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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN26






「ようこそ狹霧長官」

「ロンメル元帥がお出迎えなさるとは……恐縮です」

 俺がロンメル艦隊旗艦『ティルピッツ』に向かうとわざわざ北アフリカ星域派遣艦隊元帥のロンメルが出迎えに来ていた。

「いやいや、ドクツと日本は同盟国ですからね。出迎えるのは当然ですよ」

 そうして、俺はロンメルの自室に案内された。

「ドクツのコーヒーですが」

「頂きます」

 ロンメル自らが作ったコーヒーを飲む……美味いな。

「真に美味しいコーヒーです」

「ありがとうございます狹霧長官。では本題に入りましょうか」

 ロンメルはそう言って真剣な表情で俺を見てきた。流石は名将と言ったところかな。

「わざわざ此処へ訪れたんだ。何か理由でもありますよね?」

「えぇ。実はですねロンメル元帥、エイリスとの戦いを一時的に休戦してもらいたいのです」

「……COREの事ですか」

 ロンメルの言葉に俺は無言で頷いた。

「ロンメル元帥も知っての通り、COREが反乱を起こしてガメリカの主星であるワシントン星域を占領しました。本当なら此処で喜びあって日本酒やビールを飲み合うのですが……」

「……COREは我々に宣戦を布告すると?」

「あの殺戮の中継を見ているなら分かりますよね?」

 俺の言葉に今度はロンメルが無言で頷いた。

「もしかすると、COREの反乱はガメリカ全星域で起こる可能性があります。しかもCORE搭載艦は人間を必要としない」

「厄介になりますね」

『げ、元帥ッ!!』

 その時、ロンメルの部下が通信を開いた。

「どうした?」

『ガメリカのブライトハウスから発信された通信が来ています。開きますか?』

「開いてくれ」

『ヤー』

 そして通信は開かれた。

『よぅ、糞の詰まった肉復路ども。ご機嫌はどうだい?』

 通信映像には、少女――プリンセスを座位のまま犯していたキングコアが映っていた。

『こんな格好だが挨拶させてもらおう。おれの名はキングコアだ。COREのキングだからキングコア。シンプルだろ? おっと、ガメリカがどうなったかもう知ってるよな?』

 映像が街並みを映すが、地上には撃ち抜かれ、砕かれ、焼かれ、潰された人間の死体が大量に横たわっていた。

 そしてブライトハウスに映り、ガメリカ国旗と旗の代わりに括られた男――フランク・ルーズ大統領の死体がそこにあり、壁に文字が書かれていた。

『感謝祭』と書かれていた。

『自由のフロンティア、育ちきった摩天楼は御覧の通り。熟し過ぎた資本主義を収穫する時がきた。皆分け隔てなくぶち殺して大地の肥料にしてやった。ガメリカはぶっ壊れちまったわけだ。俺達はCOREだ。人工知能なんて物じゃない。脳みそを抉り出されて兵器に改造された元犯罪者だ。今の俺達はハッピーだ、俺達はクレイジーだから。壊して犯してぶち殺すのがずっとずっと楽しいからだ。安心しろ、降伏しなくていい、選ばなくていい。刃向かおうと刃向かうまいとみな殺しだからだ。欲しいのはお前達だッ!! 震えながら待ってなッ!!』

 キングコアはそう叫ぶ。

『こっからはVIP会員向けの特別放送だ。CORE(俺達)を理解してもらうためのムービークリップ。ただ、【どうしても見たくなければ、此処でテレビのスイッチを切りな】いいか――』

 そしてブライトハウスのホールが映された。

『げひゃひゃひゃッ!! まさか女装してやがるとはな。キングコア、どうするこいつ?』

 ホールでは捕らわれたハンナ・ロックが士官COREに犯されて、クー・ロスチャが裸で十字架のように張りつけにされていた。

『女かと思ったが……まぁいい。若草会の一員だがそこの赤毛の女がいるんだ。苦しく逝かせてやりな』

『げひゃひゃひゃッ!! そうこなくっちゃッ!!』

 士官COREはそう叫んで置いていたチェーンソーのエンジンを入れたが……まさかッ!!

『いや……いや……』

『クーには手を出さないでッ!!』

 ハンナが叫ぶ。

『だから手は出してないだろう? だからチェーンソーで逝かせてやるんだよッ!!』

 チェーンソーがゆっくりとクーに近づき、映像もアップされていく。

『いやァァァァァーーーッ!!!』

『女みたいな悲鳴を挙げるんじゃねぇよッ!!』

『ーーーーーーーーーッ!!!』

 その瞬間、画面は赤く染まりクーの絶叫がロンメルの部屋に響いた。

 そして通信は遮断された。ロンメルの部下が遮断したんやろ。

「「………」」

 ……酷すぎるな。

「……ロンメル元帥、最早一刻の猶予もありません」

「……分かった、急いで総統にも休戦の連絡をしよう」

 ロンメル元帥との会談はそこで終了した。




「一体何者なんだあのキングコアとは……」

 摩耶の作戦室で山下長官はそう呟く。

「ハッキリしているのは我々人類に対して宣戦布告をした事だな」

「そんなのあたいの鉄鋼魚雷で一撃で沈めてやるよッ!!」

 ラスシャラがそう呟き、キャシーがそう意気込む。

「でも相手はCOREだよ?」

「そこのところはどうするんだい雪風?」

 マリーはキャシーにそう質問をして圭子さんが俺に聞いてくる。

「……やる事はただ一つや。キングコアを、COREを撃破するのみやッ!! ただし、今はインドカレーまで戻る。そこで改装を施す」

「改装だと?」

「全艦艇の主砲を第四戦隊の主砲と同じにする。第四戦隊の主砲は射程は短いけど、速射性を十分に高めた主砲や。CORE搭載艦との戦闘でも有効性は十分な結果やった」

 既に第四戦隊の主砲はハワイ星域に駐留する第一艦隊の艦艇にも少数ながら搭載されて一時的に反乱する前のCORE搭載艦と戦闘をして艦隊を追い返していた。

「既にロンメル元帥も承諾している。今は耐える時や」

 俺は皆にそう言った。






 
 

 
後書き
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