美しき異形達
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五十四話 山師の館その二
「そうしたものです」
「それでは今も」
「またお茶を飲みましょう」
桜は微笑んでだ、菫に言った。
「是非」
「戦いが終わってピクニックもして」
「お茶も飲みましょう」
二人はこうしたことを話していた、鈴蘭も黒蘭もだった。
鈴蘭は黒蘭の横に自分にバイクを寄せて自分から話した。
「同人誌の状況だけれど」
「今日中にね」
「そっちは終わりそうなのね」
「ええ、それで姉さんの方は」
「サイトに投稿出来るわ」
「書き終えたのね」
「昨日ね、文章のチェックも終わったし」
だからというのだ。
「もう小説投稿出来るわ」
「じゃあ今夜は二人共」
「それぞれのやることで忙しいわね」
「そうね」
鈴蘭はくすりと笑って妹に答えた。
「皆が」
「だから」
「帰ろうね」
「何があってもね」
こう姉妹でも話すのだった、そうしたことを話してだった。八人は伯爵が案内するその場所に向かった。六甲の山の曲がりくねっている上にも下にも行く道を。
その道を進んでいる時にだ、後ろからだった。
十台近いバイクが来た、鈴蘭はバックミラーからそのバイク達を見て言った。
「来たわよ」
「やっぱりな」
薊はその言葉を聞いてだ、すぐに返した。
「来たな」
「気配は感じてたわね」
「ああ」
そうだとだ、薊も答えた。
「今さっきだけれどな」
「そう、じゃあ」
「バイクで進んでてよかったよ」
こう言いつつだ、薊は。
その右手に棒を出した、そのうえで。
後ろから自分の横に来た怪人にだ、その棒を向けてだった。
吹き飛ばした、そして言った。
「屋敷に行く前にちょっとやるか」
「そうね」
菖蒲もだ、その剣を出してだった。
怪人を斬る、他の少女達もだった。
横から迫る怪人達とそれぞれの武器や拳で闘い倒した、怪人達はバイクから叩き落とされ吹き飛ばされて灰になった。
その怪人達を横目で見送ってからだ、薊は仲間達に言った。
「まあこれでな」
「うん、バイクで来たかいがあったわね」
「車の中にいたらな」
「こうすぐには対応出来なかったね」
向日葵はあっさりとした感じで薊のその言葉に答えた。
「バイクで行って本当によかったわ」
「全くだな、じゃあな」
「屋敷までどれ位かしら」
「さてな、もうすぐだと思うけれどな」
「じゃあバイクでの戦いはこれで終わり?」
「だろうな、後は屋敷に行って」
「そこで」
「最後の戦いだよ」
少女達にとってのそれだというのだ。
「いよいよな」
「そうなのね、それじゃあ」
菊も言う、そのバイクを操りつつ。
ページ上へ戻る