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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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海と雷鳴と影と

「海行こうぜ!」
バァン!と、ショウが男英雄組の部屋に飛び込んできた。
『イッテイーヨ!』
「あ」
『あ』
だが、運悪くそこにシンゴウアックスが飛んできて、ショウを後一歩と言うところで切り裂く所だった。元凶はもちろん……
「あー、わりい。手ぇ滑った」
いつも通りと言うか、馬鹿(ダーク)であった。
「ダーク先輩!?」
ショウは言うと、そこに。
「危ない、ショウ」
ゼロがショウを引っ張ると、そこに凜が翔夜に飛び蹴りを食らわせた。
「グハッ!」
「テメェ!俺の飯食いやがったな!!」
「序でに僕のメロンパン盗み食いしましたね!?」
「うおおおおっ!?」
第二英雄VS神。滅多に見られるものではない戦いが部屋で起きた。
「……お前達、静かにしないか」
結局仲裁役に収まる自称数百歳の年上(ゼロ)が言うと。
『邪魔するな!(しないでください!!)』
両者の裏拳が顔面に炸裂。ゼロの頭が吹き飛んで床に転がる。
「あ、ゼロさん、の、首……」
iが言うと、刀馬が首を持つ。
「うわ、グロいな」
「片手に持つなよ、刀馬」
首ゼロが言うと、さして驚かずに刀馬が第二英雄VS神の戦場に、
「といやっ」
首ゼロを投げた。
『えええええええええっ!?』
と、英雄達の叫びと共に、胴体がバットを振って打って凜の頭にクリティカルヒットする。
「グアッ!」
「もらっt「まだぁ!!」
倒れた凜に止めを刺そうとする翔夜に対し、体ゼロが前方空中横回転三段蹴りを放って壁に激突させる。
因みに、清文(セモン)は直感による回避で難を逃れていた。
「全く、人様の迷惑考えろ」
『首とんでんのになんで生きてるか知りてぇよ!?』
刀馬・清文・隆也以外の男英雄組が叫ぶ。
因みに、隆也(ゼツ)は「もう、何が起きても可笑しくない世界だし、な」と呟いていた。
「ん?言ってないっけ?俺、能力昇華で体が雷撃化してるって。あれ?事前説明したの、刀馬と隆也と清文だけだっけ?」
「後、女性陣全員な」と、刀馬が付け足す。流石ながら、慌てずに言う姿は英雄の貫禄が漂っているせいか。
「……最早、むちゃ、くちゃ……」
「人外にも程が在るだろう……」
「プログラマーで能力者で仮面ライダーでハッカーで……この世界何でもありだなもう……」
「ですね……」
上からi、理央、雷斗、レオン。その他は口を開けてポカンとしていた。
刀馬から首を受け取ったゼロは、それを填めると言う。
「で?海だっけ?」
「……なんかもう、とんでもねぇな」
「何か言ったか?」
「いや!?別に!?それより行こうぜ海!」
ショウは一刻も早くこの雰囲気から立ち去るべく、女性陣の部屋に海にいくことを報告しにいった。



















