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ドリトル先生と森の狼達

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第三幕その三

「だからね」
「君も僕の名前は知っているんだ」
「先生がここに来たことは知らなかったけれどね」
 それでも先生のことはというのです。
「先生のことはこの辺りの皆も知ってるよ」
「では調査もしやすいかな」
「先生になら何でもお話するよ」
 狐は次第に先生のところに近寄ってきていました、やっぱり動物の皆の最高のお友達だからなのでしょう。
「僕達のことをね、おおい甚五郎君」
 狐はそれまでじっと先生達を見ていた猪に顔を向けてその名前を呼びました。
「ドリトル先生にお話をしよう」
「うん、話は聞いてたよ」
 猪もこう狐に返します。
「泰三君と先生のやり取りをね」
「じゃあいいよね」
「うん、いいよ」
 猪は狐にこう答えました。
「それじゃあ一緒にね」
「先生にお話しよう」
「いや、先生が有名人ということもね」 
 老馬はしみじみとしてです、先生を見つつ言いました。
「役に立つね」
「お話が進むね」
「それじゃあまずはね」
「この子達とお話をしよう」
 先生は温厚な笑顔で老馬に応えました、そしてでした。
 先生は狐、そして猪とお話をしました。先生から二匹に尋ねました。
「最近この辺りはどうかな」
「うん、平和だよ」
「この辺りはね」
 狐と猪は先生の質問にすぐに答えました。
「平和でね」
「皆仲良くやってるよ」
「自然の環境もね」
「わりかしいいしね」
「確かに。まだ入口だけしか見ていないけれど」
 先生は二匹のお話を聞いてです、森の中を見回しました、そのうえで草木や空気の状況をチェックして述べました。
「悪くないね」
「動物も増えたしね」
「かといって増え過ぎてもいないし」
「適度にね」
「落ち着いているよ」
「それは何よりだね、自然な日本の山だね」
 先生は今の状況をこう述べました。
「調和が取れていて、それで君達もいるけれど」
「僕達も?」
「っていうと?」
「うん、他の皆も大丈夫だね」
「狸君や栗鼠君達」
「鹿さんや熊さんもかな」
「そうした皆は大丈夫だよね」
 ちゃんと十分な数がいて食べることや住処に困っていないかというのです。
「ちゃんと生きていけてるよね」
「うん、大丈夫だよ」
「皆僕達みたいに幸せに暮らしてるよ」
「その皆にそれぞれにも聞くと思うけれど」
「僕達の知ってる限りはそうだよ」
「それは何よりだね」
 先生もお話を聞いて笑顔になりました。
「皆ごく普通に暮らしてるのならね、けれどね」
「他の皆にもだよね」
「先生聞くよね」
「そうするよ、そして聞くだけじゃなくてね」
 学者としてです、先生は狐と猪に答えました。
「観ることもするよ」
「ちゃんとだね」
「そちらも忘れないんだね」
「聞いて観る」
「どちらもするんだね」
「それが学者の務めだからね」
 だからこそというのです。
「そうするよ、そういえば君達はね」
「どうかな、僕達は」
「何かあるから」
「結構体格もいいし毛並みもいいね」
 そのどちらもというのです。 
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