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オズのベッツイ

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第二幕その九

「物凄く強いんです」
「ロシア人ってお酒を好きなのかな」
「皆大好きです、子供は飲まないですけれど」
 もっと言うと飲めません、だからナターシャも紅茶やジュースを好きなのです。大人も好きではあるのですが。
「皆飲んでいます」
「ウォッカは。うちのお父さんが言ってたけれど」
 恵里香が横からナターシャにお話します。
「もう強過ぎるらしいわ」
「あまりにも強いからよね」
「飲めないって言ってるわ」
「寒いのよ、ロシアは」
「その寒さを乗り切る為になのね」
「そう、ウォッカを飲むのよ」
 多くのロシアの大人の人達はそうするのです。
「服を何枚も着てね」
「そういえばナターシャも最初凄い厚着だったわね」
「ロシアの感じで来たのよ」
 日本にというのです。
「だからなのよ」
「厚着だったのね」
「それで暑かったわ」
「冬でも?」
「ロシアの冬と日本の冬はまた違うから」
 だからだというのです。
「神戸の寒さとロシアの寒さは全然違ってて」
「ロシアの方がずっとなのね」
「ウォッカのお話してるけれど」
 そのウォッカについても言うのでした。
「若しもよ」
「若しも?」
「ウォッカ飲み過ぎて酔っ払ってお外で寝るでしょ」 
 冬のロシアで、です。
「死ぬのよ」
「ええと、寒くて」
「そう、凍死するのよ」
「ううん、日本で凍死は」
「あまりないわよね」
「ロシアだとあるのね」
「交通事故で死ぬ人より多いから」
 そこまでです、ロシアではお酒を飲んで死ぬ人が多いというのです。
「それこそ」
「そんなに酔って死ぬ人が多いのね」
「そうなのよ」
「本当に凄く寒いのに」
「息が凍るから」
 ナターシャはこのこともお話しました。
「本当に」
「ロシアの冬は」
「それだけ寒いからね」
「酔って死ぬ人もいるのね」
「道で寝たらそれでね」
「お酒飲むのも命懸けなのね」
「それでも飲まないとやっていけないのよ」
 そのウォッカをです。
「それで温めないとね」
「お酒って身体を温めてくれるのね」
「そうみたいよ」
 ベッツイもこう言ってきました。
「お酒はね」
「そうなんですか」
「私は飲んだことがないけれど」
 ベッツイも子供だからです、お酒は飲んだことがありません。それでナターシャ達にもこう答えるしかありませんでした。
「よくモジャボロさん達がそう仰ってるわ」
「大人の人達はなの」
「そうなの、けれどお酒を飲まなくてもね」 
 そうしていてもというのです。
「楽しい思いは出来るから」
「今もですね」
「ジュース出すわね」
 今晩もこの飲みものを出そうかというのです。
「どのジュースがいいの?」
「そうですね、オレンジですか?」
「林檎でしょうか」
 二人はそれぞれ思いついたジュースの名前を出しました。
「果物のジュースがいいですね」
「私も」
「貴方達はどうしたジュースがいいかしら」
 ベッツイは女の子二人のリクエストを聞いてから三人の男の子にも尋ねました。 
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