異世界系暗殺者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
玉璽の時間・2時間目(2016/05/16 一部修正)
前書き
数日振りです!ここ数日、仕事による疲労がヤバくて執筆する気力体力がありませんでした。
投稿を楽しみにしていた皆さん、すみません。
取り敢えず、今回は初の玉璽戦となるんですが、割とあっさりと終わってる様な気もします。
原作との相違点に関しては、本文を見てのお楽しみです。
あっ!念の為、原作:暗殺教室を知らない人の為に今回の敵の紹介をしておきますね。
コードネーム:スモッグと呼ばれる毒・ウィルスの製作を得意とする毒殺専門の暗殺者です。
ぶっちゃけ、耐毒・耐菌体質のイッキが天敵である暗殺者ですね。(笑)
【視点:樹】
ビッチ先生の活躍により難なく普久間殿上ホテルの2階に潜入できた俺達出撃班。一番チェックの厳しい入り口を抜けたことで、ここからは客のフリをしながら潜入行動を続けることになった。
普通に考えたら、マフィアが出入りする様なホテルに中学生の団体客なんて、と思われるかもしれないが烏間先生曰く、王様の様に甘やかされて育った芸能人や金持ちのボンボン連中は普通に利用しているらしい。
そんな訳で俺達出撃班もそんな世の中を舐め腐ったボンボンの様に振る舞いつつホテル内を歩いていると、あっさりと3階中広間まで辿り着くことができた。
プロの軍人である烏間先生が先頭に立ってくれているお陰もあって、俺を除く出撃メンバーにも精神的余裕ができている。ヤクザやマフィアっぽい大人とすれ違ってもビビる様子も無い。
っと、そんな説明をしている間に、向かい側の廊下からまた人影が近付いて来ている。こんどは口笛を吹いてるみたい―――って、奴は!!
「全員、止まれ!」
「あいつは!!」
「何々?早速敵の登場?ま、即行で退場して貰うけど!」
現れた男の正体に気付いた俺と不破が同時に叫ぶや否や、カルマが問答無用で男に向かってエア●ギアのファルコの様な小規模の牙を複数発放った。
現れた男は今日の昼間、俺達にトロピカルジュースを配った奴だった。普通に考えて一般ホテルの従業員が、こんな危険極まりないホテルの客である筈がない。
つまり、この男は鷹岡に雇われた殺し屋や軍人の類と考えるのが妥当で、先制攻撃を仕掛けるのも普通なら間違ってはいない。
が、今回に限って言えば問題があった。それは鷹岡に雇われた存在であるなら試作型疑似玉璽を持っている可能性があるってことだ。
ってか、このおっさん試作型疑似玉璽を持ってる――というか装備してるよ!ぶっちゃけ、エア●ギアに登場したドントレスverの轟の玉璽風試作型疑似玉璽を腕に着けてるよ!!
おっさんはポケットから小型ボンベっぽいものをカルマの放った牙に投げ、ボンベが破裂したかと思えば、おっさんと俺達の間が何かしらのガスで覆われた。
で、おっさんはそのガス共々カルマの牙を轟の試作型疑似玉璽で吸収すると、ガスを纏った超臨界流体の壁を俺達に放ってきた。
「全員、俺より前に出るなよ!時よ!!」
俺はそう告げるや否や皆の前に出て、時の連打で迫ってくる壁を押し返す。試作型疑似玉璽が総じて試験型玉璽より性能が劣っているからこそ可能な行為だ。
これが轟の試験型玉璽だったら、時の連打程度で押し返すことなんてできない上、壁の持続時間が長いから色々と厄介だっただろう。
時と壁の攻防は僅か数十秒。壁が消え去る時には纏っていたガスも既に霧散していた。
「まともな訓練指導も受けてないくせに、随分と試作型疑似玉璽の使い方が上手いじゃねぇか。おっさん」
「雇い主の下で使用書を頼りに1ヶ月近く訓練していたからな。そんなことより小僧、何故平然と立っていられる?今の壁には皮膚からでも浸透する俺特製の室内用麻酔ガスを纏わせていた。象すら気絶させる代物なんだぞ?」
「へぇ~、そりゃ凄いな。けど、残念。俺ってば、毒とか菌、薬の影響を受けない特異体質なんだわ。相手が悪かったな」
「くっ!そんな情報は聞いてなかったが、まぁいい。薬物の類が効かないのなら、純粋な壁の力で押し潰すだ―――ガッ!!?」
おっさんは自作の薬物が効かなかったことで苦虫を噛み潰した様な顔をしたかと思えば、瞬く間ににやけ顔を浮かべながら轟の試作型疑似玉璽で俺を倒す的なことを言ってきた。
しかし、その言葉が最後まで語られることは無かった。それはおっさんが俺に意識を向けている間に烏間先生が横から回り込み、攻撃を仕掛けたからだ。
ってか、俺みたいな特異体質の奴と相対したからって、烏間先生や有希子達もいる状況で俺だけに意識を向けるとか、このおっさんプロ失格なんじゃね?
ジャンルは違えど同じプロの烏間先生からすれば、「どうぞ攻撃して下さい」と言ってる様なもんだろう。見事に顔面への飛び膝蹴りが決まったし。
って、あれ?顔面に飛び膝蹴りが決まって吹き飛んだおっさんが立ち上がった。あんな攻撃喰らったら、普通は衝撃で脳を揺さぶられて、意識を刈り取られてる筈なんだけど?
