コンビネーションハンター
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6部分:第六章
第六章
右から左に身体を動かして。それで終わりだった。
「この程度か?」
「勿論これで終わりじゃない」
ディアルゴもこれで彼を倒せるとは思っていないのだった。
「続いてな。これでだ」
「ふふふ、一本ではわしを落とすことはできん」
彼が矢を複数構えてきたのを見てまた笑ってみせてきた。
「何本でもだ。できるかな!」
「やってみせる、こうやってな」
矢を複数一度に放った。しかも波状にだ。それでシルバーヘッドを撃とうとするがそれでもだった。それもまたあえなくかわされてしまったのだった。
「この程度でも駄目だな」
「ちっ、これも駄目だっていうのかよ」
「御前の祖父や父もこの程度は普通にやっていた」
シルバーヘッドはここでディアルゴに対して言ってきたのだった。
「普通にな」
「こんなことも普通にかよ」
「まさかこれで終わりではあるまい?」
少しばかり挑発するような物言いであった。
「まさか。複数の矢を同時に放つ程度ではな」
「その通りだ。それなら今度は」
「ほう。今度はそれか」
「こうしてな。一度に放つだけでなく」
複数の矢を同時につがえるのは同じだった。しかし今度はそれを一本ずつ放つ。そうしてそれにより矢を連射してきてみせたのだ。
「こんなやり方も覚えたのさ。これはどうだ?」
「ふむ。確かにのう」
矢が続けざまにシルバーヘッドを狙ってきた。一本、また一本と。その流れはまさに流星だった。下から上に襲う流星であった。
「これはまた見事なものじゃな」
「これならどうだ?」
「確かにやることはやる」
ヒポグリフもそれは認める。
「しかしじゃ」
「しかし?まさか」
「その通り。ほれ、この通り」
言いながらだった。空中でその巨体を左右に細かく動かしそのうえで、であった。彼が繰り出すその流星の如き弓矢を全てかわしてしまった。
「軽いものじゃな」
「これは俺が渾身の攻撃だったんだぞ」
ディアルゴも今回ばかりは呆然としていた。
「それでも駄目なのかよ」
「これも主の祖父や父がやっていたことじゃ」
これもだというのだった。
「まあいい技ではあったがな」
「ちっ、これでも駄目なのかよ」
ディアルゴは今度は歯噛みになっていた。
「何て奴だ、全く」
「驚いたか?しかしわしはまだこの通りじゃぞ」
シルバーヘッドはあえて余裕に満ちた顔を見せて彼に言ってきたのだった。
「無傷じゃ。全くな」
「ちっ、化け物かよ」
「だからわしは普通の獣ではないぞ」
まさに今更ながらの言葉だった。
「ヒポグリフじゃぞ。千年生きているな」
「まあそういえばそうだけれどな」
相手に突っ込まれて何も言えなくなったディアルゴだった。
「それはな」
「わかってくれたな。それでじゃ」
「今度は何なんだよ」
「そこにいる僧侶の娘じゃ」
「私なのね」
それまで黙って見ているだけだったイザベラがここで応えるのだった。
「どうするのじゃ?それで」
「あのね、私だってね」
ここで少しムキになってシルバーヘッドに言い返すディアルゴだった。
「僧侶なんだから。見ていなさいよ」
「見ているだけではないのじゃな」
「そうよ。ほら、こうして」
右手に持つその杖を上にかざしてきた。そうしてその杖から風を出す。それは竜巻でありシルバーヘッドに対して一直線に向かうのだった。
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