そんなこんなで、一時間後、男性陣は海の前に来ていた。
「まさか、水着が在るとはな……」
翔夜は言うと、黒いパーカーを羽織って海を眺める。
「アクティブの策略か何かだろ、どうせ」
最早、卓越しているとしか言いようがない雷斗は、溜め息を吐きそうになり、慌てて言う。
「それにしても……リア充組は何人だ?」
そう言うと、凜がすかさず答える。
「お前とサナ、清文と琥珀、隆也と理奈、iとhack、ゼロと新羅、翔夜と真夜美、和人とミヤビ、聖音と桜華だな。悠人と、俺と理央とルーグ、後、ショウとレオン、タツが今回は居ないから非リア組だな。けっ」
最後は怨めしそうに言うと、凜は雷斗を睨む。
「喧嘩はそこまでにしとけ」
ゼロが現れながら言うと、凜は可笑しな所に気が付く。
「あれ?お前、泳がねぇの?」
そう。ゼロは水着姿ではなく、上は黒いタンクトップに黄色のパーカー、下は短い短パンと、軽装なのだが、水着では無かった。
「ああ……。ほら、海って海水だろ?あれ、電気通しやすいからやべぇんだよ」
「……強いメリットに、弱いデメリット、か」
凜が言うと、「まぁ、そういうこった」とゼロは言う。
「翔夜は泳がねぇのか?女と遊ぶのは得意だろ?」
「……俺を、フレイヤやタケミカズチ、ヘルメス達と一緒にするな。女遊びは得意なわけ無いだろ」
既にハンモックを作り終え、転がっていた翔夜が言う。
「それより、女性陣はおせぇ。何してるんだよ」
「女性は準備に時間を掛けるって、前に新羅から聞いたな……」
「……のろけか」
今度は凜がゼロに睨むと、聖音が言う。
「あ、来たよ!」
全員が指す方向を向くと、
『………!』
リア充組は揃えて息を飲む。
それぞれの妻、恋人達が、それぞれの水着を纏って此方に歩いてくる。その光景に。
「まるで、女神だな」
翔夜は言うと、タツとレイトを除く一同が頷く。これこそ、アクティブのプレゼントでは無いかと言うほどに。
「あ、皆!」
新羅は言うと、各々が男性陣の前に行く。
「全く……。女は化けるっうけど、すげぇ化けようだな」
『翔夜(君)は黙ってて!』
「へいへい」
口を閉じた翔夜は、そのままハンモックへ。それに付き合うように、ゼロも移動する。
それから暫くし、各々が遊び始めた。
「目の保養だな」
「……で、何でテメェがいんだよ」
突如として現れたアクティブゼロに、翔夜が裏拳を放つが、捕まれる。
「ハイハイ。それより……良いの?」
「何がだ?」
「彼等、見てるだけで」
「……何?」
翔夜は怪訝そうに首を捻ると、ゼロは何故か全員に向けて雷撃を放つ。
『うわぁ!』
男性陣が各々の女性をお姫様抱っこして回避すると、ゼロを睨む。
だが、それを介さない様に、すかさずテストプレイ用のデータブレードを振るう。
途端、砂から何かが現れる。
『ヴ……ヴァアアアア……』
『グルル……』
「な、何あれぇ!!」
琥珀が叫ぶ。それに反応し、影が琥珀を襲う。
「琥珀!!」
清文は降ろした琥珀はまた抱え、影を回避する。
「幻影の騎士達………!」
真夜美は言うと、そこにゼロの回転蹴りが追いかけていた幻影の騎士達を蹴り飛ばす。
「おい、大丈夫か?」
「はい」
「あ、ありがとう……」
二人して答えると、今度は清文に似た幻影の騎士が現れる。
『アラブル・バーニン・ヴァルブレイブ』
「エクステンション・ラッシュ!」
四十三連撃の剣撃を、データブレードのラッシュが押さえ込む。
「折角の休暇を戦闘に費やさせるな!!」
前方回転蹴りを放つが、捕まれて海に投げ捨てられる。
「腐ってもセモンデータかよ!」
水面に着地すると、蹴って、幻影の騎士セモンの上空に飛ぶ。
「エクステンション!」
重力加速に従って放たれた技は、セモンを砕いて消滅させる。
「ったく。おい清文、データなんていつ持ってきやがった」
「僕が知るわけ無いでしょう!?」
「だな」
清文の目を見て言うと、そこに、翔夜、理央、隆也、ルーグ、聖音がそれぞれの幻影の騎士と対峙していた。
「あっちは武器持ってるっうのに……アホか」
頭を押さえると、ゼロは雷撃と化して神速で各々の首を切り裂く。
「終了」
チン、と鞘に仕舞うと、それらは消滅する。
「さっすが、おんとし数百歳のゼロだぜ!」
「自称だ自称。まだ数百も行くか」
凜に言うと、清文が合流する。
「皆!」
「おう、無事かセモン」
雷斗が言うと、翔夜が言う。
「全員、左右に別れろ!!」
咄嗟の指示に全員左右に別れる。
途端、ドォオオオン!と言う音と共に土埃が舞う。
「何だ……!?」
「皆、大丈夫か!?」
「ミヤビ、お前、まさか……!」
「違う」
真っ先にキリトの方のミヤビを疑い出した雷斗を他所に、全員が戦闘モードへ移行する。
「変身!」
『インフィニティー!エレメント!ヒーヒーヒー!スイスイスイ!フーフーフー!ドッドッドッ!ボゥボゥボゥ!ザバザバザバ!ビュービュービュー!ダンッデッドゴーン!!』
『ドラーイブ!ターイプフォーミュラー!!』
『ブレイブ!アブソル!エボリューション!!』
「……!」
「有った!リンクスタート!」
エタニティ、フォーミュラ、ブレイブアブソルエボリューション、そして、翔夜が此方に訪れた異世界の英雄らに渡していたリングを使い、ゼツ、レイト、真夜美、ミヤビ、リオン、ジンに、翔夜とタツが神化して、ダークネスシャイニングとザウス・オールマイティに各々がなる。
因みに、ショウとレオンと清文は女性陣の前に配備されている。
途端、土埃が晴れ、そこから黒い塊が現れる。
「あれは……!」
途端、遅れて変化したリュートが言う。
「あれは、黒蝕竜ゴア・マガラ……!?何で!?」
「ゴア・マガラ……!不味いな。ザウス、早々にご退却願ってくれ!」
「了解です。『自らの世界へ帰れ!』」
ザウスが言うが、ゴア・マガラは吠え、ザウスを狙う。
「審判・汝はそこから動くな!」
連武迅雷刀を放って、リペレウト・ゼウス・ザ・オリジンとなったダークネスシャイニングが最高神の審判は発動して止める。
だが、ゴア・マガラはそれでも動いてくる。
「強引に拘束を……!」
「何でしょうか……。少し、此方の力が効かないようですね」
ザウスは言うと、ライダーが動く。
『チョーイイネ!キックストライク!サイコー!』
『ヒッサーツ!フルスロットル!フォーミュラー!!』
『エボリューション!マキシマムドライブ!!』
三ライダーのトリプルライダーキックに加え、iとhackの同時攻撃がゴア・マガラに当たり、海に吹き飛ばされる。
だが、途端に飛翔し始め、黒い物を口に溜める。
「不味い!狂竜ブレスだ!!」
「ゼツ!」
「任せとけ!!病気には熱だぜ!!」
ブレスが放たれると同時、ゼツのラグナロクが放たれ、中心でぶつかる。それに、ミヤビ二人のイニジオ・ハイルロードが凍らせる。
「この世界に休息なんてねぇってか……ふざけんなよ!?」
ゼロは言うと、フロラ直伝の異世界魔法の詠唱を開始する。ゼロの地面には、翡翠色の魔法円(マジックサークル)。それが移動と同時に動く。
「【ーーーー間もなく、()は放たれる】」
フロラの家に在った異世界の魔法書から、取得し、強化した魔法を、移動しながら唱う。
「【忍び寄る戦火、免れえぬ破滅。開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全てを包み込む】」
データブレードが新しくデータ構築され直し、それは雷獣の明星へと変化し、メモリを入れて太刀に変える。
「【至れ、紅蓮の炎、無慈悲の猛火。汝は業火の化身なり】」
ゴア・マガラが動き出し、凍ったブレスと炎の上を走るゼロにブレスを向けようとする。そこに、リオンが槍を投げて停止させる。
「【全てを穿ち、滅ぼす焔よ、今こそ大いなる戦乱に幕引きを】」
オリジナルとは違う詠唱をして、雷獣の明星に魔力の焔を灯す。
「焼きつくし、全てを灰と化せ、スルトの剣ーーーー我が名は桜花】!」
詠唱が完了し、雷獣の明星は、焔を纏った大剣へと姿を変え、翡翠色の魔法円は拡大する。
次の瞬間、その魔法剣技は放たれた。

