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ソードアート・オンライン ーEverlasting oathー

作者:ゆぅ駄狼
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Ten episode 家族

 
前書き
「おう、いらっしゃい!」


「よ、エギル」


ーーーハァ……ハァ……


「うお!?キリトじゃねぇか!?って……どうしたお前」


「クソ……負けた……」 

 
「……んで、アスナの為にヒースクリフ団長と決闘してキリトが負けて…そんなに真っ白になったのか」


「ああ…あの試合勝ったと思ったんだけどな…」


「団長の神聖剣は強いからな…でも俺の神聖槍と違って決闘には使えるんだな」


キリトは今、俺と一緒にエギルの店にいた。
何故キリトが真っ白な服装になったかと言うとキリトはアスナをギルドから引き抜こうとし、それを団長に止められ、二刀流を使い決闘に勝てばアスナを連れていっていいと言ったらしい。
だがキリトが負けた場合はギルド血盟騎士団に入隊するという条件もついていた。
そしてキリトはヒースクリフ団長と決闘をしたのだがキリトは負けてしまったらしい。


「かぁー!お前の二刀流でも負けちまったのかー!?碧い悪魔を倒した二刀流、しかもその剣舞は50連撃!」


「たく…尾ひれが付くにも程があるだろ…エギル…しかもグリムアイズを倒したのは俺じゃなくてユウヤだ」


「あれはたまたまだよ。キリトが噂の50連撃でボスのHPを削ってくれなかったら俺一人じゃ普通に無理だったかもしれないしな」


「50じゃなくて16連撃だよ!! お前なんかすぐ目の前で俺のソードスキル見てたじゃないか!噂もクソもないだろ!l」


「てかキリト、もうすぐで血盟騎士団に入って初の任務じゃないのか?」


「あ、やばい!」


そう言うとキリトは疾風の如く、エギルの店から出て行った。
にしてもキリトがギルドに入るとは思っていなかった。
キリトの奴程ギルドに入るのを拒んでいた奴はいなかったと言うのに…

まぁアスナも血盟騎士団に居るし、二人でいるなら大丈夫か

俺がそう思っているとエギルが俺に忘れていたと言う顔をしながら俺を見てきた。


「そういやユウヤ、ユウキちゃんと結婚したらしいな」


「ああ、そうだけどいきなりどうした?」


「いや、結婚おめでとうって言いたくてよ」


「エギル…ありがとうな」


俺とユウキは結婚していて薬指には指輪がはまっていた。
それを見てエギルは思い出したのだろう。

結構苦労してんだけどな…首が

俺は首をさすりながらエギルにお礼を言った。


「嫁さんが家で待ってんじゃねえのか?行ってやれよ」


「いや、今日はこの後はクラインと飲みに行くんだ。エギルも一緒にどうだ?」


「いや、俺は商売があるんでね。二人で楽しんでくれ」


「そうか、ならしょうがないな。んじゃちょっと行ってくるわ」


俺が店から出るとエギルは毎度ありと言って俺を見送った。
これからクラインと飲みに行く約束があったのでクラインのいる層へ向かった。
クラインと飲む酒は中々美味いし、会話も楽しいから暇しないから結構な暇潰しになったりはしていた。








9層 ーーーーールーンステイン商業区ーーーーー





この9層、ルーンステインと言う街は武器などの装備やアイテムが売ってる店が少ないが酒を飲んだりする酒場や宿屋が多く、酒も上質な物が多い街だ。
その為、この層には酒好きな大人達が集まって仲良く騒いでいたりする。


「よっクライン、今来たのか?」


「お!来たなユウヤ、俺も丁度来たところだぜ!」


俺とクラインは会うとすぐにいつもの酒場へと向かった。
その酒場はよく行く為、俺とクラインはもう常連になっていて酒場のマスターやその周りの連中とは仲がかなり良かったりする。



ーーーーーステインズバー ーーーーー



俺達が行く酒場、ステインズバーは結構繁盛していて人集りが半端じゃなかった。
まあ、いつもどうりなのだが。
俺達が店に入るとすぐに野次が飛んで来た。


「お!ユウヤじゃねえか今日も酒を大量に飲みに来たのか、後で俺と酒飲み対決しようぜ!」


「ああ、暇があったらな」


「ユウヤ!また来たか、今日もワイワイ騒ごうぜ!!」


「任せとけ、俺の本当の力見せてやんよ」


「「「「「お!ユウヤじゃないか!それと…なんだクラインか…」」」」」


「なんだとはなんだ、お前ら」


野次が飛ぶ中、俺とクラインはバーカウンターの方まで行き、マスターに挨拶をした。
マスターのプレイヤー名はクリフと言う性格が優しいがお節介な人だ。
この人のカリスマ性もあってこの店は繁盛しているというのもある。


