オズのベッツイ
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第七幕その八
「そうなったのよ」
「そうですか」
「そうなのよ」
「そのことはわかりました」
ナターシャはアンの返答を聞いて納得して頷きました、ですがナターシャはアンにこのことも尋ねたのでした。
「ただ」
「もう一つ聞きたいことがあるのね」
「王女様はお一人でここまで来られたんですよね」
「ええ、そうよ」
「それで真実の池までも」
「一人で行ってね」
そして、というのです。アンも。
「一人でウーガブーの国に戻るつもりだったのよ」
「どうしてお一人なんですか?」
「そういえば」
ここで恵理香も言いました。
「王女様は以前オズの国を征服されようとして」
「軍隊を率いておられましたね」
ナターシャもアンにこのことを尋ねるのです。
「十六人位の」
「そうでしたね」
「それで今はどうして」
「お一人なんですか?」
「もう戦争はしないから」
それで、とです。アンは二人の問いに答えました。
「それでなのよ」
「兵隊さん達は」
「もう皆元の仕事に戻って軍人になることはないわ」
「そうなんですね」
「そう、国民に同行してもらってそのお仕事を奪っては駄目だから」
アンはそこまで考えていたのです、そしてだったのです。
「私一人で行くことにしたの」
「そうだったんですか」
「それで、ですか」
「そうなの、皆から止められたけれど」
それでもだとです、アンは二人の少女に笑ってお話するのでした。
「そうしたのよ」
「無鉄砲だと思いますけれど」
ナターシャはアンのその決断と行動にあえて厳しいことを言いました。
「それは幾ら何でも」
「そう言われたわ、皆にもね」
「そうですよ、女の子が一人で旅に出るなんて」
「せめてあたし達みたいなお供がいないとね」
ガラスの猫もそこを言います。
「一人だけじゃ何かあったらそれで終わりよ」
「何人かいてこそですよ」
恵理香もまた言いました、アンに。
「困った時に助かります」
「そう言われたけれど、いてもたってもいられなくて」
「それが危ないです」
ナターシャは眉を曇らせてそして言うのでした。
「本当にお気をつけ下さい」
「何かあったらすぐに私達に声をかけて」
ベッツイはアンを咎めませんでした、ですがこうお願いしたのです。
「そうすれば駆けつけてね」
「助けてくれるの?」
「そうするから」
だからだというのです。
「声をかけてね」
「動く前に」
「そう、一人で動く前にね」
「助けてくれるの?私達を」
「当たり前よ、ここはオズの国よ」
それ故にというのがベッツイの返事でした。
「それならよ」
「助けてくれるの」
「それにウーガブーの国はウィンキーの国の中にあるじゃない」
ベッツイはアンにこのことも言いました。
「それならよ」
「皇帝である木樵さんに」
「助けてもらえるから」
このことも言うのでした。
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