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オズのベッツイ

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第十一幕その四

「銀色でしょ」
「ブリキの銀色ですね」
「住んでいるお城さえもね」
 とにかく全てがブリキです、だからこの人は銀色なのです。
「そうでしょ」
「そうですね、言われてみれば」
「だからそれぞれの色でもいいの」
「オズの国では」
「そう、勿論このウィンキーの国でもね」
「そういうことなんですね」
「特にその色でなくてもいいと思えばその国の色になるわ」
 アンもまた牧場の牛達を見つつお話します。
「あの子達もね」
「牛さん達もですか」
「そうなの、白くもなれるわ」
 ナターシャ達の世界のホルスタインの様にというのです。
「白いミルクも出せるし」
「ミルクもですね」
「黄色いものでなくてね」
 ウィンキーのそれでなくても、というのです。
「白いものも」
「そして白以外の色もですか」
「出したいと思えば出せるのよ」
「面白いですね、それも」
「ここは不思議の国なのよ」
 ベッツイは面白いと言ったナターシャに微笑んでこう返しました。
「だからね」
「そうしたこともですか」
「あるのよ」
「私達の世界とは違って」
「同じ世界の何処かにあってもね」
「そうなんですね」
「この国は特別なの」
 オズの国だけはというのです。
「他の国とは違うのよ」
「歳も取らないしね」 
 ハンクも言ってきました。
「僕だって本当にどれだけ生きているか」
「そういえばあんたもう相当よね」
「うん、驢馬とは思えない位にね」
 ハンクはガラスの猫にも答えました。
「長生きしているよ」
「そうよね」
「オズの国にいるとね」  
 歳を取らないからでした。
「歳を取ることもないからね」
「あんたもいつも元気なのね」
「お腹は空くけれどね」 
 それでもなのです、オズの国にいますと。
「歳を取らないし病気にもならない」
「まさにいいこと尽くめね」
「君はそういう実感はないよね」
「だってあたしはガラスだから」
 普通の猫ではなくガラスで出来た猫だからです。
「最初からそうしたことはね」
「縁がないね」
「食べる必要もないし寝る必要もなくて」
「最初から歳も取らないね」
「全くね」
 そうだとです、猫はハンクにお話しました。
「そんなことは一切縁がないわ」
「そうだよね」
「あんたのその喜びのこともね」 
 そもそもそうしたことを感じる必要がないからというのです。
「あたしは知らないしわからないわ」
「それはもう仕方ないね」
「そうね、ただ食べることって」
 ここで猫はハンクだけでなく他の皆も見て言うのでした。
「そんなにいいことかしら」
「ええ、とてもいいことよ」 
 アンが猫のその問いに微笑んで答えました。 
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