異世界系暗殺者
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大人の時間・1時間目(2016/05/16 一部修正)
前書き
今話は原作とは異なり、前話と時間軸が繋がっていて、同じ日に起こっている設定です。(笑)
原作では1日ないし、2日掛けて準備していたであろうビッチ先生が、スタンドでも使ったかの様に、赴任当日に暗殺準備を整え、その日の内に動いたことになっています。
故にその点に関するツッコミは無しの方向でお願いします。(笑)
【視点:樹】
「そういえば、ビッチ姐さん。殺センセーの有力な情報話したら、良い事してくれるって言ってたけど、何してくれんだろうな?」
ついさっき、ビッチ先生が立ち去る前に俺達――3-Eの生徒に向かって言っていたことを、岡島が改めて口にしていた。
「女子にはオトコを貸すとか言ってたし、大人の世界を教えてやるってことだろ?」
「岡島、前原。それ、女子の前で話す内容じゃねぇだろ。セクハラだぞ。まぁ、情報提供の報酬はお前らの考えている通りのことだろうけど。
それにしても、思春期とはいえ14~5の子供相手に提示する報酬じゃねぇな。あれじゃあ、暗殺者じゃなくて痴女だ。それに指導者としての才能が皆無。誰も付いて行こうとは思わないだろうな。……性欲に負ける変態以外は」
岡島と前原を注意し、そう言った俺は最後の台詞を言い終えると同時に岡島を凝視する。すると、他のクラスメイトも全員が岡島を凝視していた。
「ちょっ、お前ら何で俺を凝視してんだよ!!」
「お前が思春期男子を逸脱したエロスの極みだからだ。この変態終末期が」
「ひでぇ!!確かに俺はエロいけど、そこまで言うか!!?」
「言われたくなかったら、もっと自重した行動をしろ。出会って僅か1週間で変態と認識する程、お前はエロいんだよ」
俺が岡島に対してそう告げると、他のクラスメイトも示し合せた様に全員が頷いていた。特に女子一同のシンクロ率は凄かった。そして、そんなクラスメイトの反応に対して岡島は肩を落としていた。まぁ、これも身から出た錆って奴だな。
……さて、午後一の授業は英語だ。いつも通りなら殺センセーが授業をするところだが、殺センセーは現在進行形でベトナムまでベトナムコーヒーを買いに行っているので、ビッチ先生が授業をすることになる。
しかし、ビッチ先生は教卓前の椅子に座り、タブレットを弄っているだけで一向に授業をする素振りも見せない。
「ビッチ先生。授業する気が無いなら、教室から消えてくんない?暗殺計画なら職員室でもできるだろ?自習するにしたって、タブレット弄りながらクスクス笑われたら鬱陶しくて仕方ねぇんだよ」
「そうだよ、ビッチ姐さん。授業するか出て行くかしてくれよー」
「そーだ、そーだ」
「名目上でも先生だろ。職務真っ当しろよ、ビッチ姐さん」
俺の発言を皮切りに、クラスのほぼ全員がビッチ先生に抗議を始めた。すると―――
「がぁーーー!!ビッチビッチって連呼してんじゃないわよ、この糞ジャリ共!!あと、あんた達BとVの発音の区別もできないの!!?」
ビッチ先生はビッチコールにブチ切れ、座っていた椅子から立ち上がると、そう怒鳴って来た。
「あっ。俺は態とBitchの方で発音してるから。BとVの発音の区別くらいはできるんで」
「確信犯なら猶更性質が悪いわ!……取り敢えず、正しいVの発音を教えてあげるわ。まず歯で下唇を軽く噛む!ほら!!」
ビッチ先生の指示に従い、下唇を軽く噛む皆。ちなみに俺はちゃんと発音できるので、ビッチ先生の指示に従っていない。
「そう。で、そのまま1時間過ごしてなさい。これで少しは静かになるわ」
ビッチ先生はそう告げると、視線をタブレットに戻した。ビッチ先生のその態度に皆はムカついている様で、教室内に殺気が充満している。
「ってか、これって授業になるのか?」
