ラコーン=ナイ
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第四章
「是非着てみるんだよ」
「わかりました」
「じゃあそうさせてもらいます」
「それで、です」
「使わせてもらいます」
「服、可愛がってくれよ」
親父は彼等にこうも言った、そしてだった。
生徒達はその服を貰った、一人一着で。そして。
その服を見てだ、口々に言った。
「これはまた」
「かなり」
「予想していたよりもな」
「豪華で」
「いいわね」
「これなら」
それを着れば、というのだった。
「いい感じでね」
「踊れるな」
「じゃあ」
「これを着て」
「踊ればいいよ」
また言った親父だった。
「そうすればね」
「映えますよね」
「それもかなり」
「そうなるよ」
絶対にという返事だった。
「だからね」
「はい、お借りして」
「そして躍らせてもらいます」
「是非」
「そうさせてもらいます」
生徒達も応えた、そしてだった。
彼等はその衣装を学校で見てみた、それは。
金糸や銀色で模様を描かれた下は橙の身体にフィットした長いスカートであるパー=ヌン、上はえんじ色のマントの様な上着でだ。前にまで生地が垂れている。肩がけの黒いサ=バイも羽織り頭には金の仏塔を思わせる冠がある。手足にはそれぞれ金の装飾がある。
服全体に蓮や草の模様がありアラベスクを思わせる、その服を実際に着てみてだった。
プンミーは周りにだ、こう言った。
「この服がね」
「宮廷舞踏の服か」
「ラコーン=ナイの」
「それなんだね」
クラスメイト達も応えて言う。
「何ていうかね」
「この服が陛下が御覧になられる踊りの時に着る服なんだ」
「それで僕達もこの服を着て踊るんだ」
「本番の時は」
「実際に」
「実はね」
プンミーはその服を着てみたうえで言った。
「この服を着て踊るまではね」
「考えていなかったんだ」
「そうだったんだ」
「うん、けれどね」
「けれどなんだ」
「僕達はね」
「本番はこの服を着て踊るんだね」
こう話す、そしてだった。
その服を着てだった、彼等は踊ってもみた。リハーサルだった。
そのリハーサルをしてみてだ、皆で言った。
「いや、これは」
「いいね」
「何か本当に王宮で踊っているみたいだね」
「陛下の御前で」
「凄いね」
「いい感じだね」
「よし、これなら」
是非にとだ、こう話してだった。
彼等は本番に挑んだ、その本番ではだ。
彼等は化粧もした、そして男子も女の子の様になってだ。体育館の舞台において学園の他の生徒達の前で踊った。
その踊りの評判、それはというと。
「いいな」
「面白いじゃない」
「いや、何ていうか」
「まさか宮廷舞踏でくるなんてな」
「ラコーン=ナイか」
「服までちゃんとして踊るなんてな」
そのことも言われるのだった。
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