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ソードアート・オンラインーもしもあの時、サチが死ななかったらー

作者:Bloo-D
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SAO
朝露の少女
  第29話

 
前書き
ユイが目覚める辺りまで書きます。 

 
キリトは女の子を抱え上げた。女の子の様子を見るからに、気を失っている様だ。
サチ『キリト、大丈夫そう?』
サチはキリトに聞いた。
キリト『うーん…大丈夫だと思うが、妙だな…カーソルが出ない。』
サチ『えっ⁉︎』
キリトにそう言われたサチは、女の子に視線を集中させた。だがキリトが言った通り、カーソルは出ない。通常、カーソルはNPCだろうがモンスターだろうが関係なく表示される、無論プレイヤーもだ。だがこの子の場合は違う。アインクラッドにそれなりに精通するキリトとサチにとって、初めての現象だ。

サチ『だとすると、バグの類い?』
サチはキリトに聞く。
キリト『かもな。普通のネットゲームに存在するGMは、SAOには存在しない。それに、プレイヤーにしては……』
サチ『しては?』
キリトの言葉に、サチは首を傾げた。
キリト『小さ過ぎるぞ、この子。』
サチ『あっ、そういえば。』
キリトが更に続けた言葉に、サチは思い出した。

実はナーヴギアには、13歳未満の子供は使用禁止と言う年齢制限がされている。
しかし、キリトとサチの目の前にいる子はそれより若い。およそ10歳以下と言った辺りだろう。

サチ『どうするキリト?』
サチは再びキリトに聞く。
キリト『そうだな…放ってはおけないしな。一旦家に連れて帰ろう。』
サチ『うん。』
キリトの言葉にサチは賛成し、2人は急ぎ足で家に戻った。

ーーーーーーーーーー

2人が女の子を連れて家に戻った頃には、すっかりお昼時になっていた。女の子の方は、いっこうに目を覚めない。サチは女の子2つある内の1つのベットの上に寝かせ、その上に毛布を被せてあげた。
それから2人は、1階のリビングで話し始めた。
キリト『まず言えるとしたら、あの子はNPCじゃないって事だな。』
サチ『そうとしか言えないね。』
キリトの言葉に、サチは首を縦に振った。

アインクラッドでは、NPCはシステムで一定範囲内に配置されているので、プレイヤーの手で動かす事はまず不可能。
それ以前に、NPCに触れた時点でハラスメント警告が出る。
しかし、あの女の子に限っては、それが出なかった。
NPCである事はまずあり得ない。

サチ『それにクエスト開始なら、触れた時点でクエストログが出るしね。』
キリト『だとすると、あの子は紛れもなくプレイヤーで、あの森で迷子になってたっとしか言えないな。』
サチ『身なりから考えて、第1層^はじまりの街^にずっといて、親か保護者とあの森に入った時にはぐれたのかな?』
キリト『だろうな。第一、あんな小さい子がたった1人でSAOログインする筈が無いしな。』
キリトとサチの言った事が、1番妥当と言った所だろう。
サチ『それにしてもあの子、意識は戻るの?』
キリト『消えていないと言う事は、ナーヴギア間と信号のやり取りがある筈だ。おそらく、睡眠に極力近い所だろう。』
キリトが言っていることが正しいと言えるだろう。

第一、意識が戻らなければ、女の子は既に消滅している筈。
それがないのだとすれば、キリトの言った通り、睡眠に近い所と言った方が正しかろう。

サチ『そうだね。けどあの子、歳は幾つかな?』
キリト『10歳はないだろうから、多分8歳程度だろうな。』
サチ『シリカちゃんは確か13歳くらいだったし、SAO最年少プレイヤーと言った所だろうね。』
キリト『だな。』
サチの言葉にキリトは首を縦に振った。

ーーーーーーーーーーー

キリト『そういえばもう昼時の時間だな。昼飯にしようぜ。』
サチ『解った、すぐ用意するね。』
現在時刻は12:30。キリトの言葉にサチは昼食の準備をした。昼食は素麺とサラダであった。
2人は早目に昼食を済ませると、キリトは村に出掛けて行った。
女の子の手掛りを掴むためだ。
キリトが帰って来るまでの間、サチは女の子の傍らにいた。女の子はいっこうに目を覚まさない。サチは女の子が心配になった。
サチ『(まさか、このまま目が覚めないなんて、言わないよね。)』
サチは女の子に言い聞かせる様に心の中で呟いた。