「【ブレイ・レア・ラーヴァティン】!!」

召喚された巨炎と焔を纏った大剣がゴア・マガラを襲う。
吼えながら、ゴア・マガラはゼロを睨み、そして消えた。
崩れる氷から、翔夜がゼロを回収すると、言う。
「ゴア・マガラ……何しに来たんだろうな」
「……また、悪い予感がしますよ、ダークネスシャイニング」
ザウスが言うと、タツに戻る。
「一応、これ以上この世界と、ゼロの世界に止まるのは危険です。残念ですが、御泊まりはここまで、ですね」
「……だな。管理者の俺の管理不届きが原因でも在るしな。責任持って、元の世界に飛ばそう」
「ちょっと待て。また、お前らだけで抱え込むつもりか?」
雷斗は言うと、ゼロは言う。
「戦友と意地を天秤で測るのは止めにした。だが、何が起こるか分からなくなった以上は、止まるのはかえって危険だ」
「ゼロの言う通りです。ゴア・マガラに関しては、各世界の繋がりが在る僕とダークネスシャイニングが調べます」
「俺は確定かよ……」
翔夜は言うと、タツが睨む。
「監督不届き」
「わーったよ!!」
「……それじゃ、一辺に送るぞ。今回はろくな事になんなくて済まんな」
「今度は普通に来たいな」
「今度までには普通にするさ」
こうして、ろくでもない御泊まりは唐突に終わりを告げた。 
 

 
後書き
プロローグ

「……ゴア・マガラ」
異世界から召喚された竜の名を、彼女は言う。
そして、目の前に展開されているのは、SAORの発売日が書かれた表示。
元SAOプレイヤーの彼女がそれを持っているのは、何ら不思議もないものだが、ゴア・マガラの名を口にするのは余りにも不自然だった。
「……もう、追い付いて来たのね」
『どうするの、ソラ』
彼女の中に眠るもう一人の彼女が言う。
「……最悪、この世界の人たちに迷惑を掛けるかも知れない。けど……」
『……決めるのは貴女よ。その石の所有者である以上、ね』
彼女の胸元に光る二つのネックレスに付けられた石。
一つは白く、一つは青い。
彼女はそれを軽く握ると、言う。
「……助けを、請おう。この世界に居る、“雷鳴の狩人”に」
彼女は決断し、再び歩き出した。

これは、ゼロ/天白来人が、『ソードアート・オンラインリバースド』のサービス開始を開始する、僅か5日前の事だった。 
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