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オズのベッツイ

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第一幕その四

「僕達がオズの国に来たら」
「僕達いつも冒険に出ています」
「最初の時からそうでしたし」
「これまでいつも」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「今回もそうなるんじゃないかしら」
「けれど今回は」 
 カルロスもドロシーに言います。
「ドロシーさん出られないですよね、お外に」
「冒険をするのは私だけじゃないわよ」
「ドロシーさん以外の人とですか」
「オズの国には沢山の人がいるじゃない」
「はい、本当に沢山の人が」
「この宮殿にもね」
 特にこの宮殿に集まる人達は独特です、オズの国の中でもとりわけ個性的な人達が出入りしている場所でもあるのです。
「いるでしょ、だからね」
「それでなんですね」
「そう、その誰かと一緒に旅行に出ることになるかも知れないわよ」
「だとしたら誰と」
「さて、私もそこまではわからないわ」
 ドロシーもこまではでした。
「けれど貴方達はどうもこの国に来たらいつも冒険することになっているみたいだから」
「今回もですね」
「何かあると思うわ」
 要するに冒険の旅に出ることになるのではというのです。
「私の勘ではね」
「ドロシーさんの勘って当たりますから」
 ナターシャが考えるお顔で言います。
「私達はまた、ですね」
「そうね、旅に出るわね」
 ベッツイも言ってきます。
「そうなると思うわ」
「今こうして皆で宮殿にいてもですね」
「だから。常に何かが起こる国だから」
 ベッツイもこのことを言うのでした。
「明日はわからないわよ」
「明日冒険に出て」
「そうして」
「そう、楽しく遊びましょう」
「ベッツイさんが一緒になれば」
「どうなるかわからないけれどね」
 先のことはわからないからです、ベッツイはここではこう言いました。
「そうしましょうね、そして今はね」
「はい、今は」
「お菓子と紅茶を楽しみましょう」
 今そうしている様にというのです。
「こうしてね」
「わかりました」
「この紅茶美味しいわね」
 ベッツイは紅茶を飲みながらナターシャにその感想を述べました。
「ジャムを舐めながら飲むとね」
「ロシア式ですね」
「ナターシャに教えてもらったけれど」
「いいですよね、この飲み方」
「ええ、とても美味しいわ」
 スプーンに執ったジャムを舐めてから紅茶を飲みつつです。ベッツイはナターシャににこにことして言うのでした。
「こうした飲み方もあるのね」
「ロシアではこうして紅茶を飲むんです」
「最初はジャムを紅茶の中に入れると思っていたけれど」
「それは日本のロシアンティーです」
 ナターシャは恵里香を見つつベッツイに説明します。
「あの飲み方も美味しいですけれど」
「うん、私実はね」 
 その恵里香がナターシャに応えます。
「ロシア人ってそう飲むと思っていたのよ」
「けれどそれが違うの」
「舐めながら飲むのね、ジャムを」
「そうなの、お茶の中に入れるんじゃなくて」
「どうも日本に間違って伝わったのね」
 そのロシアの紅茶の飲み方がです。
「そうなのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「さっきも言ったけれど日本のロシアンティーも美味しいわ」
「ナターシャも気に入ってくれたのね」
「あの飲み方もね」
 そうだとです、ドロシーに答えるナターシャでした。 
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