FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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想いの力
前書き
昨日ルビの振り方を教えていただきました!!感謝です!!
『聞こえてる!!』
ナツさんの声が聞こえ俺たちは安堵する
『八個の魔水晶を……同時に……壊す……』
『運のいい奴はついでにゼロたちを殴れる……でしょ?』
『あと18分……急がなきゃ……シャルルとセシリー……シリルとウェンディのギルドを守るんだ』
グレイさんたちも荒い呼吸ではあるが無事なようだった。
『もうすぐ念話が……切れる……頭の中に僕の送った地図がある……各魔水晶……に……番号を……つけた……全員がバラけるように……決めて……』
『1だ!!』
俺たちの頭の中に現れた地図を見てナツさんが即答する
『2!!』
続いてグレイさん
『あたしは3に行く!! ゼロがいませんように』
ルーシィさんが続く
『私は4へ行こう!! ここなら一番近いと香りが教えている』
「教えているのは地図だ」
『そんなマジでつっこまなくても……』
「私は5に行く」
一夜さんを完全スルーしてエルザさんも自分の行く場所を決める
『エルザ!? 元気になったのか!?』
「ああ……おかげさまでな」
エルザさんはウェンディの方を見る。ウェンディは照れたように首を振る
「では俺は―――「お前は6だ」」
エルザさんがジェラールの言葉を遮る。
『今の誰だ!?』
「ナツはお前の事情を知らん。敵だと思っている。声を出すな」
エルザさんは小声でジェラールに言う
『おい!!「俺は7に行く!!」』
なおも聞こうとするナツさんの言葉に被せるようにリオンさんが言う。
「なら俺が8ですね」
これで全員の向かう魔水晶が決まった。
『それじゃ……みんな……よろ―――――』プツリ
そこで念話が途切れてしまう。ヒビキさんもかなり限界だったんだな……
「おそらくゼロは“1”にいる」
エルザさんが突然そんなことを言う
「ナツさんのところだ!!」
「なぜわかるんですか?」
「あいつは鼻がいい。わかってて“1”を選んだはずだ」
エルザさんは俺たちにそう言う。するとウェンディが拳を握り言う
「だったら加勢に行こうよ!! みんなで戦えば……」
「ナツを甘く見るな。あいつになら全てを任せて大丈夫だ」
エルザさんは少し余裕のある表情で言う。しかしその表情はすぐに曇る
「問題は奴の用意したもう一人の男……か……」
「そうですね……」
一体どんな奴が……どの魔水晶の前にいるんだ?
「ナ……ツ……」
「ここからはもはや運だ!! 私たちも持ち場に急ぐぞ!!」
エルザさんも自分の持ち場へと歩き出す。
「俺たちも行くぞ」
「はい!!」
リオンさんに促され俺たちも自分の魔水晶急ぐ。
「シリル!!」
ウェンディに呼ばれ俺は立ち止まり振り向く。
「あの……頑張ってね!!」
ウェンディにそう言われ俺は笑顔で答える
「あぁ!! 頑張るよ!! 行こう。セシリー」
「オッケー」
俺はそう言ってウェンディに背を向けてセシリーと一緒に8番魔水晶へと向かった
――――――8番魔水晶にて
「ここか……」
俺たちは魔水晶のある部屋に入るとそこにはすでに誰かがいた
「な!? 誰だ!?」
「なんだ……妖精じゃねぇのかよ……」
男はがっかりしたように言う。しかし……誰だこいつ?
「あー!!」
「うわっ!! なんだよ急に大きな声だして」
セシリーが男を指差しながら驚いたような声を出す。知ってるのか?
