美しき異形達
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十三話 街道での死闘その六
「これから」
「もうここに用はありませんし」
「ああ、だからな」
「裕香さんのところに戻り」
「バイクで街まで行ってな」
そのうえで、というのだ。
「牛丼食いに行くか」
「そうしましょう」
桜も応えてだ、そのうえで。
二人はバイクで裕香が待っている場所まで戻った、薊は裕香の前にバイクを停めるとヘルメットを脱いで笑顔で言った。
「じゃあな」
「うん、今からね」
「牛丼食いに行こうな」
笑顔での言葉だった。
「そうしような」
「そうね、今からね」
「私もです」
桜もヘルメットを脱いで裕香に言う。
「ご一緒に」
「三人で食べに行こうね」
「吉野家な」
薊が行きたい店はこの店だった。
「やっぱりあそこだよな」
「薊ちゃん吉野家好きなのね」
「味がいいんだよ、それにな」
「それに?」
「何か親しみがある感じでさ」
店の雰囲気が、というのだ。
「だからなんだよ」
「吉野家好きなのね」
「そうなんだよ」
「吉野家の味とお店の雰囲気が好きなの」
「そうなんだよ、早い安い美味いな」
吉野家のキャッチフレーズである。
「これが好きなんだよ」
「それでなのね」
「他の牛丼のお店も嫌いじゃないけれどさ」
「第一はなのね」
「吉野家だよ」
何といってもこの店だというのだ。
「だから行こうな」
「それじゃあね」
「牛丼は特盛ですね」
桜は微笑んでそのメニューを言った。
「しかも卵を入れてお味噌汁をつけて」
「あと上に紅生姜もな」
「はい、欠かせませんね」
桜は微笑んで薊の言葉に応えた。
「そちらも」
「じゃああたしもそれにするよ」
「牛丼特盛に卵ですね」
「味噌汁も付けてな」
そして牛丼の上には紅生姜である。
「あとは卵を入れてかき混ぜて」
「それが最高ですね」
「じゃあ行こうな」
薊はヘルメットを再び被った、そして。
裕香をその後ろに乗せて桜と共に六甲の街道から街に戻った。そしてそこでまずは吉野家に入ったのだった。
三人で牛丼の特盛に卵と味噌汁を注文して食べる。薊は紅生姜も乗せたそれを食べつつ裕香にこんなことを言った。
「牛丼ってカロリー高いよな」
「ええ、お肉だしね」
裕香もその特盛に卵を乗せたものを食べつつ応える。
「どうしてもね」
「だよな、けれどな」
「けれど?」
「アメリカだとダイエットフードらしいぜ」
「それ凄いことよね」
「それだけあっちは摂ってるカロリー高いみたいだな」
「凄いわね」
その牛丼を食べつつだ、裕香は応えた。
「日本だとね。ダイエットフードじゃないから」
「それがアメリカだと違うんだよ」
「アメリカの食事って凄いのね」
「みたいだな」
「はい、あちらはです」
ここで桜が二人に言うことはというと。
ページ上へ戻る