FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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ニルヴァーナ復活
―――――現在
「そして俺とジェラールは泣きつかれて眠ったウェンディをつれて廃そ……あ!!」
俺はそこまで言って三人のいまだに知らない事実を話しそうになったことに気づき話をやめる
「どうしたの?」
シャルルが俺の顔を覗き込む
「いや……なんでもないよ。それでジェラールが預けてくれたギルドが化猫の宿(ケットシェルター)なんだ」
俺は多少強引に話を戻す。
「で? ジェラールはどうなったの?」
「それっきり会ってないの……」
シャルルの問いにウェンディが悲しそうな顔で答える
「シリルも?」
「そう……今日まで全然会ってないんだ」
というか、どこにいるのかすら知らなかったぐらいだし
「その後……噂でね。ジェラールにそっくりの評議員の話や最近はとても悪いことをしたって話も聞いた」
「俺は嘘だと思ったからウェンディに言いたくなかったんだけどな」
俺はウェンディの頭を撫でながら言う。ジェラールがそんなことをするはずがないんだ。だからウェンディに余計な心配をかけたくなかったんだ……
「ジェラール……私のこと覚えてないのかな?」
「覚えてるよ!! 絶対!!」
セシリーがウェンディに大きな声で言う。
「俺たちはジェラールを忘れたことなんてなかった。だからジェラールも俺たちのことを忘れているわけないよ」
俺もウェンディにそう言う。
「そうね。まぁ、ウェンディとシリルのこと忘れてたら私が許さないけど」
シャルルもウェンディに言う。
「ありがとう……みんな……」
ウェンディはようやく笑顔になる。それを見て俺たちも同じように笑顔になる
「さて……それじゃあニルヴァーナを止めに行くか」
「うん!!」
「シャルル!! 頑張ろうね~!!」
「まぁほどほどにね」
俺たちは全員立ち上がりニルヴァーナの方を向き直る。その時見たニルヴァーナはさっきまでの黒い光から白い光へと変わっていた
「あれ?」
「黒い柱が……」
「白い柱に……」
「何が起きてるんだろう?」
俺たちはそれを見て驚く。まさか……ニルヴァーナの封印が完全に……
ピカッ
するとその光の柱はさっきまでよりも遥かに強い光を放ち始める
「シリル!! これって」
「まさか……」
ニルヴァーナが復活するのか!?
ズガガガガガガガ
すると程なくして地面からすさまじい振動が体に伝わってくる。そして辺りからたくさんの何かが地面を破り出てくる
「何これ!?」
ウェンディが声をあげる。その振動は俺たちの真下からも感じられた
「ヤバイ!! セシリー!! シャルル!!」
「わかったわ!!」
「任せて~!!」
俺は嫌な予感がしてセシリーにつかんでもらい空に飛び上がる。ウェンディもシャルルにもってもらって同じように飛ぶ。
そして俺たちのさっきまでいたところからは巨大な岩でできた足が現れた。
「まさかこれが……」
「ニルヴァーナ……」
それは8本の足が生えており、真ん中の胴体と思われるところにはなぜかたくさんの古い家のようなものがあった。
「な……何よこれ」
「これが……魔法なの?」
声が震えているシャルルとセシリー。でもその気持ちは分かる。だってこんなものを見たら誰だって恐怖を感じるに決まっている
するとニルヴァーナはゆっくりではあるが歩き出す
「動き出したわよ!!」
「どうしようシリル!!」
ウェンディが俺に聞く。俺は一瞬迷って下を見るとそこにはニルヴァーナの足を走っているナツさんたちを見つけた。ナツさんたちは胴体のところに向かって全速力で走っていく
「ウェンディ!! 俺たちもあそこに行こう!!」
「うん!! お願いね!! シャルル」
「わかってるわよ」
「僕も頑張るよ~!!」
シャルルとセシリーに運んでもらい俺たちもニルヴァーナの中心へと向かって飛んでいく。ニルヴァーナは絶対に……俺たちが止めてやる!!
―――――街の真ん中付近まで進むと
「ハァハァハァハァ」
「ゼーハーゼーハー」
シャルルとセシリーは俺たちを運んだことでかなり魔力を消耗してしまったのか今はニルヴァーナの上で倒れている
「ごめんねシャルル……無理させちゃって」
「大丈夫か?セシリー」
「大丈夫だよ。シリル」
「私のことはいいの」
二人はその場で状態を起こす
「それよりあんたたち……こんなトコまで来てどうするつもりなの?」
ウェンディは少し考えた顔をする。あれ? ニルヴァーナを止めるんじゃないのか?