「こいつ……エリゴールだ!! 鉄の森のエース。死神 エリゴール!!」
「何!?」
その名前を聞いて俺もよく見る。
その男は上半身裸で大きな鎌を持っている。その顔を見ると確かに見たことがあるような……
「ったくよ~……俺は火竜と戦えると思ってたのに……まぁいいか」
エリゴールは鎌を担ぎ俺に向き直る
「ゼロがおめぇを倒せってんなら俺は従うしかねぇからよ!!」
エリゴールは鎌を担ぎ俺に接近し鎌を振り下ろす
「危ねぇ!!」
ガン
俺はセシリーをつかんでギリギリでその鎌を交わす。
「やべぇな……セシリー。隠れてて」
「わかった~」
セシリーは入り口のところへと飛んでいき隠れる。
俺はエリゴールを見据える
「エリゴール……ね」
確か俺の聞いた話だと鉄の森は呪歌とか言うのでギルドのマスターたちを全員殺そうとしたけどナツさんたちに邪魔されてエリゴール以外は全員捕まったって聞いた……気がする
「なんでこんなところにいるんだ?」
「ふふっ……妖精どもに復讐してやるためにな。俺は六魔将軍の傘下ギルド、裸の包帯男の用心棒をしていてな。」
エリゴールは話ながらも鎌で俺に襲いかかるが俺はそれを避ける
「ブレインがもっと効果的な修行をやらせてくれると言ってきてな。で……ついていったら確かにすげぇパワーアップできたよ。妖精どもも倒せるくらいのな!!」
エリゴールは俺に向かってものすごい風圧の風を浴び得てくる。俺はそれに体を持っていかれ壁にぶつかる
「がっ」
「シリル~!!」
セシリーが遠くから俺の名前を呼ぶが返事する余裕はないな……六魔将軍ほどではないけど……こっちは散々魔力を使っちまってるし。
俺はゆっくり立ち上がりながら残りの時間を確認する。あと12分……か……
「時間ねぇな……急がしてもらうよ!!」
俺は口に魔力をためる
「こいつも口から魔法を……」
「水竜の咆哮!!」
しゅぱっ
俺の咆哮をエリゴールはジャンプして避ける。エリゴールはそのまま風を操り空を飛んでいる
「くそっ!! 空飛ぶなんて卑怯だろ!!」
「だったらこっちも~!!」
いつの間にか俺の近くにいたセシリーが俺をつかんでエリゴールと同じ高さまで飛ぶ。
「ほぅ……空中戦か……いいだろ!! 暴風波!!」
エリゴールが腕から竜巻のようなものを出してこちらを攻撃する
しかし俺はそれを避けエリゴールの顔にパンチを入れる
「水竜の……鉄拳!!」
「ぐおっ」
エリゴールは少し体勢を崩し後退する。俺はその隙を見て今度はけりを入れる
「水竜の鉤爪!!」
「うおっ!!」
しかしエリゴールはそれを腕を使って受け止める。
俺は一度後方に飛んでもらい距離を開ける
「やるなぁ……さすがに1つのギルドのエースだっただけのことはあるな」
「おめぇもやるなぁ……それに……あいつになんとなく似ている」
俺とエリゴールは汗を拭いながら言う。
「ちょうどいい。俺は俺自身が強くなったことを確認したかったんだ。これを試させてもらおう」
エリゴールはそう言って体の前で手を交差させる
「ヤバイよシリル~!! 今のうちに倒さないと!!」
「はぁ!?」
突然セシリーが大声を出す。今のうちって……なんだ?
「暴風衣」
エリゴールがそのうちに風を体に纏っていく
「なんだあれ?」
「シリル~!! あれはまずいよ!! もうあいつに攻撃が届かないよ~」
セシリーが慌てた様子で言う。どういうことだ?
「あれは常に外側に向かって風を吹かせているらしい。つまりナツくんの炎やシリルの水みたいに風の抵抗を受ける属性の攻撃は効かないんだよ~」
セシリーが解説してくれる。なんでこいつはこんなにくわしいんだ?
