるが、そのリュウキをしても、ヒースクリフのあのスキルは圧倒的と言わしめたんだ。そして、圧倒的と思うスキル、その中には最近のキリトの二刀流も含まれる。
「……それで」
リュウキは、レイナの方を向いた。
……ここまで色々と説明をしてきたが、実の所 ヒースクリフの元へ向かったのはアスナとキリトの2人だけ。レイナは、キリトとアスナの2人で行くようにといっていた。
「オレは兎も角、レイナは行かなくて良かったのか?」
リュウキはそう聞いた。
彼女だって、KoBの副団長補佐なんだから、副団長の悩み事は自分の悩みも同じ事だろう。
レイナはと言うと。
「ん……。お姉ちゃんとキリト君に任せたら良いって思えたんだ。それに……」
レイナは、にこっと笑って。
「今回はキリト君……、お姉ちゃんの為に行ってくれてるんだもん。……2人にしてあげたいって思ったのもあるよっ。それにきっとあの2人なら何とかしてくれるとも思うんだ」
「はぁ~……、まっ、そーだねー」
てきとーに相槌を打ってるのはリュウキじゃなく、リズ。安堵感を見せたかと思えば次にはこれだ。
リュウキは、そんなリズの心の機微には勿論は気づかなかったけれど。
「なるほどな……。ん? ああ、そうだった、リズ」
リュウキは、何かを思い出した様に、リズの方を向いた。
「んー……? なーに?」
リズはどんより~っとした覇気のない言葉を言いながらリュウキの方へと振り向いた。
「……リズの工房。また使わせてもらえないか?」
リュウキはそう聞いていた。以前の件で、リズの工房を使わせてもらえる様になって、リズベット武具店では、何度か使用させてもらっている。だが、最近ではレイナと結婚をして、彼女を優先させる様になってからは、行ってなかった。
だから、久方ぶりにそう聞いたのだ。
「あ~~……そーだったね?確か……。うん。良いよー。もう十分過ぎる程リュウキから貰ったしね?あたしは何時でもオーケーだよー」
「ッ!??」
レイナはこの時、リズの言い方に……びくっ!っと身体が震えた。
『リュウキから貰ってる?』
『十分過ぎる??』
その言葉にレイナは、……強く、……強く反応したのだ。
「ん?……んぉっ!? ど、どーしたんだ?レイナ」
カウンターでいたエギルは、どす黒いオーラ?気配?を纏いかねないレイナの方を見て思わずそう言っていた。そこそこ離れた位置にいるのに、そこまでオーラを見せるのだから、ある意味すごいとさえ思える。
「………りゅ、りゅーきくん?りずさんのトコで一体《何》してるの」
レイナのその声色はいつもよりも何オクターブも低い。そして、レイナの表情は、どんどん暗くなっていく。
一言感想を言ったとすれば……その姿……何だか怖いと言う事。それは、思わずエギルと同じようにぎょっ!っとしたリズもリュウキも同じだった。
「……なっ!? ど、どーしたんだ?? 突然」
リュウキは突然の事に動揺を隠せられなかった。と言うかなんで怒っているのかが判らないからだ。
「わぁっ! れ、れい?? 何勘違いしてんのよっ! べ、別に……私たちは、そんなんじゃ……」
なぜかリズはと言うと……赤くなってたのだ。頬を紅潮させて……そして、不自然に視線を反らせていた。それを見たレイナは益々反応を強めてしまう。
「むぅーーー!! なっ、なんでリズさん赤くなってるのっ! りゅーきくん! なにしたの~~~~!! いったい、なにがあったの~~~っっ!!」
頬を膨らませ、左右の拳を握らせてそう言う。
なんだろう……?さっきまでは怖かったんだけれど、今の仕草は真逆に視えるんだ。つまり。
「……わいいな」
リュウキはボソリと呟いた。それが聞こえたのはリズだけ。リズもリュウキと同じ感想だったようで。実は頬を赤く染めたのも……策士?だったりしたのだ。からかいたい衝動……それが、リュウキからレイナへと移行した様なのだ。
「べ、べっつに~~。ほんとに無いよ? …………(多分ね?)」
「む~~~!! も、もうっ! リズさーーーんっ!! 多分って?? 多分って何っ!? 今の、聞こえたよっっ! ……ああっ あの時っ?あの時なの~~??」
リズの胸元をぽかぽか!っと叩くレイナ。
「りゅーき君もっ! はくじょーしてよーー!! 浮気っ!? 浮気なのっ!? 私が一番って言ってくれたのに~~~!!!」
リズに、続いてリュウキの胸元をぽかぽかぽかっと叩くレイナ。その仕草姿は、本当に微笑ましいものだった。さっきまでの雰囲気が吹き飛んでしまう程に。
「おいおいおい……、さっきまでの、殺伐とした雰囲気は何処にいったんだよ」
エギルは、そんな姿を苦笑いしつつも微笑ましく見ていた。……最初に放った殺気?の様なモノは本物っぽくて、実際に怖かったんだけれど。
暫くリズはレイナをからかって遊んでいた。
最終的にはまた、再びリュウキが『レイナが一番だ。』と言う台詞を皆の前で披露してしまった。
正直恥ずかしい想いをしたのはリュウキであり、ここまで狙っていたのか?とも思える。……リュウキ自信は、レイナが何故そこまで取り乱しているのかが解らなかったけれど。凄く可愛いレイナを見たから……。嬉しくも思っていたようだ。その後、レイナは笑顔を取り戻したが、もれなく顔を真っ赤にさせていた。この場にいるのは2人だけじゃなく、エギルだっているし、リズもいる。
ネタバレでリズはからかっただけ、と言う事も伝えていた。
あの時は随分と大変だったから、これくらいはしなきゃね~~との事。
そのリズの言葉にレイナはもはや何も言えない……、だから、ただただ 表情を赤く染めるしか出来なかったのだった。
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