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魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石

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第1話

私、鹿目まどかは朝に枕元にあったたまごを持って登校した。やっぱり、実物があった方が説明しやすいと思うから。

「へえ〜。これがそのたまご?」

朝のホームルーム前。私はまず親友で私と同じ魔法少女候補のさやかちゃんにたまごを見せていた。

「確かにあったかいね。祭の縁日で売ってたひよこに触った事あるけど、こんな感じだったよ。」

「やっぱり、何か生まれてくるのかな?」

「だろうね。まあ、変な物じゃなきゃいいけど。」

「へ、変な物って?」

「エイリアンとか?」

「エ、エイリアン!?」

「冗談だって。こんな綺麗なたまごなんだもん。もっと素敵で可愛いモノが生まれてくるに決まってるでしょ。」

「そ、そうだよね。」

私はホッとしながらさやかちゃんに返してもらったたまごを見た。その時、ホームルーム開始のチャイムが鳴ったから、私はたまごを鞄に割れないようにしまった。そして、担任の早乙女和子先生が入って来る。

「おはようございます。さて、卵焼きは出汁入りのしょっぱいのか、砂糖入りの甘いのか、中沢君どう思いますか!」

「へ!ええと、どっちでもいいと思います!!」

いきなり一番前の席の中沢君が無茶振りされた。でも、これはいつもの事だから私達は気にしない。

「そうです!卵焼きはしょっぱいか甘いか。女子の皆さんはそれを気にするような男性と付き合わないように!男子はそんな風にならないようにして下さい!!」

「また、振られたんだね。」

「うん。」

さやかちゃんの呟きに私は同意する。
和子先生って、破局する度にこうやってホームルームで愚痴るの。

「それと、ついでに転校生を紹介します。」

って、そっちの方が普通メインだよね!何でついで!?

「珍しいね。この前転校生が来たばかりなのにまたなんて。」

さやかちゃんがそう呟くと同時に、私は無意識に一人の女の子の方を見てしまった。暁美ほむらちゃん。少し前に転校して来た子で、マミさんと同じ魔法少女。でも、あの子は何故かキュウべえの命を狙っていた。
そう思っている間にその転校生の子が教室に入ってきた。私と同じピンク色の髪を✖️型の髪飾りで留めた女の子だ。胸はマミさんみたいに大きくないけど、スタイルはいい。

「日奈森あむ。まあ、よろしく。」

その子は壇上に上がると、そう素っ気なく名乗った。ほむらちゃんみたいにクールな子なのかな?


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やっちゃったああああああああ!
昨日から話す内容考えてたのに!緊張してこんな素っ気ない感じにいいいいいいい!!

「あむちゃん。キャラチェンジする?」

「無理だって。今更そんな事しても変に思われるだけじゃん。」

耳元で意見してくるランに小声で答える。
落ち着け私。まだ転校初日。挽回するチャンスはある。そう、例えば恒例の休み時間での転校への質問タイムとか!



そして、授業の合間の休み時間。早速、クラスの皆が質問する為に寄って来た。

「日奈森さんってどこから転校してきたの?」

「聖夜市ってとこ。夜空の星が綺麗な所だよ。」

よし、上手くフレンドリーな感じに答えられた。

「部活は何やってたの?」

「部活はやってないけど、その代わり生徒会の役員をやってて。」

「生徒会!凄いじゃん!!」

「そ、そうかな?」

この調子なら直ぐに誤解が解けそう。そう思っていると、ミキがある一点を見ているのに気づいた。視線を追うと、そこにはピンクの髪を赤いリボンでツインテールにした女の子が居た。

「どうしたの、ミキ?」

あたしは皆に気付かれないように小声で話しかける。

「あむちゃん。あの子、キャラ持ちだよ。まだたまごみたいだけど。」

「え!?」

しゅごキャラは何となくと言うレベルで他のしゅごキャラの気配を察知出来るの。通称“なんとなくレーダー”。

「どうしたの、日奈森さん?」

「ううん。何でもないよ。」

とりあえず、あの子には後で話しかけよう。きっと、いきなりしゅごたまが現れて混乱してるだろうし。


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「今度の転校は意外とフレンドリーな感じね。」

「うん。」

休み時間になってクラスの皆に質問される日奈森さんは自己紹介の時とは違ってはきはきと喋ってる。あの時は緊張してたのかな?
そう思ってると、急に日奈森さんが私の方を見てきた。でも、直ぐ周りに居る子達との会話に戻る。