「ほぅ……よく知ってるなぁ。猫。さぁどうする? もうお前の攻撃は当たらんぞ?」
エリゴールは余裕の表情を見せる。なるほど……でもまぁ
「やってみなきゃわかんねぇだろ!? 水竜の翼撃!!」
俺はエリゴールに攻撃を放つがその攻撃はエリゴールに届く前に風によって飛ばされる
「なっ!?」
「無駄なんだよ!!」
エリゴールが再び風を俺に向かって放つ。俺とセシリーはそれによって体勢を崩しエリゴールはそれを見て大鎌で俺たちを攻撃する
「ぐわっ」
「ひゃっ」
俺とセシリーはそれを受けてしまい壁にぶつかる。
―――――そのころ6番魔水晶では
「本当にできるの?ウェンディ」
「これは私がやらなきゃいけないことなんだ」
心配そうな顔のシャルルに魔水晶を真剣な眼差しで見つめるウェンディが言う。
少し遡って……
「ジェラール……具合悪いの?」
「いや……君は確か治癒の魔法が使えたな?」
アタマを押さえながらウェンディにジェラールが言う。
「ゼロと戦うことになるナツの魔力を回復できるか?」
「それが……」
「何バカなこと言ってんの!! 今日だけで何回治癒魔法を使ったと思ってるのよ!!」
いいよどむウェンディの代わりにシャルルがジェラールに言う。
これ以上は無理!! もともとこの子は……」
「そうか。ならば俺がナツの回復をやろう」
「え?」
ジェラールの突然の提案にウェンディは驚く
「思い出したんだ。ナツという男の底知れぬ力。希望の力をな」
ウェンディはジェラールわただ見つめている
「君は俺の代わりに6番魔水晶を破壊してくれ」
「でも……私……」
ジェラールにそう言われるがウェンディは破壊の魔法が使えないので困ってしまう
そんなウェンディの視線にジェラールは合わせる
「君にならできる。滅竜魔法は本来ドラゴンと戦うための魔法。圧倒的な攻撃魔法なんだ」
ジェラールはそう言い空を見上げる
「空気……いや……空……“天”を喰え。君にもドラゴンの力が眠っている」
……そして今
「ドラゴンの力。私の中の……」
ウェンディは決意に満ち溢れた目をする
「自分のギルドを守るためなんだ!! お願い!! グランディーネ!! ヴァッサボーネ!! そしてシリル……力を貸して!!」
ウェンディはそう言って魔水晶を見つめた
――――シリルたちは……
「くっ……いってぇ……セシリー!! 大丈夫……あ!!」
俺がセシリーの方を見るとセシリーは目を回して気絶していた
「マジか!?」
俺はセシリーを素早く掴むと一度入り口の方へと戻る。
「おい!! どこ行くんだよ!?」
エリゴールの声が聞こえるがひとまず無視してセシリーを入り口の死角のところに隠す。それから俺はエリゴールを壁越しに見る。
「(ヤバイなぁ……あの魔法……対策がないことはないんだけど、俺の魔力が持つかな?)」
相手が風……つまり空気を使うのならそれなりに作戦はある。だが魔力の残り具合を考えるともって精々4、5分か?
「なんだよもう諦めちまうのかよ!! 火竜の奴はこんなもんじゃなかったぜ?」
ナツさん……そうだな……ナツさんなら例え魔力がもとうがもつまいが敵にぶつかっていくだろうな。
俺はそう考えると自然とエリゴールの方へと足が向かっていた。
「お? 来たな」
「俺はあんたを倒して……ニルヴァーナを止める!!」
「止まらねぇよ。いくら火竜でもゼロは倒せねぇ」
「倒す!!」
俺はエリゴールの言葉に間髪いれずに言う。
「ナツさんは負けねぇ!! 必ず約束を果たしてくれる!! だから俺も……自分のギルドを守るために、やれることをする!!」
俺は集中し魔力を高める
「モード水天竜!!」
俺は水天竜モードになって目一杯エリゴールの周りの空気を吸い込む
「なっ!? こいつ……俺の暴風衣を……あいつと同じ……」
俺は水天竜モードになっても基本は水以外は吸収できない。でも……今はこれしかない!!
エリゴールの暴風衣が完全に剥がれたのを見て水天竜モードを解除し右手に魔力をためる
「これで消し飛べ!! 滅竜奥義!!」
俺はエリゴールの方に向かって走っていき、目の前まで来たところでジャンプする
「水中海嵐舞!!」
俺が大量の水を右腕から放つとその水にエリゴールは飲み込まれていく
「ぐはっ!! なんだこれは!?」
その水は嵐の時の海のように荒々しく……中に入ったものを打ちのめし、そして……空中へと投げ飛ばす。
「うわあああ!!」
バキッ
水の外へと投げ飛ばされたエリゴールは俺たちが破壊するはずの魔水晶に衝突し、その勢いによって魔水晶が壊れる
【0!!】
ちょうどその時頭の中のカウントダウンも全員が破壊するタイミングになった。
「よっしゃー!!」
俺はギルドを守れたことに喜び雄叫びをあげたがそれと同時にニルヴァーナが崩壊し始めた
後書き
いかがだったでしょうか。ラスボスにまさかのエリゴールを置くという予想の斜め上をいくやり方をさせていただきました。ちなみに滅竜奥義の前に水天竜モードを解除したのもきちんと理由があります。どのタイミングでそこに触れるかは候補が二つあって困っていますが……
また次回もよろしくお願いします
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