「一杯頼むわクリフ」


「俺の方にもいつもの頼むぜ!」


「ユウヤにクライン、本当に酒が好きだな!!」


クリフがそう言うと俺達がいつも頼んでいるウルパリレッドワインと言う酒を出して来た。
アルコール度数は現実でのウォッカと言った所だろうか。
このソードアート・オンラインでは酔いはしないがアルコール度数によって顔が赤くなったり、一時的にステータスに変化があったりする。
そして俺達は貰った酒を一気に飲み干した。
すると顔がすぐに真っ赤になり俺とクラインはお互いに真っ赤な顔を見ると笑った。


「そういやユウヤお前、ユウキさんと結婚したそうだな!おめでたいな!俺も早く出会いが欲しいぜ…」


「おっと、それはおめでたい話だな。お相手はどんな娘だ?」


「どんな娘……料理が神掛かっていて…」


おにぎりとか米の再現力半端じゃないよね?
この前なんかカレーライス作ってたよ?
料理に関してはアスナより上だよね?


「凄く可愛くて、何て言うか守ってやりたくなるって言うか…」


猫耳のユウキは確実に俺を殺しに掛かってくる程の殺人力があるからな
それにユウキは俺がいないと駄目だし。
だから俺が守ってやんないといけないからな。


「取り敢えず…なんて言うか…俺はあいつがいないと生きていけない。そんくらい可愛らしい子だよ」


「全く…独身男の前で惚気やがって!こんにゃろ!」


「へぇ…ユウヤがそんなに夢中になる娘か、見てみたいもんだな」


「今度連れて来てやるよ。だが口説いたりしたら一発で昇天するくらいの聖剣突きかますからな」


俺はそういいながら右手を光らせながらクリフの目の前に右手を出した。
するとクリフは汗だくになりながら、しませんと言ったので俺は右手をしまった。
その後も俺とクライン、クリフ達とは馬鹿をやりながら過ごしていた。


「お前、その内ユウキさんとの間に子供とか出来んじゃねぇのかー?」


「お前は馬鹿か、ゲーム内で子供なんて出来るわけ無いだろー?」


「はっはっはっは!そらそうだな!」


酒場での楽しい時間が過ぎ、俺とクラインは店で解散し、俺はユウキの待っている自宅へと足を運んだ。

ユウキとの子供か…
子供が出来たら俺とユウキは更に幸せになるだろうな…
いやいやいや!結婚はしちまってるけど俺達はまだ子供だ!そんな行為は出来たとしても絶対に駄目だ!

俺は脳内で論議をしながら自宅の扉の前へと着いた。
そして幸せへの扉を開けた。

子供なんて出来る訳ないよな!
うん。出来る訳がない!

俺はそう思っていた。





ーーーーーーおとーさんだ!





突然声がしたと思ったら年齢が6歳くらいの男の子が俺に抱きついてきた。

お家間違えたか…
今まで間違えた事ないのになー…


「お帰りユウヤ!」


俺が家から出ようとするとユウキがお出迎えしてくれた。

あ、間違ってなかったっす。
自宅っす。


「おう!ユウキただいま!」


さーて、いつも通りの幸せな日々だな。
この子の名前は…セイか…
よーし仲良く三人でご飯食べないとな!

…………



「そうじゃないだろうがああああああ!!」


「おとーさん…?」


「どうしたのユウヤ?」


え?ユウキさん、お前にはこの状況が当たり前なの?
しかもこの子、俺の事お父さんって言ってるよ!?
こんな可愛らしい男の子知らないよ!?


「ユウキ、この子は誰だ?」


「ボクとユウヤの…子共だよ…?」



ーーーークライン、子供出来てたわ。



「冗談だよ。本当はそうだったらいいなって思うけど…この子、浜辺で倒れてたんだ。放っておけないからボクが家まで運んで介護してあげてたんだけど…起きたら自分の事が全然わかんないみたいで…ボクの事もなんて呼べばいいのかわかんないみたいだから呼び易い名前で呼んでいいよって言ったらボクの事をお母さんって呼ぶからつい調子乗っちゃって…」


「でも何で俺の事をお父さんって呼んだんだ?」


「ボクが次家に帰ってくる男の人はお父さんだよって言ったからだよ!」


ユウキは今までにない笑顔で俺に言ってきた。
だが俺はこの子が俺をお父さんと呼ぶことよりも気になった事があった。
ユウキはこの子は浜辺で倒れていたと言った。
浜辺で倒れているならPKに襲われてここまで逃げて来たのだろうという考えが出来るから納得は出来るが
気になったのはこの子が自分の事が分からなくなる、つまり"記憶喪失"になっているという事だ。
このソードアート・オンラインで記憶喪失という状態異常は無いはずだ。
だから記憶喪失なんて事は絶対にあり得ないはずだ。

この子はNPCだったりするのか…?いや、それはないな…NPCならクエストのログ表示が更新される筈だ
となるとこの子は人間で誰か知り合いとかもいる筈だからその人の元へ返してあげよう…
でも返すにしたってステータスがわかんないんじゃ危険に陥った時にフォローも何も出来ないな…

