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通りゃんせ

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3部分:第三章


第三章

 その子達がだ。良子に対して言ってきた。
「ねえ、良子ちゃん」
「良子ちゃんだよね」
「私の名前知ってるん?」
「うん、知ってるよ」
「ちゃんとね」
 こう返答が返って来た。
「会っていたからね」
 あの狐のお面の男の子が言ってきた。
「だからね」
「だからなの」
「そう、二回ね」
「二回も」
「二回も会っていたんや」
「そうやったんだ」
 周りの子供達が二人の話を聞いて述べる。
「そんなに会っていたんや」
「縁があるんやね」
「そうだよ。けれどね」
 ここでまた話す周りだった。
「あんたはここにいたらあかんよ」
「ずっといたらあかんよ」
「絶対にね」
「絶対にって?」
「ここは生きてて入る世界やないで」
「そうやないんやで」
 だからだというのである。
「ずっと後から来る世界やから」
「まだあかんで」
「まだって?」
「道には気をつけるんやで」
「お母さんの手をしっかりと持ってな」
 周りの子供達はまた良子に話してきた。
「それで離れたらあかんで」
「何があってもやで」
「何があってもやの」
「そう、まだこっちに来たらあかんで」
「そやからな」
「手を離したらあかんで」
 周りの子供達は良子の正面にいるその狐のお面の男の子を中心としてだ。それぞれ手をつなぎ合ったうえでだ。言ってくるのであった。
 
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