ーーーーーーーーーー

日差しが傾いた夕暮れ時になるとキリトは村から帰って来た。
サチ『どうだった?』
サチはキリトに聞いた。
キリト『いや、駄目だった。』
キリトは首を横に振った。
サチ『そう……。』

ーーーーーーーーーーー

18:00頃に2人は夕食を摂った。だが、女の子の件もあって、2人はサチが作ったお吸い物を啜っただけにした。

ーーーーーーーーーーー

その後2人は新聞に手をつけた。おそらく、女の子を探しているプレイヤーがいる筈と思って、2人は新聞を調べあげた。
キリト『どうだ?』
サチ『駄目、そっちは?』
キリト『こっちもだ。』
だが、結局の所は見つからなかった。

ーーーーーーーーーー

そうこうしている内に、時刻は22:00をまわっていた。
キリト『もう遅いし寝るか。』
サチ『そうだね。』
キリトの言葉にサチは首を縦に振った。
2人は寝間着に着替えてベットに入った。
2人の家のベットは2つあり、普段は2人で1つのベットを使っているが、女の子の件もあって、サチが女の子と一緒に寝る事になり、キリトはもう片方のベットで寝る事になった。

______________________

翌日の7:30。

サチ『うーん……。』
サチは目を覚ました。女の子の方を向くと…、
『……。』
女の子は目を覚まして、サチの事を見つめていた。
サチ『‼︎キリト、起きて‼︎』
キリト『うーん……。』
サチはキリトを起こした。
キリト『何だよ一体……』
サチ『目を覚ましたんだって‼︎』
キリト『本当か⁉︎』
サチの言葉にキリトはすぐさま女の子のそばに歩み寄った。
『≪ムクッ≫』
女の子は体を起こした。
サチ『おはよう、あなた名前は?』
サチは女の子に聞いた。
『ユイ……。』
女の子は透き通るような声で名前を言った。
サチ『ユイちゃんね。自分がどうなったか解る?』
ユイ『解らない。』
サチの問いに、ユイは首を横に振った。
サチ『そう…私はサチ、こっちはキリト。』
ユイ『さ…し、き…と。』
ユイは途切れ途切れで言った。気を失っていたのだから無理も無いだろう。
サチ『ユイちゃん、どうして森の中にいたの?親か保護者は?』
ユイ『解らない……。』
ユイの言葉に、キリトとサチは目を合わせた。
2人は今まで数々の残酷的光景を見て来たが、今回はそれらを遥かに超えていた。2人は、茅場に声が届くのなら叫びたかった。“どうしてこんな事をしたんだ⁉︎。”っと。

キリト『ユイちゃん、君の事をユイって呼んでもいいかい?』
キリトはユイに聞いた。
ユイ『うん。』
キリトの問いに、サチは首を縦に振った。
キリト『なら、俺の事もキリトって呼んでいいよ。』
ユイ『き…と。』
ユイにとって、少し難しい様だ。
キリトは頭を掻いた。
キリト『それじゃあ、好きな呼び方で呼んでくれ。』
キリトの言葉に、ユイは顔を下に向けた。それからすぐに、2人が思いもしない答えが返って来た。
ユイ『パパ。』
キリト『パパ⁉︎』
ユイの言葉にキリトは驚いた。
ユイ『さしは…ママ。』
サチ『‼︎』
サチは戸惑った。だが、サチはユイの目を見て決意した。
サチ『そうだよ。あなたのママだよ、ユイちゃん。』
サチを聞いたユイは笑顔になった。
ユイ『ママ…ママ‼︎』
サチ『それじゃあ御飯にしようか。』
キリト『そうだな。』

ーーーーーーーーーーーー

2人は部屋着に着替えると、ユイと一緒に1階に降りた。
 
 

 
後書き
今回はここまで。次回作は、早ければ今週半ば又は前半辺りに公開の予定で行きます。 
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