「あれ?まどか、あの子あんたの事見てなかった?」

「うん。でも、何でだろ?」

「ねえ、もしかして日奈森も転校生…って言うか暁美みたいに夢に出てきたりとかした?」

「昨日の夢に?出て無いけど。」

「そう?そうだと思ったんだけどな〜。」




そして、時は経って昼休み。私とさやかちゃんは屋上でマミさんとキュウべえに会ってあのたまごについて相談していた。

「これがそのたまごなんです。」

「これが・・・」

マミさんは私が鞄から取り出したたまごを手にとった。

「本当に、暖かいわね。キュウべえ、これが何か分かる?」

「わかるよ。」

「本当!?じゃあ、教えて!!」

キュウべえの答えに私は思わず身を乗り出してしまった。

「もちろん。と言いたい所だけど、僕にとっては専門外だから詳しくは知らないんだ。確実に分かっていることはまず、このたまごはまどか、君が産んだものだということ。」

私が!?でも私鳥じゃなくて人間だよ!?

「君は生物学的にそれはありえないとでも言いたげだね。でもそのたまごは生物が子孫を残す為に生み落とすものとは別物なんだ。むしろ、性質はソウルジェムに近い。」

「ソウルジェムに!?」

ソウルジェムっていうのはキュウべえと契約した魔法少女が願いと引き換えに生み出す宝石。つまり、魔法少女であることの証。

「でも困ったね。これでまどかとは契約出来なくなってしまった。」

「ええ!?」

「ちょっとキュウべえ!それどう言う意味!!」

私とさやかちゃんはキュウべえの言葉が信じられなかった。

「君達の中にはソウルジェムの“モト”になるものがあるんだ。そして、その“一部”が自然に出て来たものがそのたまごなのさ。」

「それならキュウべえ。元がソウルジェムと同じなら、そのたまごを使って魔法少女に変身する事が可能っていう事なの?」

マミさんがそう聞くと、キュウべえは首を縦に振った。

「そうだね。と言うか、ソウルジェムはそのたまごを参考にしているんだ。」

「な〜んだ。脅かさないでよ。良かったね、まどか。」

「うん。」

キュウべえの言葉を聞いて私はホッとした。確かに、キュウべえに願い事を叶えて貰えないのは少し勿体無い気がするけど、それでも私、魔法少女になれるんだ。

「それじゃあ鹿目さん。放課後、早速修行開始よ。」

「それは無理だね。」

やる気満々で立ち上がったマミさんはキュウべえの指摘でズッコケた。

「ちょっとキュウべえ!どうしてよ!!」

「まどかが魔法少女に変身するにはまず、そのたまごの中に居る存在が産まれるのを待つ必要があるんだ。」

「つまり、今はまだ変身出来ないって事?」

「そうだね。そう言う非効率な所があるから、ソウルジェムはアレンジを加えてある訳なんだ。」

「ねえ、このたまごからは何が産まれてくるの?」

「それは僕にも分からない。」

私の質問に対するキュウべえの答えに、今度は私達全員がズッコケた。

「言ったハズだよ。僕は専門外だから詳しく無いって。と言うか、何故か僕らはそこから産まれた存在を視認する事が出来ないんだ。もちろん、それを生んだ人間は視認出来るようだけどね。彼らの話によれば、それは君達の言う妖精のような姿をしているらしい。」

「良かったねまどか。変な物が産まれてくるんじゃなくて。」

「もう、さやかちゃん!」

さやかちゃんにからかわれながらも、私はたまごを見た。妖精かあ。一体、どんな子が産まれてくるんだろう。


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転校初日のお昼は購買のパン。ママが引越しのゴタゴタでお弁当の材料を買い忘れちゃって。でもまあ、たまにはこういうのも悪く無いかな。

「あむちゃん。野菜ジュースはちゃんと買いましたかぁ〜。」

「健康にはちゃんと気を付けないとね。」

「分かってるって。」

皆の言う通り、パンだけじゃなくて野菜ジュースも買って教室へ戻ろうとする。

「ちょっと、いいかな?」

その時、後ろから声をかけられた。振り返ると、そこに居たのは黒髪をショートにした女子生徒だった。そして、その傍にはその子と良く似た容姿で、眼帯をして黒い服を着たしゅごキャラが・・・って!

「「「「「しゅごキャラ!?」」」」」

「やっぱり。レンが見えてるって事はあなたの周りに居る子達もしゅごキャラなんだね。」

「凄いなあ。まさか一人で四人もしゅごキャラを産むなんて。」

「ど、どうも。」

黒髪の子のしゅごキャラに褒められて、私は思わずそう返す。

「あっ!私、今日二年に転校してきた日奈森あむっていいます。こっちはラン、ミキ、スゥ、それにダイヤ。」

「私は呉キリカ。ここの三年生。こっちはレン。よろしく、日奈森さん。」



続く


 
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