5時限目の間、俺のこの疑問に答える者は誰もいなかった。そして、律儀にも皆下唇を軽く噛んだ状態で自習を続け、5時限目が終了。
6時限目は体育ということもあり、俺を含めた男子は着替えの為、別教室へと移動。体操服へと着替え終わると、運動場を兼ねている校庭へと集まった。
今日の体育は射撃訓練。近接戦を主体とする俺も、当然のことながら参加する。まぁ、的に当てるだけなら余裕なので、自分ルールを貸したりする訳だけど。
今回の自分ルールは、初弾でできた穴に次弾以降も通し続けるのだな。失敗したら逆立ち腕立て100回。それを烏間先生とクラスの皆の前で、15発連続で成功させていると、三村がいきなり声を上げた。
「おいおい、マジかよ!?殺センセーとビッチ姐さん、2人で倉庫にしけこんでくぜ!!」
「……流石、全身触手。淫猥教師の性には抗えなかったって訳か」
「淫猥教師の性って、何!!?」
俺があからさまにガッカリした感じでそういうと、潮田が最高のタイミングでツッコミを入れてくれた。流石、キング・オブ・ツッコミニスト。
「って言うのは冗談で、いくら殺センセーが巨乳好きの淫猥教師でも、流石にあんなあからさまな色仕掛けに引っ掛かる訳が無いって。
どうせ、ビッチ先生の暗殺も失敗に終わる。そんなこと気にしてる暇があったら、暗殺訓練を続けようぜ。賞金100億を手にする確率を上げる為にもな」
俺がそう告げると同時に倉庫からマシンガンによる銃声が聞こえてきた。音の大きさから察するに、対殺センセー弾ではなく実弾を使っているのだろう。
銃声が止むまでに掛かった時間は僅か1分。そして、銃声が止んだかと思えば、大した間も空けずに今度は謎のヌルヌル音と鋭い悲鳴が聞こえてきた。
「いやああああ!!、あっ、いやああああ……!いや…、あ……」
聞こえてくる悲鳴はどんどん弱くなっていき、逆にヌルヌル音は大きくなっていく。
「……あの2人、倉庫でどんなプレイしてんだよ?……取り敢えず、女子一同。今後、あの倉庫には近付かない方がいいと思うぞ。何か必要なものがある場合は、俺を含む男子に頼む様にしろ」
俺がそう忠告すると、3-E女子一同は無言でただ頷いていた。男子はというと、思春期ということもあって倉庫でのプレイが気になるのか、ほぼ全員がダッシュで倉庫へと向かっていた。
先頭を走っていた潮田が倉庫の10m手前に辿り着くと扉が開き、中からご満悦な顔をした殺センセーが出て来た。
「殺センセー!!おっぱいは?」
おい、潮田。おっぱいって、何だ?そういうのは岡島の担当だろ。あと、せめて名前は名字の一部が引用されているビッチって言ってやれよ。
「いやぁ、もう少しくらい楽しみたかったのですが、皆さんとの授業の方が楽しみですからね。早々に切り上げました。皆さん、次の授業で行う小テストは手強いですよ」
(いや、ご満悦顔から普段の顔に戻して、先生らしいことを言っても説得力無いから)
俺がそんなことを思っていると、倉庫からレトロな体操服を着たビッチ先生がフラフラと出てきた。しかも、その体操服シャツにイリーナと書かれた名札が縫われていて、芸が細かい。
「まさか…、僅か1分で全身マッサージと早着替えをさせられるなんて……、その上、ヌルヌル触手であんなことまで……」
ビッチ先生はそこまで言い終えると、前のめりに倒れ込み動かなくなった。ホント、この触手生物は何をしたんだ?
「殺センセー、一体何したの?」
潮田がクラスを代表する様に殺センセーに尋ねると―――
「渚君。大人には大人の手入れがあるんです」
殺センセーは真顔で遠くを見ながらそう告げてきた。
「「「「「「悪い大人の顔だ!!」」」」」」
これには潮田だけでなく、俺を含む全員がツッコミを入れた。その後、俺達は殺センセーの指示でビッチ先生を放置したまま、校舎へと戻った。
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