「ウェンディ……あんたまだジェラールを追って……」
「違っ!! あ……えと……それもちょっとはあるけど……」
ウェンディは辺りを見回してから言葉を紡ぐ
「私……なんとかしてこれを止めなきゃって!!私にも何かやれることがあるかもしれないでしょ!?」
「そうね」
ウェンディは拳を握るシャルルに言う。シャルルもそれを聞いて少し笑いながらうなずく。
「シリル!! 一緒に頑張ろう!!」
「ああ!! もちろん!!」
「僕も頑張るよ~!!」
ウェンディが俺たちにも笑顔を見せる。俺は歩いてとりあえずグレイさんたちと合流しようと思いシャルルに手を差しだそうとシャルルを見ると……その表情は驚きの表情になっていた
「シャルル? どうしたの?」
俺が聞くとシャルルはふらふらと立ち上がり前へと歩き出す。
「まさか…偶然よね!? そんなことあるはず……」
「どうしたの? シャルル?」
ふらふらのシャルルにセシリーが近づいていきシャルルはニルヴァーナの淵の部分で立ち止まる。
「どうしたのよシャルル」
「何があった……」
ウェンディと俺もシャルルの方へと駆け寄っていく。俺はシャルルの見ている方向を見てシャルルが何を察したのかがわかった
「あんたも気づいたのね?」
「うん……でも……たまたまなんじゃないかな?」
いや……たまたまだと思いたい……
「何がたまたまなの?」
「シリル?」
ウェンディとセシリーが俺たちの顔を覗き込む。俺たちは二人の方を向いて俺たちの気づいたことを言う
「このまま真っ直ぐ進んでいくと……」
「私たちのギルドがあるのよ。ウェンディ。セシリー」
「「え……」」
それを聞いてウェンディとセシリーもその方角を見る
「そんな……」
「なんで……」
「わからないわ……」
三人はその方角を見て固まってしまう。俺は三人の肩を叩く
「今は理由なんかどうでもいいよ。早くこれを止めないと!!」
俺がそういうと三人はうなずいて一緒に走り出す。
―――――――
しばらく走っていると辺りは暗くなってしまった。
「シリル!! どうしよう!! 大分時間たっちゃったよ!?」
「てかどこに向かってるのよ!!」
「わからん」
「「「え!?」」」
俺はただグレイさんたちの匂いを追いかけているだけなのでどこを目指して走っているのかはわからない。とにかくグレイさんたちと合流しないことには俺たちだけじゃあどうしようもないと思うから
「ちょっとシリル!! いい加減なことはしないでよね!!」
「大丈夫だよ。たぶん……」
「そこは自信もって言おうよ!!」
セシリーに突っ込まれたけど……だって止め方がわかんねぇんだもん……
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』
などと考えていると突然大きな音……というよりも何かの叫びが聞こえてくる。この声って……
「ナツさん!?」
「ナツさんに何かあったの!?」
「うるさいわね……」
「耳が壊れる~」
俺とウェンディはナツさんの突然の叫びに驚きシャルルとセシリーは耳を塞いでいた。
しばらくするとその声は聞こえなくなってしまう。
「何かあったのかな?」
「とにかく行ってみよう!!他の皆さんもいるかもしれないし!!」
俺たちはナツさんの声がした方へと急いだ。
―――――
「あ!! グレイさんたちだ!!」
「本当だ!!」
「あんたたち。本当目がいいわね」
「僕たちには見えないよ~」
俺たちは前方にグレイさんたちを発見したので走るペースを上げる
「皆さーん!!」
「大変です~!!」
「ウェンディ!? シリルも!!」
俺たちが駆け寄っていくとルーシィさんが気づく。
「やっぱりこの騒ぎはあんたたちだったのね」
「あれ? ルーシィさん服装変わってる~」
辛口コメントのシャルルと少し間抜けなことを言うセシリー。って違うや。今はそんなことより
「この都市……私たちのギルドに向かってるかもしれません!!」
「どうやって止めればいいんでしょうか!?」
俺とウェンディは切羽詰まってグレイさんたちに言う。しかしグレイさんは腕を組んで余裕のある表情で言う
「らしいがもう大丈夫だ」
「「え?」」
「ウェンディ。シリル。足下」
ルーシィさんがそう言うので俺たちは下を見るとそこには倒れている六魔将軍(オラシオンセイス)の司令塔、ブレインがいた
「ひゃっ!!」
「うわっ!!」
思わず驚き声をあげるウェンディと俺
「ヘビ使いも向こうで倒れてるし」
グレイさんの視線の先を見ると確かにそこにはコブラが倒れていた
「じゃあ……」
「おそらくニルヴァーナを操っていたのはこのブレインよ。それが倒れたってことはこの都市も止まるってことでしょ?」
ルーシィさんの言葉を聞いて俺とウェンディは喜んで抱き合う
「よかった。シリル……」
「うん……よかった……」
ニルヴァーナが発射されてもさほど問題はないけど……とにかくよかった。
「気に入らないわね。結局化猫の宿(ケットシェルター)が狙われる理由はわからないの?」
「まぁ深い意味はねぇんじゃねーのか?」
「そうだよシャルル~!!終わりよければすべてよし!!だよ~」
腕を組んで納得のいかない表情のシャルルにグレイさんとセシリーが言う。
「気になることは多少あるがこれで終わるのだ」
ジュラさんがそう言う。
「お……終わってねぇよ……早く……これ……止め……うぷ」
ナツさんの声が聞こえてそちらを見ると顔が真っ青のナツさんがいた。てかナツさんも服装変わってる
「ナツさん!! まさか毒に……」
「オスネコもよ!! だらしないわね!!」
「大丈夫? ハッピー」
「あい」
ハッピーも真っ青になっていたのを見てシャルルはあきれセシリーは心配して近寄っていく
「シリル!! ナツさんに解毒の魔法を……」
「うん。モード水天竜!! 」
俺とウェンディはナツさんとハッピーに解毒の魔法をかけていく。
そして二人の治療が終わったところでグレイさんたちが塔のようなものに登っていくのを見たのでハッピーにナツさんを運んでもらってあとを追いかけた
―――――――王の間にて
「どうなってやがる……」
「何これ……」
先に到着していたグレイさんたちが辺りを見回しながら言う。俺たちも辺りを見回すが……特に何かがあるわけではないように見えるけど……
「何一つそれらしきものがねぇじゃねーか!!」
「ど……どうやって止めればいいの?」
あ……何もないことが問題だったのか。てことはもしかしてここがもしかしてニルヴァーナのコントロール室なのか!? どうやって操縦してたんだ!?