「危ない危ない。特異体質の小僧に気を取られていたとはいえ、一瞬の内に横から近付かれて攻撃されるとは思わなかった。壁を使って衝撃を減衰させていなきゃ、やられていた所だ」
成程。1つ前のおっさんの発言からカルマの牙から吸収したエネルギーがある程度残っていたことは分かっていたけど、攻撃を受ける直前にその残量エネルギーを使って超臨界流体の壁を作って烏間先生の攻撃を防いだのか。
けど、烏間先生の攻撃を完全に防げなかったことから考えると、残量エネルギーは大したこと無かったみたいだな。俺を押し潰すって言ったのもブラフって所か?取り敢えず―――
「おっさん、前言撤回させてもらうわ。あんた、疑似玉璽の使い方が全くなってない」
「何?」
「いや、だって烏間先生の攻撃を防御する為、カルマの牙から吸収したエネルギーを全部使い切っただろ?轟の玉璽及び疑似玉璽は揚力や推力を吸収し、自らのエネルギーとすることで能力を発動させるのが基本だ。
吸収できるエネルギーが無い状態で能力を発動させる場合、玉璽及び疑似玉璽自身を高速運動させる必要がある」
「………」
「だが、あんたには轟の試作型疑似玉璽を高速運動させる手段が無い。なんせ、それは腕に装備するタイプだ。腕を振り回した程度で得られるエネルギーは多寡が知れている。
あんたがその試作型疑似玉璽以外にインラインスケート型A・Tを持っていれば、試作型疑似玉璽ごと自分が高速移動することでエネルギーを確保することができただろうけど、あんたはA・Tを持っていない。
つまり、今のあんたが装備している轟の試作型疑似玉璽は変わった形の籠手でしかないって訳だ。揚力や推力の技さえ使わなきゃ、エネルギー切れしたその試作型疑似玉璽は何の脅威にもならない」
このおっさんのミスは初撃を大規模な壁として放ったことにもある。轟の玉璽を使った室内戦の場合、小規模の超臨界流体を多方向に放つのが正解だ。
そうすることで超臨界流体は反響、増幅して何倍もの威力になる。更に過剰攻撃分の風のエネルギーを再吸収すれば、理論上はエンドレスで戦い続けることができるからだ。
まぁ、防衛相に提出した取説にそこまで書いてはいなかったんだけどな。そこまで親切に説明してやる義理も無かったし。
「さて、人数的にもおっさんの方が圧倒的に不利な訳だし、大人しく投降してくんないか。そうすれば痛い目を見なくて済むぜ?」
「クククッ!最近のカタギの中学生ってのは怖いもんだ。プロの殺し屋相手に脅しを掛けて来るんだからな」
「生憎と俺達はカタギとは言い難い中学生でね。で、返答は?」
「プロにはプロの矜持ってもんがあるんだよ、小僧。ガキ相手に投降なんてできるか!」
おっさんはそう告げるや否や、自分が来た道を戻る様に逃亡を図ろうとしたが、そうは問屋が卸さなかった。
「相手が子供とはいえ慢心せず、数の不利を理解した上で撤退行動を取る辺りは流石プロといった所か。しかし、お前は我々を色々と嘗め過ぎだ」
「!!?」
石の正規実用型疑似玉璽を発動させた烏間先生が、水晶振動周波現象でおっさんの動きを止めたんだ。そして―――
「投降する意思が無い相手をそのまま放置しておくとか危険極まりないから、殺さないまでも少しの間気絶して貰うことにするわ。
主犯格――鷹岡と連絡を取られても何だしな。ってな訳でカルマ宜しく」
「え?俺がやるの?牙撃つのって結構疲れるのに」
「先手必勝攻撃した奴がそんなこと言っても説得力ねぇよ」
俺達に背中を見せた状態で動かなくなったおっさんに対して、カルマが少し文句を言いながらも容赦なく牙を放った。しかも、放たれた牙は凛鱗人の放つ様な大型で、その直撃を喰らったおっさんは見事なまでに気絶した。
ってか、寧ろ気絶程度で済んだのが凄いとも言える。普通なら死んでいてもおかしくないからな。もしかしたら、サイズそのものは大型でも切れ味は鈍ら――というより、カルマ自身が意図的に抑えたのかもしれない。
取り敢えず、烏間先生が石の正規実用型疑似玉璽の発動を止めた後、気絶したおっさんから轟の試作型疑似玉璽を取り外し、出撃組でガタイのいい寺坂に渡した。
おっさん自身は鷹岡の所まで連れて行くのが面倒だったこともあって、ガムテで拘束した後中広間の端に机とか使って体を隠してから放置しておくことにした。
後書き
今回の原作との相違点は烏間先生が無事であることです。
(原作では催眠ガスのせいで、身体スペックが半分以下にまで下がっていましたからね)
あと、止めを刺したのがカルマという点でしょうか?もし、カルマが風系の暴風族であったなら、スモッグさんはハチの巣にされていた可能性もあります。(笑)
次話は握力魔人・グリップとの戦いですが、相手役が原作とは異なる可能性もあり得ます。その点をご了承ください。
ページ上へ戻る