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ダンジョンに英雄を求めるのは間違っているだろうか

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プロローグ

 
前書き
初めての二次創作。
うまく書けているかはわかりませんが、よろしくお願いします。 

 
手足が動かない。意識が朦朧とする。
俺はまた人殺し(友人殺し)をした。その報いを受ける時が、ようやく来たんだ。
ああ、ようやく解放される。辛いとも、苦しいとも思わなかったけど真っ先に思い浮かんだのはその感情だった。


俺は羨ましかった。冒険者である友人が……。
その友人は強くていつも俺のそばにいてくれた。でもそんな友人を俺は殺した。
最低なやつだ。悪魔でも魔王でもいい!俺を裁いてくれ!
この人殺しという最低な称号を持った俺を…!!


(でも、少しくらいは冒険者みたいになってみたかったな……)


ああ、くそ。今になって死にたくなくなってきた。
死んでもいいとは思っていた俺が今になって生きたいと思ってきた。
俺はどこまで腐ってるんだ……。


コツコツ、と足音が聞こえた。
ここは俺以外知らない場所のはずだ。どうしてここに……。

足音は二人分あった。一人は歩幅の間隔と足音の大きさからいって女。もう一人は男だろうがあの人と比べると歩幅の間隔や足音の大きさが全く違う別人だ。

どんどん近くなり、やがて俺の前で止まった。


「ねぇ、貴方は誰かしら?私だけの場所だったはずなんだけど……」

顔は見えない。
影とかではなく、俺の首が動かない。

しかも今、なんて言った?
私だけの場所?
いや、ここはあいつと俺だけの……!!

「……がう」
「なんて言ったかしら?」

「違う!!ここはあいつと俺だけの場所だッ!!」

大きな声を出したためか、首が声の主の元へと曲がってくれた。
その声の主は絶世の美女というのが正しいだろう。
普通の男性ならここで惚れてなにも言い返せなくなるだろう。
だが、俺はそうはならなかった。
確かに美しいとは思う。だけど、それだけだ。
それ以外はなにも出てこない。


「あら?貴方が殺したのかしら?彼を……」

声の主は俺の横に血だらけで倒れている青年を指差した。
そう、俺が今さっき、殺した友人。

「お前は誰だ……?」
「おい、貴様。我が主神、フレイヤ様になんという態度を取っている?」

今まで黙っていた男、殺気を込めて俺に言ってきた。
今まで感じたことがない殺気だった。
それを人を一瞬で壊させるような……。

しかも今、フレイヤ様と言ったか?
てことは、まさかこの人は……。
神々の中でも随一の美貌を持つ『美の女神』。【フレイヤ・ファミリア】主神。その美しさをもって『魅了』した団員を数多く抱える。その『魅了』の効果絶大で、モンスターや神ですら虜に出来ると、俺は亡き友人に聞いた。


「先程のご無礼申し訳ございません。どうかお許しください。フレイヤ様」
「あら?さっきまでの威勢はどうしたのかしら?」

綺麗な銀髪を触りながら俺に訪ねてくる。

「あれは俺の無礼です。お許しください」
「フフッ。まあいいわ。それより貴方は何者?」

突然何者かと尋ねられた。

「俺はただの人殺しで最低な野郎です」
「そうではなくて、どうして私の魅力が効かないのかしら?」

それを聞いたさっきの男の顔が少し歪む。
どういうことだろうか?

「いえ、確かにフレイヤ様はお綺麗ですが、なぜかそれ以上の感情が出てきません。すいません」

それを聞いた男が背中に背負っていた大きな大剣を抜き、俺を斬ろうとした所で、フレイヤ様に止められた。


「いいわ。あなたに興味が沸いたわ。貴方、私のファミリアに入らない?私の弟として、またそれ以上の関係以上に接してあげるわ。もちろん隣にいるオッタルといっしょ、幹部以上よ」

「その……お願いがあります」
「なにかしら?」

俺が願うもの……。
それは…。

「俺が殺した友人をここに置いて行っていいでしょうか?そして俺を冒険者にしてくれますか?」
「フフフフッ!!おもしろいわ!本当に貴方はおもしろい!」

腹を押さえながら笑う。
美の女神が涙を流すほど笑うのは初めて見た。
てか、そこまで笑うことか?

「いいわ!貴方のためならなんでもしてあげるわ!その代わりあなたも私に尽くしなさい。貴方を冒険者にもなんだってしてあげるわ!それでいいわね?オッタル」

「いいのですか?フレイヤ様がいいなら私は構わないですが……」

「なら決まりね。貴方の名前は何というのかしら?」
「俺の名はロイ・キャンベルです。よろしくお願いします。フレイヤ様。オッタル様」

俺はこれから新しい人生を歩む。
今までの俺はなしだ。
フレイヤ様やオッタル様、フレイヤ・ファミリアの皆さんと戦っていく。
冒険者として……。

「私のことはフレイヤお姉さんと呼びなさい。そうね、オッタルは……」
「俺はオッタル兄さんでいい。よろしく頼む。ロイ」

一瞬、神様をお姉さんなどという馴れ馴れしくしていいのかと思ったが、ここで反抗したらダメそうなのでやめとく。


「あ、はい。よろしくお願いします、フレイヤ姉さん、オッタル兄さん!」
「ええ、よろしくね」
「ああ」

一瞬、フレイヤ姉さんと、オッタル兄さんの顔が赤くなった気がする。
気のせいか……。

(さよなら……。俺は戦うよ……お前の分も)


俺はオッタル兄さんに担がれ、夜のオラリオを移動する。フレイヤ姉さんやオッタル兄さんが通った道には俺の小粒の涙が点々と落ちていった。






 
 

 
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