「ぬぅぅぅぅ…」
「くそ……ブレインを倒せば止められるモンかと思ってたけど……」
「甘かった……止め方がわからないなんて」
「う~ん……」
俺もグレイさんたちと一緒に困ってしまう。その間にもニルヴァーナは化猫の宿(ケットシェルター)へと1歩、また1歩と近づいていく
「どうしよう?解毒の魔法をかけたのにナツさんが……」
そんな状況でもナツさんは倒れたままいる。あれ?解毒の魔法効果足りなかったのかな?
俺がナツさんたちを眺めているとグレイさんに頭を触られる
「あいつは単に乗り物に弱ぇだけだ。気にすんな」
「乗り物って……」
これ乗り物じゃないでしょ? と思ったのは俺だけじゃないはずだ
「どうすればいいのかしら?このままだと……」
「ぬぅ……」
ルーシィさんもジュラさんも頭を悩ませる。何か突破口はないのか?
「オオオオオ!!」
すると突然ナツさんが叫びだす。なんだ?
「何か作戦でも思い付いたのか!? ナツ!!」
俺たちは期待の眼差しをナツさんに向ける。しかし
「平気だ!! 平気だぞっ!!」
ナツさんは大喜びで跳び跳ねるのを見て違うことに気づいた。乗り物酔いが治ったってことだったのね……ウェンディのトロイアかな?
「くそ!!一瞬期待させやがってクソ炎!!」
「本当……空気読んでくれないかしら……」
ナツさんに怒るグレイさんとあきれるルーシィさん。お気持ち……察します
「これ乗り物って実感ねぇのがあれだな!! ルーシィ!! 船とか列車の星霊読んでくれ」
「そんなのいないわよ!! てか今それどころじゃないの!!」
ナツさんに揺さぶられて怒るルーシィさん。
「止め方がわからねぇんだ。見ての通りこの部屋には何もねぇ」
グレイさんにそう言われるとナツさんは真剣な表情へと変わる。一方ウェンディは悲しい表情へと変わってしまうので俺はウェンディの肩に腕を回す
「大丈夫だウェンディ。きっとなんとかなる」
「シリル……」
気休めの言葉しか俺にはかけれない。そんな俺が情けない……
「てか本当にここが制御室なのか?」
「リチャード殿がウソをつくとは思えん」
リチャード殿ってのが誰なのか気になったけど……今はこれを止めることが優先だ
「止めるとかどうとかの前にもっと不自然なことに誰も気づかないの?」
突然シャルルが話し出すので俺たちは全員シャルルを見る
「操縦席はない。王の間に誰もいない。ブレインは倒れた。なのになんでこいつはまだ動いてるっのかってことよ」
シャルルに言われて気づいたが確かにそれはおかしい。となると考えられるのは
「まさか自動操縦!?」
「最悪の場合ニルヴァーナ発射までプログラムされてるかもしれませんね……」
グレイさんと俺が言う。そこまで言って俺はウェンディが泣きそうになってしまっているのに気づきハッとする
「どうしよう……私たちの……ギルドが……」
震えだすウェンディ。俺は慰めの言葉が見つからず、何も声をかけれない。
「大丈夫!! ギルドはやらせねぇ。この礼をさせてくれ」
ナツさんが力のこもった声でそう言う。
「必ず止めてやる!!」
泣きかけているウェンディと何も策が思い付かない俺はナツさんを見つめる。
そうだな……諦めちゃダメだ!! 大丈夫。ナツさんたちがいてくれればなんとかできる!!
俺はそう思い、ウェンディの手を握った
後書き
いかがだったでしょうか。ニルヴァーナの足を原作の6本ではなく8本にさせてもらいました。ちゃんと8本目を壊す人も考えております。また次もよろしくお願いします
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