ハルマゲドンだ
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第八章
「千年後もです」
「人類は滅亡する」
「そう言っているのですか」
「三百人委員会、異星人、震災、全人類洗脳計画と」
「その主張の一つ一つが噛み合っていないのでは?」
枢機卿の一人が首を傾げさせて法皇に問い返した。
「それでは」
「私もそう思うのですが」
「その日本人はですか」
「はい、人類が滅亡すると喚いています」
「気は確かですか?」
枢機卿は思わずこの言葉を出した。
「その日本人は」
「治療は受けていない様です」
「治療を受けていないだけでは」
それでもおかしいものはおかしいというのだ、精神異常者が常に治療を受けているかというと決してそうではないのだ。
「その人は」
「そうなるでしょうか」
「少し聞いただけで正気と思えません」
「何でも人類滅亡と喚くからですか」
「ハルマゲドンよりその日本人の方が問題では」
枢機卿はこう言った、そして実際にだった。
その日本人、とある漫画雑誌の編集者は喚いていた。
「千年後人類は滅亡する!」
「第二次ハルマゲドンだ!第三次世界大戦だ!異星人だ!三百人委員会だ!全人類洗脳計画だ!電波だ!大災害だ!」
「あの人また言ってるよ」
「まあ春だからね」
周りの人達はその彼を見て言うのだった、ハルマゲドンが終わって春になってこうした人も出ていた、もっとも一年中言っているのかも知れないが。
ハルマゲドンだ 完
2015・3・22
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