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ハルマゲドンだ

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第二章

「あの、ハルマゲドンとかっていいますけれど」
「世界滅ぼされたら迷惑なんで」
「僕新婚ホヤホヤなんですよ」
「私子供生まれたばかりなんで」
「仕事があるんで」
「プラモデル作らないといけないんですよ」
 こうそれぞれ言うのだった。
「あの、悪魔とか神とか」
「ハルマゲドンとか止めてもらって下さい」
「法皇様からもお願いします」
「そもそもわし仏教徒ですけれど」
「ヒンズー教にハルマゲドン関係ないぞ」
「イスラムの教えとは違うから巻き込むな」
「道教で何で最終戦争なんだ」
 こう言う者達もいた、キリスト教以外の宗教を信仰している者や聖職者達にとっては関係ないだろという話だった。
 それで彼等も法皇に言うのだった。要するに他の宗教のことに巻き込むなとだ。
 それでだ、法皇も難しい顔で側近達に言うのだった。
「困ったことになりましたね」
「はい、いきなりハルマゲドンと言われても」
「困りますね」
「しかも話が全世界のことなので」
「キリスト教以外の宗教関係者の方々も困っておられます」
「巻き込むなと」
「それも当然です」
 法皇は他宗教のことも考えて言った。
「私でもそう思います」
「そうですね、いきなり出て来て全世界に要求なぞ」
「普通は言いません」
「サタンもミカエルもです」
「急に言うとは」
「もう少し考えて欲しかったです」
 人間世界の事情をとだ、法皇も思うのだった。
「これが神の思し召しとしましても」
「あの、それで世界を破壊するだの守るだのですが」
「ハルマゲドンを宣言して」
「若しあのヨハネの黙次録の様になりますと」
「恐ろしいことになりますが」
「はい、獣達が出て世界は破壊され多くの人達が殺され」 
 法皇もあのあまりにも有名な黙示録のことに言及した。
「残る人は僅か」
「そうなってはです」
「文明も何もありません」
「後はどうなるか」
「神がおられるにしても」
 後が相当に大変だというのだ、文明の再生が。
 それでだ、法皇はまた言った。
「ここは何とか」
「はい、サタンとミカエルにですね」
「お願いしますか」
「悪魔にお願いというのもあれですが」
「ここは」
「そうするとしよう、これから呼ぼう」 
 そのサタンとミカエルをだ、法皇は決めてだ。
 その場でだ、二人の名を呼んだ。
「大魔王サタン、そして大天使ミカエルはおられますか」
「呼んだか?」
「どうした?」 
 呼ばれて即座にだった、二人は法皇の前に出て来た、ただ二人共身長二百メートルを超える巨人なので。
 出て来たついでにサン=ピエトロ寺院の壁を突き破った、法皇はその見事に破壊された自分達が今いるj部屋の屋根を見上げてから二人に言った。
「人の背になって屋根を戻してくれませんか?」
「ああ、済まない」
「うっかりしていた」
 二人も言われて気付いてだ、人間の背丈になり。
 そして屋根はそれぞれのチカラで戻に戻した、それからだった。
 二人はあらためてだ、法皇に問うた。
「それで何だ」
「我等に何か用か」
「今私はハルマゲドンの準備で忙しいのだ」
「単刀直入に言ってもらおう」
「あの、世界中の人達が迷惑していますので」
 法皇はぞんざいな態度の二人に言った。
「ハルマゲドンとか止めて欲しいのですが」
「何を言う、これはキリスト教の教えの最重要部分の一つだ」
「そうだ、ハルマゲドンなくてはだ」
 二人は法皇に反論した。 
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