俺はそう思い、男の子"セイ"の元に近づいた。

本来、他人のステータスを勝手に確認するのはプライバシーの侵害だが今はしょうがないので確認することにした。


「セイ、ちょっと右手でこんな感じに空中をスライドしてくれないか?」


俺はそう言うと右手で空中をスライドしてウィンドウを開いた。
俺の姿を見てセイもぎこちないが同じ様に右手で空中をスライドした。
するとウィンドウが開いたので俺はステータスを確認した。


「な……!?ユウキ、これを見てみろ…!」


俺はユウキにセイのステータスを見せるとユウキも異変に気付いたのか口に手を添えて驚いていた。
セイの名前、HPバーは俺達と同じ表示だった。
だがステータスを見て見ると俺達とは決定的に違う"異変"があった。


「攻撃力とかの戦闘に大事なステータスが一切無い…それに武器とかも持ってないみたいだな…」


セイのステータスは名前とHPバーは確かにあるが戦闘に必要なステータスが一切表示されていなかった。
アイテム欄も確認して見るとアイテムが一つも無かった。


「多分このステータスは一時的なバグだろうな…多分この子は親や友達と一緒にゲームをしていた筈だ。フレンドリストを見て知り合いの所へ戻してあげよう。知り合いを見れば何か思い出すだろ」


俺はフレンドリストを確認した。
しかしフレンドリストにはプレイヤーの名前が一つもなかった。
例えアインクラッドの中で知り合いが消滅したとしてもフレンドリストの知り合いのプレイヤー名が灰色になって残っている筈だが、セイの場合はそもそもフレンドリストに誰も表示されていなかった。

この子は今までに一人で生きてきたっていうのかよ…!
こんなゲーム如きに記憶まで失って…一人で頑張って生きてきたのかよ…!


俺はそう思いながらセイのステータスを閉じさせ、セイの頭をくしゃくしゃっと撫でた。


「ユウキ、この子は俺達が守るぞ。この子の知り合いはゲーム内にはいない…NPCと言う可能性もあると思ったけどフレンドリストが存在するから多分違うだろ」


「知り合いがいないって…この子はずっと一人で生きてたって言うの…?」


俺はソードアート・オンラインが嫌いだ。
たかがゲームで人が死んで、孤独な人が出てきて、悲しむ人が出て、セイの様な小さい子が一人で生きるという状況を作るからだ。

また、俺の中で守るものが増えちゃったな…

そう思っているとセイが俺の腕に捕まってきた。
そして笑顔で俺とユウキを見た。


「おとーさんとおかーさん!」


全く…アインクラッド、もしくは記憶を取り戻すまではお父さんで居てやるか…

ユウキは笑顔でセイに抱きついた。


「お母さんだよー!」


「うん!おとーさんとおかーさん!!」


これはこれで幸せだな。
俺とユウキの子か…不思議な気持ちだな…


「よし!ユウキ、セイ、皆でテーブル囲んで飯にするぞ!」


俺がそう言うと二人はうん!と言ってユウキはカレーライスを持ってきた。
セイにはカレーライスが辛過ぎるのでユウキはおにぎりを持ってきた。
セイは椅子が無いので俺の膝に乗せてセイはおにぎりを、俺はカレーライスを食べた。


「うっへぇ!今日のカレーライスは美味すぎるけどめっちゃ辛いぞ!」


「だってユウヤ前、辛いものが好きって言ったから…」


このカレーライス見た目からして辛そうだよ!?
すんげぇボコボコ言ってるし、見た目が溶岩だよ!?


「ジー…」


俺がカレーライスを食べているとカレーライスが気になったのかセイはずっと俺の方を見ていた。

まさか…セイ…これを食べるのか!?食べたいのか…!?
セイにはまだこの辛さは早い!…いや、セイも男だ…
愛する我が子には旅をさせよう…仮の我が子だが…

俺はスプーンでカレーライスをすくい、セイの前にスプーンを出した。

大丈夫だよね?溶岩食ってセイのHP減ったりしないよね?


「セイ…食べてみるか?」


「うん!」


「なら俺は止めない…地獄への切符をお前に託すしか無いようだ。父ちゃんよりも先に逝くなよ…」


「?…うん!」


「ちょっとユウヤ、まだセイには早いよ!」


そして俺は溶岩をセイに食べさせた。
セイは中々我慢強く、表情にはあまり出さない様にしているが表情には辛いという感情がモロに出ていた。
セイは一口食べ、難しい顔をしながら俺を見てきた。

やっぱり辛過ぎたか?
だが俺の息子ならばこれを乗り越えなければいかぬ!


「ん……おい…しい」


「よく食べたな!これでお前は俺の跡取り息子だ!」


「おとーさんのあととりむすこ!!」


俺は笑顔のセイの頭に手を置き、くしゃくしゃに撫でた。
その後はユウキにセイには辛いのはまだ早いと怒られてしまった。
アインクラッドを攻略しつつ、俺達は幸せに三人で暮らして行くんだろうな。






ーーーーーーそう思っていた






 
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