オズのベッツイ
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第五幕その八
「そうなんですね」
「そうよ、ただ」
「はい、痩せてられていても」
「怪力なのよ」
このことは変わらないというのです。
「だからそのことはわかっていてね」
「わかりました」
ナターシャは五人を代表してベッツイに答えました、ハンクは進む中でガラスの猫にこんなことを言いました。
「最初来た時はまた変わった国だって思ったけれど」
「オズの他の国もそうだけれどね」
「うん、それでもね」
「二度目からはそう思わなくなったわね」
「そうなったよ」
こう猫に言うのでした。
「僕もね」
「そうよね、私もよ」
「けれど僕は驚くけれど」
「私は驚かないわよ」
そこは違うというのです。
「好奇心を満足させられて喜ぶだけよ」
「それだけだね」
「私はね」
「そうしたところは猫だね」
「そうよ、猫は好奇心が強いのよ」
それもとてもです。
「だから私も驚かないのよ」
「そういうことだね」
「そう、それに他の猫は驚くことがあるけれど」
「君はだね」
「私程になると驚くことはとても少ないわ」
いつも自信満々であらゆる見てもあらその程度なの、と思う位だからです。
「何があってもね」
「そういうことだね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「私は最初から驚くことは滅多にないのよ」
「好奇心を満足させられても」
「そういうことよ、驚かないことはそれだけで大きいでしょ」
「冷静のままでいられるとね」
それだけで大きいとです、ハンクも認めます。
「違うよ」
「そうでしょ」
「確かに君のそうした性格は役に立つことも多いね」
「冷静でいられる」
「いつもそうでいられることはね」
「私の最大の武器の一つよ」
こう誇らしげに言う猫でした、そしてです。
一行はヴィグ皇帝の前に来ました、立派な服と冠を身に着けた痩せた男の人です。皇帝はベッツイ達を見てすぐに笑顔で言ってきました。
「ようこそ、我が国へ」
「ええ、お邪魔させてもらったわ」
ベッツイが微笑んで皇帝に挨拶を返します。
「旅の途中でね」
「ほう、旅の」
「そうなの、実はね」
何故旅に出ているのかをです、ベッツイは皇帝にもお話しました。皇帝はその一部始終を聞いてからこう言いました。
「事情はわかった、しかし」
「しかし?」
「ウーガブーの国の主であるアン女王だが」
「あの人がどうかしたの?」
「今はウーガブーの国にはいない」
このことをです、皇帝はベッツイ達にお話しました。
「何でも君達はトラブルに遭うと言われたそうだが」
「このことかしら」
「そうかも知れないな」
「このままウーガブーの国に行ったら残念なことになっていたわね」
「そうだな、女王がいないとな」
「黄金の林檎はとても貴重なものだから」
オズの国にあるものの中でもです、とりわけそうであるものの一つです。
「貰ってジャムを作ってもらうにはね」
「国家元首である女王の承認が必要だな」
「そうなの、あの黄金の林檎はね」
女王本人の、というのです。
「いると思っていたから特に気にしていなかったことだけれど」
「しかしだ、女王は今はウーガブーの国にはいない」
皇帝はベッツイに確かな声で答えました。
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