極短編集
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短編57「宝石の涙」
あるところに、いじめられている女の子がいました。家族はもちろん、まわりのみんなが女の子をいじめていました。みんなが女の子をいじめのには理由がありました。それは……
「あっ!サファイアの涙が出たわ」
「今度はエメラルドよ!」
女の子が泣くたびに、その涙が色々な宝石になるからでした。
『こんなの、もう嫌だ』
女の子の心は折れ、今にもその命が消えそうな、そんな時……
「一緒に逃げよう」
仲良しの男の子が女の子に言いました。女の子は男の子と森へ逃げ出しました。でも逃げ出したのは良いのですが、雨風しのげる洞穴を見つけ出した他は、食べるあてがありません。
「私をいじめて!そうしたら宝石の涙が出るから」
「そんな事、出来る訳ないだろ?君は僕にとって大切な人なんだから」
こんなにも、人に大切にされた事がなかったので、女の子は泣きました。
ポロポロポロポロ
と、流れ落ちた涙。その時女の子は、嬉しい時にも涙が出るのを知りました。そして流れた涙は……
ダイヤモンドになりました!
二人は、この幾粒ものダイヤを元に、農地や家を手に入れ、幸せに暮らせるようになりました。そして、その時の涙を最後に女の子からはもう……
宝石の涙が出なくなったのでしたとさ。
おしまい
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