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オズのベッツイ

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第五幕その十

 皆を宮殿の食堂に案内しました、そしてその食堂の席に座ってです。
 程なくして来たその大きなケーキを見てです、皆に笑顔で言いました。
「今日のおやつはこれだ」
「ケーキですね」
 ナターシャがそのケーキを見て言います。
「西欧風の」
「ほう、そこで西欧と言うか」
「はい、ロシア生まれなので」
「そうか、ならロシアのケーキもあるが」
「いえ、今はこちらのケーキをお願いします」
「こちらのケーキを食べたいからか」
「そうです、ですから」
 微笑んでお話するナターシャでした。
「ご馳走になります」
「それならな、そして飲みものだが」
 こちらはといいますと。
「それぞれ紅茶とコーヒーがある。ただ」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「ここはウィンキーの国だからな」
 その国の中にあるからというのです。
「どちらも黄色い」
「そうなるんですね」
「黄色だからな」 
 こう一行にお話するのでした。
「一見すると見分けがつきにくい」
「そうですよね、ですが」
「君達もわかる様になったかな」
 ウィンキーの国、もっと言えばオズの国における紅茶とコーヒーの違いにです。
「これが」
「はい、徐々にですが」
「それはいいことだ、目で見るだけで見分けられる様になれば」
「それで、ですね」
「何でもかなり違ってくる」
 皇帝はこうも言いました。
「紅茶やコーヒーだけでなくな」
「他のことでもですね」
「見ること以外でも見分けられる様になれば」
 それで、というのです。
「全く違ってくるのだよ」
「そういうことですね」
「確かに同じ色だよ」
「こっちの世界の紅茶とコーヒーは」
「うん、ウィンキーではこの色だよ」
 黄色であることをまたお話するのでした。
「色だけで見分けることは難しい」
「けれどですね」
「紅茶には紅茶の香りがあるのだよ」
 皇帝はその紅茶を飲みつつ五人にお話します。
「そしてコーヒーにはコーヒーの」
「香りがあるんですね」
「このことを知ると大きいよ」
「目だけじゃないってことですね」
「ものを見分けられるものは」
 応えるナターシャにも他の皆にも言うのでした。
「そうなのだよ、人間には目以外にもあるのだから」
「お鼻、耳、お口、神経ですね」
「そして勘もだよ」
 皇帝はこちらも挙げました。
「全てあるのだから」
「その全てを使って、ですね」
「ものごとを見分けるんだ、いいね」
「わかりました」
「あと外見で判断しないことだ」
 このkとおも言う皇帝でした。
「我が国の国民が非力に見えようとも」
「それは、ですね」
「違いますね」
 五人もこのことがわかっているので皇帝の言葉に頷きました。
「実際は凄い力持ちで」
「握手も出来ないですね」
「そうだよ、我々の力は凄いからね」 
 だからだというのです。
「外見だけで判断したらいけないのだよ」
「そういうことですね」
「何があっても」
「その通り、外見で判断すると痛い思いをすることもある」
 笑ってお話する皇帝でした。
「そのこともよく覚えておくんだ」
「オズの国はそうした人や場所が多いですね」
「余は他の世界のことは知らないがそうだ」
 オズの国はそうだとです、皇帝はナターシャの言葉に答えました。 
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